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9月30日(日) 沖縄県知事選でのデニー当選で始まった巨大な新しい政治革新へのうねり [選挙]

 昨日、香川県での講演を終えて、そのまま東京に帰ってきました。台風の襲来に備えての早期帰京です。
 それに、沖縄の県知事選挙の結果も気になりました。自宅にいて、この結果がどうなるかを注目していたいと思ったからです。

 その沖縄県知事の選挙です。午後8時の投票が締め切られた直後に当選の報が飛び込んできました。事前投票の事前調査や今日の投票の出口調査などによる速報だったと思います。
 こんなに早く、嬉しいニュースが飛び込んでくるとは思いませんでした。それだけ、玉城デニーさんの優勢がはっきりしていたということでしょう。
 最終的な票差や各地での得票状況はまだ分かりませんが、デニーさんは全県くまなく得票し、圧勝したのではないでしょうか。

 この選挙結果は、辺野古の新基地建設と普天間の飛行場の閉鎖撤去をめぐる今後の推移を大きく左右することになります。新基建設をストップさせ、普天間基地を返還させる大きな力となることでしょう。
 それだけでなく、沖縄の経済振興など翁長さんが始めていた新時代を切り開く施策が継続されることにもなります。草葉の陰で、翁長さんも喜んでいるにちがいありません。
 私も、そのお手伝いができて、嬉しい限りです。あの暑い中、デニーさんの当選を後押しするために沖縄に行って、道半ばで急逝された翁長さんのかたきを討つことができました。

 今回の沖縄県知事選でのデニーさんの当選は、巨大な新しい日本の政治革新の始まりです。9月22日の新都市公園での集会に参加して、もし選挙で勝てば、日本全体の新時代の始まりはこの公園での集会ではないかと思いました。
 その集会では、デニーさんも翁長夫人も心に響く琴線に触れる感動的な演説をしました。その翌日、県庁前で小泉進次郎さんが駆けつけた青年集会での佐喜真陣営の演説は、どれも県民所得を増やすとか携帯電話の料金を4割下げるとか金銭の話に終始しました。
 「琴線」対「金銭」のたたかいです。負けるわけはないと、このとき確信しました。

 安倍首相は真っ青でしょう。ザマア見ろ、です。
 3選などしない方が良かったと思いたくなるようなイバラの道が今日から始まったのです。嫌になったら、いつでも辞めていいんですよ。
 3選された安倍首相に最もやって欲しいことは「辞めて欲しい」というのが、世論調査の結果なのですから。できるだけ早く、この期待に応えてもらいたいものです。

 来年7月の参院選までの1年間は、「選挙イヤー」と言われるほど選挙が続きます。地方選でも統一地方選挙でも、そして参院選でも、この緒戦での野党連合の勝利を継続させていくことが必要です。
 臨時国会での論戦も含めて安倍首相を追い込み、政権の座から追い出しましょう。沖縄で、その勝利の行軍に向けての烽火が上がったのですから。

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9月27日(木) 『日刊ゲンダイ』でのコメント [コメント]

 〔以下の私のコメントは、『日刊ゲンダイ』に掲載されたものです。〕

*9月20日付巻頭特集「圧勝予測が一転 安倍首相からどんどん票が逃げている」
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
 「今回の総裁選は、5年間のアベ政治を凝縮していると思います。力ずくで批判と不満を封じ込めてきたのが安倍政権です。逆らう者は恫喝して黙らせてきた。安倍周辺はその手法が染みついているのでしょう。だから、自分たちが異常なことをやっていることに気づかない。すべて長期政権のおごりですよ」

*9月22日付巻頭特集 「崩れた圧勝皮算用 安倍3選という「終わりの始まり」」
 「12年に一回、春の統一地方選と、夏の参院選が重なる亥年は、自民党は参院選で大敗するというデータがあります。理由は、集票マシンである地方議員が、自分の選挙が終わった直後なので、積極的に動かないためだといわれています。前回、2007年の参院選の時も、野党に過半数を奪われ、安倍首相は退陣に追い込まれています。しかも、今回、党員票で苦戦したように、地方を中心にアベ政治への不満が渦巻いています。アベノミクスの恩恵もありませんからね。モリカケも忘れていない。総裁選で起こった“地方の反乱”は、参院選敗北の前触れと見ていいと思います」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 「本来、総裁選の争点は『本当にあと3年もアベ政治を続けていいのか』だったはずです。アベノミクスは本当に成功しているのか、安倍外交は本当に成果をあげているのか、一つ一つ、検証するのがジャーナリズムの役割だったはずです。ところが、そうした視点は、ほとんどなかった。選挙日程が短縮されても、異論を唱えなかった。安倍首相が嫌がるからでしょう。大手メディアにまで、忖度が広がっているとしか思えません」(五十嵐仁氏=前出)

