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3月1日(火) 「ILO労働側理事―中嶋前理事に感謝し桜田新理事を励ます集い」に出席した [労働]

 呆れるというより、悲しい。
 「民主党政権、どうですか」という私の質問への、連合の最高幹部の方のお答えです。「やりにくいですね」と仰いますので、「それなら、どうして民主党を応援したんですか」と聞いたら、苦笑していました。

 昨夜、「ILO労働側理事―中嶋前理事に感謝し桜田新理事を励ます集い」に出席しました。中嶋滋さんとは顔見知りですので、一言、ねぎらいの言葉を申し上げたいと思ったからです。
 新しく労働側理事になられた桜田高明さんにもご挨拶しました。高島屋の労働組合のご出身で、JSD(サービス・流通連合)会長、UNI-LCJ(ユニオン・ネットワーク・インターナショナル日本加盟組織連絡協議会)議長、連合副会長などを歴任された方です。
 「集い」には仙谷由人前官房長官も顔を見せていましたが、挨拶の途中で姿を消しました。1時間半の「集い」の半分以上は挨拶で、飲み食いする時間は40分ほどしかありません。

 会場で、ILO協会の方から3月で解散すると聞いて驚きました。「民主党政権の下で、どうして解散なのか」と言われるとぼやいていましたが、私もそう思います。
 でも、何とか後継の新組織を作りたいということのようです。中嶋さんは、退任後、この新組織の立ち上げに尽力されるとのことでした。
 「国際労働基準は工場の門前で立ちすくむというのが日本の現状だ。何とかしてこれを変え、ディーセントワークの実現に取り組みたい」と、中嶋さんは仰っていました。今後のご活躍に期待したいと思います。

 「この後、時間ありますか。近くにいい店があるんです。ちょっと寄っていきませんか」と、旧知の方から誘われました。案内されたのは、日暮里駅東口前の「馬賊」という中華料理屋です。
 生ビールに餃子、ザーサイを頼み、一杯やりながら情報交換をしました。話の途中、バシンバシンという音が聞こえます。
 何だろうと思って振り返ってみると、麺を打っています。両手に撒いた麺を伸ばしてひねってたたきつけていたのです。後で、これを使った担々麺をいただきましたが、大変美味でした。

 ちょうどこの頃、国会では11年度予算案が衆院予算委員会を通過していたようです。民主党は力づくで予算を通したわけですが、野党との関係は一段とこじれることでしょう。
 朝刊の見出しを見ていて、昨晩の連合最高幹部の嘆きの言葉がよみがえってきました。「呆れるというより、悲しい」という言葉が……。

1月29日(土) 雇用には経営者の意図が深く関わっている [労働]

 昨日のブログで、この間の事態を「まともな経済学者」はまともに説明できるのか、と書きました。賃金が下がっているのに、何故、雇用が増えないのかという問題についてです。
 民間労働者の賃金は、08年から09年にかけて、一人当たり23万7000円も落ち込んでいますが、それなのに09年と10年の完全失業率は5.1%と高止まりしたままです。労働力商品の単価(賃金)が下がっているのに、需要が高まらず、雇用は増えていないのが現状です。
 それは、労働力商品の需給には、一般の商品以上に購買側である経営者の意図が深く関わっているからです。現実の労働力の売買は、賃金が安ければ雇い、高ければ首を切るなどという単純なものではありません。

 もっとも、一般の商品でも、現実における売買は価格だけに左右されているわけではないでしょう。確かに価格も一つの要素であり、今日のようなデフレ状況の下では安い方が売れると、一般的には言えますが……。
 しかし、買う側の必要性や商品の品質によっても、売買は左右されます。高くても必要があれば買うでしょうし、質の良い方を選ぶこともあります。
 労働力商品の場合には、一般の商品以上に、このような事情が左右します。経営の拡大や増産を考えていれば雇用を増やしますし、特殊な技術を持っていたり、優秀な人材であれば購買価格(賃金)は高くなります。

 この他にも、公的政策による指導や誘導、助成措置などによって雇用を増やす場合もありますし、労使交渉によって賃上げをすることもあります。経営の状況が良くなれば雇用を増やし、倒産しそうになれば整理解雇するということもあるでしょう。
 つまり、価格(賃金)の決定や雇用の量には、経済法則以外の様々な要素が関わっているということになります。経済学の原論だけで説明できるほど、労働の世界は単純ではありません。
 なかでも、雇用の増減において、経営者の意図は大きな要素を占めています。だからこそ、私は「経営者よ 目をさませ」と書きました。

