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9月22日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月22日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:ジャニーズ問題で身動き取れないTV局 おかげでこんな政権がヌクヌクの暗澹

 外遊と岸田派研修会の合間の窮屈な日程で内閣改造・党役員人事を急いで行ったと思ったら、経済対策を党役員に丸投げして国連総会に出かけてしまった。いい気なものだ。

 「困っている国民を助けようともせず、岸田首相は何がしたいのかまったく分からないトップリーダーです。内閣改造も党内に気を配っただけの内向きな陣容で、目の前の難題に取り組む意思はどこにも感じられません。内政から目を背け、外遊に逃げてしまう。外相を長く務めた岸田首相は、自分では外交が得意だと思っているようですが、外遊先で各国首脳と会談し、それを大メディアに宣伝させるだけでは外交とは呼べません。例えばALPS処理水の海洋放出問題で悪化した中国との関係改善に努めたり、事前に根回しするのが本来の外交でしょう。岸田首相がやっているのは社交か物見遊山の類いです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 内閣改造でも支持率はほとんど上がらなかったが、岸田は「一喜一憂するのではなく、先送りできない課題について取り組み結果を出すことによって、国民の期待に応えていく」と言う。支持率は国民の期待を反映する声なのだから、一喜一憂して応えてもらわなければ困るのだ。支持率がどうなっても気にしないというのでは、誰のための政治なのか。

 「岸田首相は自分の保身延命のことしか考えていないのでしょう。国民の生命と財産を守ることがトップリーダーの使命だという意識が希薄です。だから米国の尻馬に乗っかって、中国との対立をあおるようなことも平気でする。国と国民を守るためには東アジアの平和と安定が必須なのに、緊張を高めて米国を喜ばせているのです。この国をどうするかというビジョンもないし、深い考えもないから、やすやすと一線を越え、安倍政権でもできなかった防衛費倍増や原発依存回帰もあっさりと決めてしまった。慎重さに欠ける危うい政権なのですが、大メディアは政府発表を垂れ流して広報に徹するばかりだから話になりません。もっとも、そうやってテレビが必死で持ち上げ、失政をゴマかしていても支持率が低迷していることが、いかにダメな政権かということを物語っています」(五十嵐仁氏=前出)

 ジャニーズ問題では、第三者委員会の調査報告書が「マスメディアの沈黙」によって事務所の隠蔽体質が強化され、性加害を拡大させたと断罪。それを受けてテレビ局は「報道してこなかったことの責任と反省」などと、もっともらしい弁明をしていたが、本質は何ひとつ変わっていないし、変わろうともしない。


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