*9月23日付巻頭特集 「国民は腰を抜かすほど驚いている 麻生財務相の留任報道」
 「総裁選でモノ申せない国会議員に成り代わり、民意に近い地方党員がモノ申し、安倍1強に不満をぶつけても、安倍首相にはどこ吹く風です。麻生財務相続投の論功人事は国民の批判や政治のスジを通すことよりも、民意無視のお友達優遇政治を3選後も貫くという決意表明。国民への“宣戦布告”です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 「この油断人事がつまずきの元となり、その後、橋本政権は転落の一途。翌年夏の参院選で自民党は大敗を喫し、政権に幕が引かれました。1強に慢心していると、来年夏に参院選を控える安倍政権も同じ道をたどることになりかねません」(五十嵐仁氏=前出)

*9月26日付巻頭特集「強がっても負け惜しみ 安倍政権レームダック化の急加速
 「総裁選の結果は、安倍首相にとって衝撃だったはずです。党員票で<55対45>と石破さんに迫られたのはもちろん、得票が35万にとどまったからです。党員の4割が棄権してしまい、党員票104万のうち3割しか得票できなかった。職域団体などの組織票は、現職総理に入れたはずです。それでも支持はたったの3割。自民党員でもこの数字です。恐らく、一般国民の支持は2割程度でしょう。8割が“反アベ”なのではないか。来年は統一地方選と参院選が行われる。いずれ党内から『安倍首相が選挙の顔では勝てない』という声が噴出するでしょう。“安倍1強”は音を立てて崩れていくはずです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 なお、今日から9月30日まで、東大阪と香川での講演に出かけます。その間、このブログはお休みさせていただきます。
 再開は10月1日以降ということになりますので、ご了承いただければ幸いです。

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9月26日(水) 選挙とは争点への態度を明らかにし嘘をつかずに正々堂々とたたかうものだ [選挙]

 沖縄での県知事選挙が注目されています。その選挙で最大の争点となっている辺野古での新基地建設に対する態度を明らかにせず、「携帯電話4割値下げ」などできもしない公約を掲げている方がおられます。
 別名「詐欺魔」さんという方です。「隠す、ごまかす、うそをつく」という選挙のやり方まで、安倍首相から伝授されたのでしょうか。
 争点を隠さず、逃げ隠れせず、ウソをつかずに、正々堂々と戦っていただきたいものです。辺野古の海がどうなるのか、沖縄と日本の将来をどうするのかが問われている重要な選挙なのですから。

 この候補が主要な公約の一つにしているのが「携帯電話4割値下げ」です。23日に沖縄県庁前で開かれ、自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長らも参加した“青年街頭演説会”で、公明党の三浦信祐青年局長(参院議員)は、携帯電話料金の家計に占める割合が大きい現状を指摘し、「携帯料金を4割削減させる声を沖縄の青年から上げて、国を動かす仕事を、さきま候補にやってもらおう」と訴えていました。
 ポスターにも大きく「携帯電話の料金(電話代やパケット代)を4割削減させます」と書かれています。しかし、そんな権限は知事にはなく、「フェイク公約」であったことが明らかになりました。
 『琉球新報』9月25日付の「ファクトチェック フェイク監視」欄は「沖縄県知事選 公約「携帯料金を削減」→ 知事や国に権限なし」として、次のように報じています。「携帯電話会社など通信事業者を所管する総務省によると、携帯電話料金を引き下げる法律や国の権限はなく、地方自治体の長である知事にも権限はない。」