 現在の厳しい経済状況の下でも、賃金を上げたり、雇用を拡大したりする余地がないというわけではないからです。大企業では内部留保が224兆円にも積み上がっていますから、原資がないという言い訳は通用しません。
 昨年から今年にかけて景気回復の兆しが見え、経済状態は上向いていますから、今後の見通しが暗いというわけでもありません。懸念材料があるとすれば、それは内需が冷え切っているという点なのです。
 これを解決するためには、新興国相手の外需依存だけではなく、内需を意識的に拡大することが必要です。そのためには「可処分所得」を増やさなければならず、賃上げや減税を行うべきだというのが、1月25日付でアップした論攷「歪む社会 経営者よ目をさませ」で書いた趣旨です。

 この論攷の最後で、私は「賃金の引き上げは、そのための第一歩」であり、「それによって内需を拡大し、景気を回復することこそ、今日の苦境から脱出できる唯一の活路なのではないでしょうか。労働組合の取り組みが、いま社会全体のために求められているのです」と、書きました。この「社会全体」の中には、経営者も入っています。
 内需の拡大と景気の回復は、企業業績の回復にも結びつくからです。とりわけ、外需に頼ることのできない産業や企業、地方の中小企業などにとって、それこそが最も必要なことだと言うべきでしょう。
 賃金を上げることによってデフレ不況を脱却することは、働く人々に利益をもたらすだけではありません。それは、企業にとっても大きな利益をもたらす国民的な課題になっているのです。

 今回の春闘は、そのための絶好のチャンスなのです。労働組合には、このチャンスを生かして、是非、景気回復のきっかけを作ってもらいたいものです。

1月28日(金) 「超氷河期」をどのようにして克服するのか [労働]

 私のブログを読んでいながら、こんなことも分からないのかと嘆くべきでしょうか。それとも、こんな方でも私のブログを愛読してくれていると喜ぶべきでしょうか。
 この間、何回かコメントしていただいた「氷河期」さんのことです。彼(彼女?)は、次のように書いています。

経営者は、使えない中高年をリストラして、若者を雇おうと思っているのに、組合が反対してるんですよ。そんなこともご存知ないのですか?
ま、若者もバカではありませんから、経営者と組合のどちらが若者の味方なのか、しっかり見てますよ。
こんなことをやっていて、これから10年後に、日本に「労働組合」というものが残っているでしょうかねえ?

ろくに働きもしない年収1000万の中高年を1人リストラすれば、年収500万の若者を2人雇用できます。
若者もバカではありませんから、「団結」なんていう言葉が、中高年の既得権を守るためのごまかしに過ぎないことをちゃんと見抜いてます。
いくら言葉でごまかしたところで、こういう単純な事実を否定することはできませんよ。競争社会の中で、自分の力を高める努力を怠ったものが惨めな暮らししかできないのも当然のことでしょう。それは「自己責任」などと改めて言うまでもない、当たり前のことです。
競争を否定した社会主義国が、資本主義国よりもはるかに劣る惨めな生活水準しか実現できず、結局自分たちの国民にも見放されて消滅していった歴史に学ぶべきですね。日本が一流国から転落したくなければ。

大学卒の就職内定率が60%というご時世に、「俺たちの給料をもっと上げろ!」ですか。それは自己中心的なんじゃないでしょうか?
日本の未来を真剣に考えたら、もっと若者のことを大事にしなければならないのではないでしょうか?
一つぐらい、「俺たちはリストラしていいから、もっと若い人を雇え」と要求する労働組合はないんでしょうか。

最近、大阪大学の大竹文雄先生編集した「こんなに使える経済学」(ちくま新書)を読みました。この本の第6章に、今の日本で、中高年をリストラできないために若者がどれだけ酷い被害を受けているか、分かりやすく説明されています。また、最低賃金を引き上げると、それまで最低賃金で働いていた人が失業し、かえって貧しくなってしまうというメカニズムも説明されています。
このように経済というのは、表面だけを見ていたのでは理解できない複雑なものです。経済について責任ある発言をしようと思ったら、まず、この本のような「まともな経済学者」が書いた本をしっかり読み、経済学の最低限の常識を身につけてからにしていただきたいものです。易しく書かれているので、誰でも読めます。 (以上、引用終わり)

 「氷河期」さんの主張は単純です。〈給料の高い中高年労働者をリストラすれば若者の雇用は増えるはずだ。それに反対して自分たちの給料を上げろという労働組合は若者の敵だ〉と言っているわけです。〈雇用維持のためには、最低賃金も引き上げるべきではない〉と……。
 これが、「まともな経済学者」の主張だというのです。大竹先生が、こんな単純な主張をされているとは思えませんが……。

 「経済学」では、商品の価格と需要の関係は、次のように説明されるでしょう。商品の価格が上がれば需要は減少し、価格が下がれば需要は増加すると……。
 労働力も商品ですから、販売価格(賃金)が上がれば雇用は減り、下がれば雇用は増えるというわけです。「氷河期」さんの主張されていることは、基本的にはこのような内容であり、だから単純だと書いたのです。
 もしそうであるなら、原資が変わらなければ、賃金が下がれば下がるほど雇用は拡大するでしょう。したがって、「最良の雇用対策」は賃下げであり、賃金の安い労働者を増やすことだということになります。