 このような選挙への取り組み方自体が、大きな争点となっています。もっと正直に誠実に、自らの考えや政策を隠したり誤魔化したりせずに、正々堂々と支持を競い合えないのでしょうか。
 このような「フェイク公約」や「争点隠し選挙」を「勝利の方程式」などと言って常用し、有権者が争点や政策について十分理解する前に「事前投票」へと動員して投票させるようなやり方は、民主的な政治制度である選挙を歪め、行政や議会の存立基盤を掘り崩すことになります。これについて、『しんぶん赤旗』2018年9月23日付に私の談話が出ていますので、参考までに紹介しておきましょう。

 「期日前投票 自民党本部が主導
  争点隠しも問われる

 沖縄県知事選(30日投票)で、自民党本部が、関係者を通じて各種中央団体に、期日前投票者数の報告を求めている問題について、五十嵐仁法政大学名誉教授は、次のように話しています。

 選挙は本来、候補者が最大争点について理念や政策を明らかにして、有権者が選択するものです。沖縄県知事選で言えば、辺野古新基地の是非がそれに当たります。
 しかし、佐喜間陣営は辺野古推進の本心を偽り、政策を明らかにしていません。これは安倍政権一流のやり方=「隠す・ごます・うそをつく」の3拍子が地方選挙にまで及んでいることを示しています。
 政策を隠して有権者に選択肢を与えず、期日前投票に動員するやり方を「勝利の方程式」などと正当な手法のように言っていますが、当選すれば何をしても良いというやり方でいいのか、県民の判断が問われています。」


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9月25日(火) 沖縄県知事選挙支援の全国革新懇集中行動期間を終えて帰京した [選挙]

 昨晩、東京に戻ってきました。沖縄県知事選挙支援の全国革新懇集中行動期間(9月21~24日)を終えての帰京です。
 沖縄は燃えています。まだ真夏のような太陽が照り、ジリジリとした焼けつくような日差しを浴びての過酷な選挙支援活動でした。

 私は、全国革新懇の代表世話人として、牧野富夫日大名誉教授と行動を共にしました。全国から駆け付けてきた革新懇の皆さんにお会いし、激励したりされたりという毎日でした。
 講演などでお世話になったりお会いしたりした方が各地におられます。それらの方との懐かしい再会や邂逅もありました。
 集会への参加、選挙事務所への訪問と激励、工事が中断されて本来の美しい姿を取り戻した辺野古の海と大浦湾の現地調査、宣伝カーやハンドマイクでの演説、事務所でのビラ折など、連日の行動に加わりました。私にとっては貴重な「参与観察」の機会となりましたが、その一端を全国革新懇事務室が発行している『革新の風』FAXニュースで紹介しましょう。

 なお、私は個人的に集めたカンパ30万円を仲山さんに手渡しました。この時、全国の仲間もカンパを持参して仲山さんに手渡しましたが、この時渡されたカンパの合計が162万円に上ったそうです。

*『革新の風』FAX ニュース683号、2018年9月22日付
 全国革新懇と沖縄革新懇は21日、沖縄知事選勝利交流決起集会を那覇教育会館で開催し、会場いっぱいの101人が参加しました。全国から現地支援に駆け付けている各地の革新懇とオール沖縄のみなさんが交流し、知事選必勝へむけ決意を固め合いました。
 仲山忠克沖縄革新懇代表世話人は開会のあいさつで「民主主義否定の勢力に県政を渡すわけにいかない。安倍政権の戦争する国づくりは辺野古新基地づくりがその中心に座っている。勝利のために頑張りましょう」と訴えました。オール沖縄1区の赤嶺政賢日本共産党衆院議員は「翁長さんの命をかけた新基地建設阻止の遺志を継ぐデニーさん勝利のため全力をあげよう」と訴えました。仲里利信玉城デニー選対本部長が「基地を無くしてこそ沖縄の経済は発展する」と訴え。金城徹ひやみかちうまんちゅの会副議長は「翁長知事も仲里さんも私も自民党だった。翁長さんは那覇市長の時、市民の負託を受けた市長としてどんどん変わり、基地問題でお互いに罵り合うのでなく革新の皆さんと手を取り合う必要があるといって基地増設に反対した。我々が頑張らなければ日本は変わらない。デニーさん勝利めざし懸命に頑張ります」。五十嵐仁全国革新懇代表世話人は、「亡き知事の無念を晴らすために玉城デニーさんの勝利を断固勝ち取りましょう」。次いで五十嵐さんら約20名がカンパを仲山さんに手渡しました。小田和川義和全労連議長、瀬長和男沖縄統一連事務局長が報告。
 全国から支援に駆け付けた革新懇から、東京革新懇、革新・愛知の会、大阪・河南地域革新懇ネットワーク、革新岡山の会、大阪国公革新懇が発言し、活動を交流しました。投票日30日まで現地支援を続ける革新岡山の会の氏平長親事務局長は「勝利へ向けて思い切りやる。投票日前日までにビラまききで20万歩あるき続けます」と決意表明しました。牧野富夫全国革新懇代表世話人は閉会のあいさつで「最後の最後まで力を出し切りましょう」と訴えました。宮城達沖縄革新懇事務局長の音頭で団結ガンバローを全員でおこないました。