 この間、政府や経営者は、このような政策を採り続けてきました。つまり、「最良の雇用対策」を実施しつつづけてきたわけです。
 「氷河期」さんが主張される中高年リストラを行い、賃金の高い正規労働者を減らして非正規労働者に置き換えてきました。労働者の賃金は1998年をピークに、減り続けています。
 その結果が、今日の状況です。「氷河期」どころか「超氷河期」となって、若者の雇用を増やすためにもっと中高年の首を切れ、最低賃金の引き上げなどとんでもない、賃金を減らして雇用を拡大せよという主張が声高に叫ばれるほど、深刻な雇用状況が生まれています。

 おかしいではありませんか。この間、「失われた20年」と言われるような状況の下で、低賃金労働者が増え続け、給与が下がり続けているにもかかわらず、どうして雇用は増えていないんでしょうか。
 失業率が5%で高止まりし、「超氷河期」と言われるほどに就職難が拡大しているのは何故でしょうか。「まともな経済学者」なら、この現実をまともに説明できるのでしょうか。
 さらなる中高年リストラ、低賃金労働者の増大、賃金の引き下げが、これまでとは異なって、雇用増をもたらすという保障は一体どこにあるのでしょうか。そんなことをすれば、ますます景気は悪くなり、雇用状況は悪化するにちがいありません。

 労働力は商品ですが、生きた人間に宿る力です。それは一般の商品とは異なって、安いからと言って販売を手控えることも、ストックしておくこともできません。
 ですから、どうしても供給過剰になり、売る側は買う側に対して弱い立場に立つことになります。したがって、労働力は使用者に対して経済的従属性を帯びることを免れない特殊な商品なのです。
 この従属性から来る立場の弱さを克服し、対等な立場で交渉するために労働組合が結成され、それを補完する様々な労働政策も策定されてきました。労働力商品は団結しルールに守られることによってはじめて対等な契約関係を実現できる――このことは、労働問題に関わる人々にとっての常識でしょう。

 「氷河期」を名乗るのであれば、現実を直視し、それを解決する方策について、もう少しまともに考えたらどうでしょうか。「自分の力を高める努力を怠ったものが惨めな暮らししかできないのも当然のこと」という「自己責任」論に囚われているかぎり、「氷河期」を克服することなど、できるはずはないのですから……。

1月12日(水) 「全労連・国民春闘共闘委員会合同新春旗びらき」から帰ってきた [労働]

 今、帰ってきたところです。「全労連・国民春闘共闘委員会合同新春旗びらき」に出て来ました。

 今日、研究所で、私宛に届いた年賀状を受け取りました。海外からのものもあります。
 ソウル大学日本研究所の韓所長と聖公会大学労働運動史研究所の李所長からも、年賀状をいただきました。ありがとうございます。
 大原あかねさんからの年賀状もありました。これは嬉しい。昨年の大原美術館の創立80周年記念祝賀会でお会いした大原孫三郎の曾孫に当たる方です。
 これらの方に、この場を借りてお礼申し上げます。年賀状、ありがとうございました。

 その後、早めに研究所を切り上げて、都心に向かいました。上記の旗びらきに出席するためです。労働組合関係者と名刺を交換して顔見知りになるのも、大原社研の所長としての仕事のうちですから……。
 旗びらきの司会は全労連の小田川事務局長、主催者挨拶は国民春闘共闘委員会代表幹事の国分博文さん、来賓として挨拶されたのは、MIC議長で新聞労連委員長の東海林智さん、婦団連会長の堀江ゆりさん、日本共産党委員長の志位和夫さん、ILO駐日事務所の林雅彦さんの4人です。
 このうち、国分さんと志位さん以外は、全て面識のある方ばかりです。堀江さんとは昨年11月の講演会でお世話になり、会が始まる前にご挨拶しました。
 志位さんとは、これまで何度も同席する機会がありましたが、何となく挨拶するチャンスを失していました。今回、初めて名刺を交換し、言葉を交わすことができました。

 そのほか、旧知の方や先輩にもお目にかかりました。自治労連の野村幸裕委員長、全教の山口隆委員長、国公労連の宮垣忠委員長、労働総研の藤田宏事務局次長、共産党国民運動委員会責任者の浦田宣昭常任幹部会委員などの方にも紹介していただき、名刺を交換しました。
 このとき、私のブログが話題になり、ある方から、いつ、再開するのかと聞かれました。ここにも、読者の方がおられたんですね。
 反省しましたね、これは。ちゃんと書かなければならないと……。

 というわけで、帰宅してから、大急ぎで、このブログを書いているというわけです。大げさに言えば、それは私にとってある種の「社会的責任」になっているという気がしたものですから……。
 それに、木の升で樽酒を飲んだら、元気が出てきました。行き帰りの電車の中でジッと我慢して目をつぶっていたこともあって、何だか快方に向かっているような気もしますし……。

 できるだけ、更新回数を増やすことにしたいと思います。しかしそれも、書くことがあればの話ですが……。

8月7日(土) 最低賃金引き上げによって生ずる中小企業の負担増は大企業から補填するべきだ [労働]

 今年度の最低賃金の引き上げ目安額が決まりました。平均で15円の引き上げです。これで、現行時給平均713円は平均728円になります。
 これについて、『毎日新聞』8月5日付は、次のように報じています。

 厚生労働相の諮問機関「中央最低賃金審議会」の小委員会は5日、最低賃金(現行時給平均713円)の引き上げ目安額について、全国平均を02年度以降では最高の15円とすることを決めた。引き上げ幅は最高の東京や神奈川で30円、最低でも青森など41県の10円となった。最も低い水準の沖縄や宮崎など16県では初の2ケタの引き上げで、使用者側は6日に予定されている審議会本審への報告に反対。20年の全国平均1000円を目指す労働側は「目標に向けた第一歩」と一定の評価を示した。

 これに対して、日商の岡村会頭は次のようにコメントしています。http://www.jcci.or.jp/recommend/comment/2010/0805155221.html

 今般、中央最低賃金審議会目安に関する小委員会において、全国平均で15円、全国の都道府県をA,B,C,Dの4つのランクに分けて、すべてのランクで10円(生活保護との乖離解消分を除く)という最低賃金の大幅な引上げ額の目安が示されたことは、誠に遺憾である。
 最低賃金法において、最低賃金は、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払い能力、の3つを考慮して定めなければならないとされている。これに関して、厚生労働省の平成22年賃金改定状況調査によると、賃金上昇率は前年比でマイナスであり、法人企業統計によれば、資本金1億円未満の企業の生産性は、低下もしくは停滞傾向にあって、大幅な引上げはこうした実態とかけ離れている。
 一方、日本商工会議所が本年5月~6月に実施した「最低賃金に関するアンケート調査」結果によると、最低賃金近辺で雇用している小規模企業の半数が、「最低賃金が10円程度引き上げられると経営に影響が出る」と回答している。最低賃金の引上げについては、まず、こうした影響が出るという小規模企業に対してどのような対策を取るのかを真剣に議論した上で検討すべきである。

 非正規労働者が著しく窮乏化していることは誰もが認めるところであり、日商の岡村さんもそのことは否定しないでしょう。それは最低賃金が低すぎるからであり、そのために働いても生活できないワーキングプアが増えているということにも、岡村さんは同意されるはずです。
 しかし、それは一方での事情にすぎない。問題は、「資本金1億円未満の企業」であって、最低賃金を上げれば「影響が出るという小規模企業に対してどのような対策を取るのかを真剣に議論した上で検討すべき」だというのが、日商の言う「遺憾」の意味です。
 つまり、小規模企業に対してきちんとした対策を行えば良いのです。そうすれば、日商とて最低賃金の引き上げには反対できません。ワーキングプアを放置しても良いというのでない限り……。

 中小企業に対する適切な助成措置を取りながら、最低賃金の引き上げを行えば良いのです。そうすれば、2020年までの目標として「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指すこと」が可能になります。
 しかし、問題は助成措置にはお金がかかるということです。この原資をどこから持ってきたら良いのでしょうか。
 それは、低い最低賃金によって大きな利益を得たところが出すべきです。正規労働者に代えて低賃金の非正規労働を大量に採用することでコストダウンを図り、内部留保を拡大してきたグローバル大企業こそ、この間の低賃金政策の最大の受益者だったのですから……。

 一時、大企業の内部留保が倍加したことが話題になりました。内部留保が急膨張を始めたのは1999年度以降のことで、10年間で209.9兆円から428.7兆円へと218.7兆円も増加したことが、労働総研の調査で判明しました。
 それは、賃金の切り下げや非正規労働者の解雇など労働者の犠牲と下請単価切り下げなどによる中小企業への犠牲転嫁の上に積みあがったものだというのが、労働総研の分析でした。そうであれば、これを労働者と中小企業に還元するのは当然ではありませんか。
 どうしてこれほど内部留保が増えたのか。もう少し細かく見れば次のようになります。

 第1に、2002年から07年までの5年間にわたる景気の回復がありました。この5年間、グローバル企業は過去最高益を更新し続け、儲けを増やしていたのです。
 第2に、法人税の引き下げや租税特別措置、研究開発減税など、各種の大企業優遇税制がありました。税金が減ったり、様々な名目で払わずに済んだり、あるいは斉藤さんが『消費税のカラクリ』で指摘されるような輸出企業への消費税の還付金(2008年度の総額は約6兆6700億円)によって、グローバル企業は税制面で大いに優遇されてきました。
 第3に、これも既にこのブログで指摘したことですが、日本的雇用慣行の縮減と変容です。このような慣行によってそれなりに「保護」されていた正規労働者は非正規労働者に置き換えられ、正規労働者の年功的処遇のあり方は成果・業績主義に取って代わられ、人件費コストの「節約」が進みました。これに関連して、斉藤さんは『消費税のカラクリ』で、非正規労働者の人件費は給与ではなく物件費扱いであるために「仕入れ税額控除」の対象となり、「合法的な節税」が可能であることを指摘しています。