*『革新の風』FAX ニュース684 号、2018年9月23日付
 革新懇、ひやみかちうまんちゅの会を激励訪問
 全国革新懇の牧野富夫、五十嵐仁両代表世話人と沖縄革新懇の仲山 忠克代表世話人、宮城正事務局次長は 22 日、「ひやみかちうまんちゅの会」 (選挙事務所)を訪 れ、激励・懇談し、デニ ー勝利にむけてがんばろうと話し合いました。 応対した金城徹副議長、 松田寛事務局次長は、全国からの熱い支援に感謝。「がんばれば、この1週 間で追いつき逆転勝利できるところに来た」 、「本当の保守の人は心を痛めている。勝利しないと沖縄の未来は基地要塞の島になるが、こんなことは望んでいない。 県民多数の心に訴えてゆく」などと話しました。 「菅官房長が何度も来ること自体、辺野古押し付けのねらいが見え見えだ」(牧野氏)、「朝鮮半島の激動からも辺野古新基地がいよいよ道理がないことが明確になっている」 (五十嵐氏)など話し合いました。

*『革新の風』FAX ニュース685号、2018年9月24日付
 ☆できることをやり尽くし、新たなドラマの幕を開こう
 全国革新懇代表世話人 五十嵐 仁さん
  「沖縄に来て、多くの出会いがあり、感動に心が揺さぶられました。こんな選挙もあったんですね。オレンジ色のフロートが撤去された辺野古の海の青さも心にしみました。
 できることをやりつくす。悔いを残さないために。そうすれば新たなドラマが幕を開くに違いありません」

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9月20日(木) 県知事選挙での玉城デニー当選を目指して支援カンパ30万円を手土産に明日から沖縄に行く [選挙]

 明日から24日まで、沖縄に行きます。激しくたたかわれている県知事選挙で玉城デニー候補の当選を勝ち取るべく選挙の応援に行きます。
 私の応援がどれだけ役に立つか分かりませんが、この間に集めた支援カンパは確実に役立つでしょう。講演会や集会などでの訴えに応えていただき、何と30万円もあつまったのですから。

 「県知事選挙の応援に行かずばなるまい」と思ったのは、6月に沖縄を訪問した際、沖縄革新懇の仲山事務局長に「知事選の時には、また応援に来ますから」と約束したことも大きな理由の一つでした。この約束を守らなければならないと思いました。
 手帳を見たら、全国革新懇の集中支援期間として設定された9月21~24日のスケジュールが空いています。これは、「沖縄に行け」という「天の声」にほかならないと思ったのです。
 しかし、手ぶらで行くわけにはいきません。個人的に県知事選挙支援のカンパをお願いし、集まったお金をもって沖縄に行こうと考えました。

 ということで、9月に入ってから行われた講演会や集会などで、カンパをお願いしました。どれだけの金額が集まるか不安もありましたが、カンパ袋を手作りして会場で回しました。
 その結果、集まったのが30万円です。端数は、私の方でカンパを追加して切れの良い金額にまとめました。
 小金井市民連合、全国革新懇代表世話人会、治維法国賠同盟関東ブロック会議、久喜革新懇、平和・くらし・環境八王子学術文化の会、ノーウォー八王子アクション、東京革新懇代表世話人会などでカンパに応じていただいた皆さんに感謝いたします。カミさんも周りの友人や知人からカンパを集めてくれました。