 ということで、かつてないほど大いに儲け、税金をまけてもらい、人件費中心にコストを削減してきたのが、過去10年ほどのグローバル大企業なのです。内部に巨額の資金が貯まるのも当然でしょう。
 それをはき出させるというのが、最も理にかない、現実的な方法だと思いますが、いかがでしょうか。労働者と中小企業を犠牲にして貯め込んだ利益なのですから、その結果、苦境に陥った労働者や中小企業を救うために、その一部を召し上げるというのは、当たり前のことではないでしょうか。
 そういえば、今年の2月、共産党の志位委員長と鳩山首相との党首会談がなされたとき、鳩山首相は大企業の内部留保への課税の可能性に言及したことがあり、志位委員長は「鳩山首相の側から『(留保金への)課税という手段もある』というようなことをおっしゃった」と証言しています(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-03-02/2010030208_01_0.html)。菅首相は、この前任者の発言を重く受け止め、きちんと具体化するべきでしょう。

 それにしても奇異なのは、企業負担増大への日商の対応です。最低賃金が上がれば、すぐにコメントを出して「遺憾だ」「経営に影響が出る」と大騒ぎしますが、消費税については音無しの構えです。
 消費増税についても、「消費税に関するアンケート調査」を実施したらいかがでしょうか。「経営に影響が出る」という回答が多くなるにちがいありません。
 小企業への影響という点からすれば、消費増税の方が甚大な被害を与えるのではないかと思われます。この点について、中小企業の代弁者たる日商の岡村さんはどう考えておられるのでしょうか。



8月4日(水) 「労働再規制」と所得の再配分のための税制改革こそが求められている [労働]

 今日の新聞に、『労働経済白書』の内容が報じられていました。『東京新聞』は次のように書いています。

「非正規労働者が増加して所得格差が広がった背景に、労働者派遣制度の規制緩和や、企業がコスト抑制志向を強めたことがあったと分析。派遣の対象業務の自由化を進めるなど、政府の労働分野の規制緩和が所得格差を助長させた、と総括した異例の白書となった。」

 企業で働く人びとの年収は、1997年と2007年とを比較すれば、10年間で100万~200万円台半ばの低所得者層の割合が高まったこと、大企業が非正規労働者を増やしたことが低所得者層の増加や格差拡大を招き、所得や消費の成長力が損なわれたと主張していることも報じています。
 このようなことは、拙著『労働再規制』でも再三、指摘していたことです。しかし、「何を今更」などというのはやめましょう。
 当たり前のことが認識されるようになったのは、大変、良いことです。これも、政権交代の成果でしょうか。

 『東京新聞』8月2日付は2007年時点での「ワーキングプア641万人」と報じています。「現役世代(20~64歳)の男性労働者の9.85%、女性労働者の13.39%が該当」するそうです。
 ここで「ワーキングプア」とされているのは、「標準的な世帯所得の半分(1人世帯で約124万円)以下」です。『労働経済白書』が問題にした「低所得者層」(100万~200万円台半ば)の中でも下位に属する人びとであることに注意していただきたいと思います。
 その「低」低所得者層でさえ、641万人もいるというのが、厚生労働省研究班による推計です。以前に指摘したとおり、日本が「大貧困社会」に突入していることは明らかでしょう。

 このように貧困が拡大しているときに、消費税の税率を引き上げて低所得者層の負担を増やそうなどというのは、全く逆転した発想だと言わざるを得ません。調査にあたった阿部彩国立社会保障・人口問題研究所部長が指摘するように、「ワーキングプアの解消には恒常的な所得補てんが必要」なのです。消費税増税による「恒常的な所得収奪」ではありません。

 これらの報道から明らかなことは、労働者派遣法の改正による「労働再規制」が急務であること、所得の再配分を可能にするような税制改革こそが求められているということではないでしょうか。

5月16日(日) ブラック会社と周辺的正社員の問題を解決するために「若者よ、起て」 [労働]

 久しぶりに、熊沢誠先生にお会いしました。昨日の午後、明治大学で開かれた「職場の人権」研究会に出席したからです。

 以前にお会いしたのも、大阪で開かれた「職場の人権」研究会でした。そこで、私は報告者として話をし、その内容は職場の人権研究会の雑誌『職場の人権』9月号(第60号)に掲載され、09年10月7~8日付のブログにもアップしました。
 今回は、久しぶりの東京での開催です。しかもテーマは「ブラック会社で働く若者たち-周辺的正社員の明日」というものでした。
 以前、研究所の運営委員をお願いしていた法政大学社会学部の樋口明彦先生が司会で、報告者は、研究所のプロジェクト「労働運動再活性化国際比較研究」に加わっていただいている明治大学の遠藤公嗣先生、それに著名な本田由紀先生、おまけに、昨年お世話になったNPO法人POSSEの代表である今野晴貴さんというラインナップです。出席しないわけにはいきません。

 というわけで、明治大学のリバテイ・タワーにやってきました。会場は、この3階にある大教室です。明治大学の学生と思われる若い人々を中心に100人以上の方が出席され、大盛況でした。
 遠藤さんは、労働問題に対する学生の反応は、2年ほど前から大きく変わったという話をされていました。労働相談などに取り組んでいるPOSSEの今野さんも、全国で150人ほどの若者がボランティアで協力していると話されていました。
 労働問題についての若者の意識が変わってきたということでしょうか。それだけ、青年をめぐる労働のあり方が厳しくなってきているということの反映でもあるでしょう。

 報告と質問、それに対する回答は、いずれ雑誌『職場の人権』に掲載されます。ここでは、いくつか印象に残ったことを、紹介しましょう。
 その第1は、正社員といっても定期昇給や賞与のない人々が存在しているということです。これが「周辺的正社員」ですが、この言い方は、会場にも顔を見せていた木下武男さんが最初に使ったものです。
 このシンポジウムの趣旨を説明された熊沢先生は、この周辺的正社員の状況をそのままにして、非正規労働者の正規化を進めても問題は解決しないということを強調されていました。特に、低賃金と長労働時間の二つを解決することが課題であり、職場の労使関係における労働組合の規制力を強めなければならないと力説されていました。

 第2に、自分の働きで家計収入を支えなければならない家計自立型非正規労働者と周辺的正社員との相互補完性が指摘されていたことです。一方の存在が他方の存在を支えるという関係にあるというのです。
 この両者を解決するためには、「失業の自由」が必要だという指摘もありました。どのように賃金が低く労働条件の悪い仕事であっても、いったん正社員でなくなってしまえば非正規での仕事くらいしか残っていません。
 再就職が厳しく、失業できないために、労働条件が悪くても正社員の仕事にしがみつくという状況が生まれているというわけです。雇用保険の充実や職業訓練など、失業を可能にするセーフティーネットの充実が働く条件の向上にも役立つという点が重要でしょう。

 第3に、ブラック会社では、賃金・労働条件が劣悪であるだけでなく、雇用もまた、極めて不安定です。特に、景気が悪く、就職希望者があふれている現在、代わりはいくらでもいるから、いつでもクビが切れるという会社側の意識が強まっているという指摘がありました。「失業の恐怖」が、周辺的正社員の存在を許しているというわけです。
 我慢できなくなって会社を辞める例も多いようですが、そのときでも「自己都合扱い以外では離職表を出さない」といいます。離職表が出なければ雇用保険をもらえません。
 また、いじめやパワハラが雇用調整の手法として用いられているという話には驚きました。面談で相手を追い込んで辞めさせるためにパワハラ専門の職員までいるそうで、その結果、人格が破壊され、親から相談が寄せられても、職場のことを思い出すと過呼吸になるため本人と話ができないそうです。

 第4に、ブラック会社で働く若者の意識について、「やりがい」と「能力主義」が落とし穴になっているという指摘もありました。このような意識が、若者の異議申し立てを阻む壁になっているというのです。
 働く上での「やりがい」は重要ですが、今の若者はこの点へのこだわりが強く、「やりがい」があれば、低賃金・劣悪条件の下でも、ついつい働きすぎてしまうといいます。
 過労死についても、しばしばこのような問題が指摘されますが、ブラック会社や周辺的正社員から抜け出せない背景としても、このような意識があるというわけです。また、社会や会社への不満を持っていても、能力主義的な発想が強ければ「自己責任」論にとらわれ、集団的な解決の方向には向かいません。

 このような問題を解決するには、どのような政策的対応が必要なのかと、私も質問しました。EU型の労働条件を実現しなければならない、というのが、熊沢先生のお答えでした。私もそう思いますが、そこにいたる道程はなお遙かなり、と言わざるを得ません。
 学校教育や公的な職業訓練のあり方の重要性も指摘されました。これまでの学校教育はあまりに教養主義的であり、職業教育と労働の権利についての教育の両方をもっと強めていくべきだというわけです。

 ブラック会社をなくす、周辺的正社員の労働条件を改善する、民事的な殺人とも言えるほど苛酷な働き方や馘首のあり方を是正すること―そのいずれもが必要です。そのためには、職場での労働組合による規制力を強めると共に、法的制度的な条件整備にも取り組まなければなりません。
 報告の最後で、遠藤さんは「大きな社会変革に必要なエネルギーをもつのは若者のみである」と指摘しつつ、「若者よ、起て」と呼びかけておられました。私も、それに和して呼びかけたいと思います。
 「若者よ、起て」