 このお金をもって、沖縄に行きます。何としても、玉城デニーさんの当選を勝ちとり、道半ばで急逝された翁長さんの無念を晴らしたいと思います。
 6月に沖縄を訪問した時に海上から見た、美しい辺野古の青い海を守りたいと思います。必要性も根拠も不明確で無駄な工事をストップさせるために、沖縄の皆さんと共に反対の声を上げてくるつもりです。
 新基地建設を無理強いしている安倍政権の推薦を受け、本人も辺野古の基地建設を進めるつもりでありながら、選挙で勝つために本心を隠し嘘をついている不正直で不誠実な自公維推薦候補に負けるわけにはいきません。10年以上もかかる辺野古での新基地建設を普天間基地移設の条件にするというのでは、普天間基地の撤去まで10年以上も待てということになるではありませんか。

 今日、自民党の総裁選挙の結果が出ます。恐らく、安倍首相が3選されるでしょうが、沖縄県知事選挙の結果はその10日後に出ることになります。
 もし、玉城デニー候補が当選すれば、船出したばかりの安倍首相に大きな打撃を与えることができます。新しいポスト安倍に向けての政治変革の出発点となるにちがいありません。
 安倍首相の悔しがる顔が見たいものです。そうなることをめざして、沖縄に行ってまいります。

 なお、沖縄に行っている間、このブログはお休みさせていただきます。再開は25日以降ということになりますので、ご了承いただければ幸いです。

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9月19日(火) 『日刊ゲンダイ』巻頭特集「相変わらずの口から出まかせ 安倍首相“総裁選”でも嘘八百」でのコメントと若干の補足 [コメント]

 〔以下の私のコメントは、『日刊ゲンダイ』9月19日付の巻頭特集「相変わらずの口から出まかせ 安倍首相“総裁選”でも嘘八百」に掲載されたものです。〕

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
 「アベ政治とはスローガンを掲げ、やっているフリをすること。安倍さんは総裁選でも同じ手法が通じると思っているようですが、残り任期が3年となれば、もはや『道半ば』と言い逃れできないし、これまでの内政、外交の大失敗のツケは必ず自分自身に跳ね返ってくるでしょう。今回の総裁選で、今の自民党は議員一人一人が自らの信念や信条に基づいて発言も行動もできない不自由かつ、民主的でない政党ということがハッキリした。国民から見向きもされなくなるのは時間の問題です」

 安倍首相は何もわざわざ自民党の規約を変えて、3選を目指すことはなかったのではないかと思います。2期6年で後継者に後を任せ、このまま首相の座から去った方が安倍首相にとっても良かったのではないでしょうか。
 破たんが明確になってきているアベノミクスからの出口戦略、漂流を始め孤立の色が濃くなっている外交など、これまで進めてきた政策の失敗の尻拭いを自分でしなければならず、おまけに森友・加計学園疑惑から逃れることもできません。とはいえ、やはり長期政権の魅力と野心には抗しがたかったということなのでしょうか。

 安倍首相が得意とし、政権維持の手段としてきたのは経済と外交でした。その二つの分野で暗雲が漂い始めています。経済では異次元金融緩和策からどのようにして抜け出すのかという頭の痛い問題があるだけでなく、今後、トランプ大統領が仕掛けようとしている「貿易戦争」と先延ばしにしてきた消費税の10%への再引き上げという難題が待ち構えています。
 外交・安保政策では、頼りにしていたトランプ大統領に裏切られ、個人的な関係を強めてきたプーチン大統領には騙され、北朝鮮の金正恩委員長からは相手にされず、韓国の文在寅大統領とは相変わらずギクシャクしたままです。「外交の安倍」だなんて、聞いてあきれます。
 カヤの外で飛び回る一匹の蚊のようになった安倍首相は、中国の習近平主席に助けを求めてすり寄っていますが、それへの極右の反中勢力の反発を抑えるために南シナ海で潜水艦訓練を行うというチグハグぶりです。これまで精力を費やしてきた中国敵視政策と「中国包囲網」づくりによって、安倍首相自身が大きなジレンマに追い込まれてしまいました。