4月21日(水) 育児休業明けの母親に対する嫌がらせは社会的犯罪だ [労働]

 「育休切り」という言葉をご存じでしょうか。妊娠・出産、産前産後休業および育児休業等の申し出や取得を理由とする解雇のことです。
 たとえ、解雇されなくても、育休明けのお母さんに対する嫌がらせや不利益取り扱いは頻発しているようです。4月20日の『しんぶん赤旗』のコラム欄「まど」に紹介されていた事例は、事態の深刻さを示唆しているように思いました。

 「育休明けの嫌がらせ」というこの記事によれば、テレビ番組の制作に関わっていた母親が、「育休明けで職場に戻ると、番組制作とは関係のない管理部に異動」になったそうです。また、以前の職場は最寄り駅から電車で5分の所にあった母親の場合、「育休明けは電車を乗り換えて30分以上かかる関連会社に出向」になってしまったといいます。
 「0歳と2歳の子供の保育園をかけもちするする彼女。雨の日は送るだけで1時間かかります」。記事は、「『やめろっていうこと?』と怒る彼女」と書いていますが、怒るのはもっともでしょう。

 「もっとひどい話」もあるそうです。「大田区では、育休明けで職場に行くと、自分の席がなかった母親がいました。彼女はショックを受けてうつ病になり、自殺したといいます。」
 記事は「女性が安心して働ける環境があまりに貧弱なことに怒りがわきます」と書いています。私も子育てには苦労しましたから、この記事を読んで、大きな「怒り」を感じました。
 実は、昨年の3月16日、厚生労働省の大臣官房地方課長と雇用均等・児童家庭局長名で、「いわゆる『育休切り』への厳正な対応等について」という文書が出され、妊娠・出産、産前産後休業および育児休業等の申し出または取得を理由とする解雇その他不利益な取り扱い(いわゆる「育休切り」)に対して、未然防止のための周知徹底をはかるよう指導がなされています。それだけ、このような「育休切り」の増加が懸念されるような状況だったということです。

 実際に、全国の労働局などに寄せられた「育休切り」の相談件数は09年2月末までの11カ月間で1107件に達したと、この日に発表されています。09年度1年間と比べても25%以上の増加で、相談件数は過去最高になっていました。
 しかし、厚労省の通達にもかかわらず、「育休切り」はなくなりませんでした。それどころか、厚労省の懸念通り、相談件数は急増したのです。
 12月24日、厚労省は09年度上半期(4~9月)に全国の労働局に寄せられた相談数をまとめました。それによれば、育児休業の取得を理由に解雇される「育休切り」などの相談は848件に上り、最悪だった08年度(1262件)を上回るハイペースで増えつづけていたのです。

 子供ができたら首を切られる、などということが許されてはなりません。日本は解雇規制が強すぎると主張している人は、このような事例をどう考えるのでしょうか。
 たとえ、首にならなくても、不利益な取り扱いがなされているのも大きな問題です。それまでの部署から異動させられる、子育てしづらいような職場に出向させられる、職場での席がなくなってしまうなどの嫌がらせなど、とんでもないことです。
 厚労省の文書は、労働者からの相談への丁寧な対応、均等法または育介法違反の疑いのある事案についての迅速かつ厳正な対応、事業主に対し、適切な取扱いについて周知徹底する、相談窓口の一般への周知、個別労働紛争解決制度の活用などを掲げていますが、「生ぬるい」という印象です。このような事業主は、厳罰に処されるべきです。

 これでは、働く母親は安心して子供を生み、育てることができません。子どもが少なくなるのは当然でしょう。
 育休への嫌がらせは、当事者である母親の不利益になるだけでなく、子育てを困難にし少子化を進行させるという意味で、社会的犯罪にほかなりません。女性が働きやすく、安心して子供を生み育てることができるような社会をどう作るかは、今日の日本が直面している最大の課題であるというべきではないでしょうか。

4月9日(土) JR不採用問題の政治決着を祝う [労働]

 23年ぶりの朗報です。国鉄分割・民営化に際して不採用となった、国労などの組合員の問題が決着しました。先ほど、この問題について毎日新聞の記者から取材の電話もありました。

 これは政権交代の成果です。これだけでも、自民党を政権の座から追い出した甲斐があったというものです。
 政治決着に向けての政府案は、87年の国鉄分割・民営化の際、不採用となった国労組合員ら1047人のうち、係争中の原告(遺族を含む)910世帯に、1人当たり2200万円を鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払うというものです。原告側が訴訟を取り下げるのが条件です。

 解決金は、当初の案では1人当たり2400万円でしたが、2200万円に値切られてしまいました。長年の苦労からすれば2400万円でも少ないくらいで、2200万円の和解金では多くの不満が残ると思います。
 しかし、それでも、決着できて良かったのではないでしょうか。国労など関係団体・関係者の英断を高く評価したいと思います。
 良かったですね。不正・不条理を許さず戦い続け、国鉄労働者の誇りを守るための長年のご苦労が報われましたね。

 しかし、今後の課題も残されています。再就職の問題です。4党案は、政府がJR各社に約200人の雇用を要請することを求めていましたが、JR側は「解決済み」として、受け入れない可能性があります。
 現に、政府案は「努力はするがJRに強制できず、希望通りの人数が採用されるか保証できない」との文言が盛り込まれたそうです。JR側に丸投げすることは許されません。強力に指導するべきです。
 JR側も、採用に向けて努力するべきです。そのために、世論を高めて強力な圧力をかけることが、今後も必要でしょう。

 もう一つ、是非やって欲しいことがあります。政府あるいは首相の談話を出すことです。このような問題を引き起こした政府やJR側の責任を明らかにし、採用拒否された方々に詫びるとともに慰労することが必要でしょう。
 昨年2月16日、「JR不採用問題 解決へ!2・16中央集会」で民主党の幹事長だった鳩山さんは、JR不採用問題を24年を超えないで解決すると挨拶されました。今回の政治決着は、その言葉を守ったものとして高く評価したいと思いますが、そのような鳩山さんであればこそ、首相談話を出すことも可能でしょう。
 できることなら、前原国交相も直接、1047人の代表と面会してお詫びしてもらいたいと思います。そのためにこそ、社民党の辻元清美さんが国交省の副大臣になっているのではないでしょうか。

 実はもう一つ、嬉しい知らせがありました。心配していた福島大学の松川資料室の存続が決まったのです。
 基金を設けて、福島大学が研究員を引き続き雇用することになりました。4月1日からは、学内に松川事件研究所も発足したはずです。
 昨年秋の松川事件60周年全国集会以降、ずっと気になっていた問題でした。望ましい方向で解決がはかられたのは、大変、喜ばしいことです。

 運動すれば、いつかは実現するという実例が二つも生まれたということになります。諦めずに運動を続けていれば、雨だれが岩に穴をうがつように、いつの日か政治の壁も崩すことができるということでしょうか。

3月19日(金) JR不採用問題の解決に向けての好機を逃してはならない [労働]

 昨日、研究所のプロジェクト「戦後社会運動史研究会」の研究会が、法政大学の市ヶ谷キャンパスでありました。その途中、突然、携帯電話がかかってきました。毎日新聞の記者からのものです。

 家を出るときにも電話があり、携帯電話の番号を教えてありました。JR不採用問題の政治解決に向けて、与党3党と公明党の4党案がまとめられ、前原国交相に申し入れがなされるらしいというのです。
 その内容が明らかになったら、私にコメントして欲しいというわけです。それがいつになるか分からないので、携帯電話の番号を教えておきました。
 研究会が終わってから、皆さんと一杯やるつもりでしたから、「その後になったら困るなー」と思っていました。しかし、予想より早く、研究会の最中にかかってきたというわけです。

 慌てて室外に出て、記者の質問に答えました。その記事が、今日の『毎日新聞』の社会面に出ています。
 4党がまとめた解決案は、和解金を1人平均約2400万円、JR北海道やJR九州などに200人程度の雇用を要請する、などが柱です。これに対する私のコメントは、次のようなものです。

 労働問題に詳しい五十嵐仁・法政大教授は「長年の苦労に見合わない低い額だろうが、長期化した問題を決着させるにはこの好機を逃してはならない」と指摘。200人の雇用が盛り込まれたことについては、「解雇無効の司法判断がない中で、一定の雇用枠を設定したことは評価できる」と述べた。

 当初の4党案での和解金はもっと多額でした。しかし、これに対して、前原国交相が異論を唱え、減額されて今回の案になりました。
 私が「長年の苦労に見合わない低い額」だと言ったのは、このような事情を知っていたからです。当事者にとっては、大きな不満が残るにちがいありません。
 しかしそれでも、この好機を逃してはならないと思います。今回のチャンスを逃せば、政治解決の機会が失われる可能性が高いからです。

 鳩山首相にとっても、大きなチャンスでしょう。少しでも和解金を上乗せし、雇用者数を増やしたうえで問題を決着させれば、その指導力が高く評価されるにちがいありませんから……。
 それぐらいのことをやって見せたらどうですか。鳩山さん。

 なお、明日から3日間、上の娘夫婦を連れて故郷の新潟に帰省します。娘は子供時代、2年弱の間、実家に預けられていましたので、新潟は第二の故郷ということになります。
 昨年の夏、この娘が某国の青年と国際結婚し、そのお披露目と顔合わせを兼ねての帰省です。この正月には帰りませんでしたから、私にとっても久しぶりの古里になります。