 しかも、来年は統一地方選と参院選が実施される12年に一度の「選挙イヤー」で、安倍首相は選挙の顔としての真価が問われます。秋の臨時国会や来年春の通常国会をうまく乗り切れなければ、途中でお払い箱になる可能性もあります。
 一時、野党でありながら与党の応援団のような動きをしていた国民民主党も、代表選後の新執行部の誕生によって市民と野党との共闘に加わり、安倍政権に対する「超対決路線」を掲げるようになりました。「選挙イヤー」に向けて野党の陣立ても整いつつあります。
 安倍首相は3選されても、暗雲が立ち込め逆風が吹き荒れる海へと船出することになるのではないでしょうか。そんなアブナイ航海への旅立ちを自分から進んで選ぶなんて、気が知れません。

 これから船出する安倍政権が途中で難破するのは一向に構わないのですが、日本という国と国民を道連れにして欲しくはありません。そうならないためにも、一日も早く安倍首相を「船長」の座から引きずり下ろす必要があります。

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9月18日(火) 『日刊ゲンダイ』巻頭特集「内外に波乱、焦りで錯乱…総裁選まだハプニングがあるだろう」でのコメント [コメント]

 〔以下の私のコメントは、『日刊ゲンダイ』9月17日付の巻頭特集「内外に波乱、焦りで錯乱…総裁選まだハプニングがあるだろう」に掲載されたものです。〕

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
 「力ずくの締め付けや、外交日程をタテマエにした論戦回避、災害の政治利用など本来、総裁選で横綱相撲を目指すべき現職首相が繰り出すのは“禁じ手”だらけ。ただ、常識外れの戦術はいずれ破綻し、痛いしっぺ返しをくらうのは必然です。その序章がプーチン大統領のちゃぶ台返しや、恫喝への反発なのだと思います。隠す、逃げる、ウソをつくがアベ政治の特徴とはいえ、総裁選の逃げ恥作戦は石破氏との“がっぷり四つ”の論争では勝ち目がないという焦りの表れ。だから禁じ手の連続で、やっている感を演出。党員の目をごまかすつもりが、いよいよ化けの皮が剥がれてきた印象です」

 前出の五十嵐仁氏は言う。
 「自民党員も冷静に考えれば、安倍政権が『終わっている』と気付くはずです。『100%共にある』と蜜月を強調してきたトランプ米大統領は、貿易赤字の削減に向け、対日圧力の強化に意欲マンマン。米紙は『日本の指導者との良い関係が終わる』と語ったと報じ、“縁切り”を迫られています。拉致問題や北方領土交渉は1ミリも動かず、アベノミクスの失敗は明白で、労働分配率は43年ぶりの低水準に落ち込みました。外交面も経済面も不安要素は山積みで、総裁選の投開票日までに、まだハプニングがあっても、おかしくないほど。数々の禁じ手の破綻を機に、この3連休で安倍首相支持を覆す党員も多いとは思います」

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9月16日(月) 正直さや誠実さに欠け差別と分断を持ち込む政治家が首相や知事であっても良いのか [選挙]

 現在、2つの選挙がたたかわれています。自民党の総裁を選ぶ選挙と沖縄の県知事を選ぶ選挙です。
 この2つの選挙の性格は全く異なっていますが、そこで問われていることは共通しています。正直さや誠実さに欠け国民や県民に差別と分断を持ち込むような政治家が首相や県知事であっても良いのかということです。

 本来、選挙というものは、自らの政治信条や政策を明らかにして対立候補との違いを示し、有権者の支持を競うものです。その前提となるのは、自分が何を考え、どうしようとしているのか、包み隠さず正直に示して有権者の疑問に誠実に答えることです。
 しかし、自民党の総裁選挙でも沖縄の県知事選挙でも、このような前提が崩されています。崩しているのは、総裁選では安倍首相、県知事選では自公維推薦の候補です。
 安倍首相は対立候補である石破さんとの政策論争を避け、意見を戦わせる機会をできるだけ少なくしようとしています。沖縄県知事選の自公維推薦候補は最大の争点である名護市辺野古での米軍新基地建設への見解を明らかにしていません。

 自民党の総裁選挙で、安倍首相は国会議員票の大半の支持を確実にし、3選は間違いないと言われています。だから、政策論争に引き込んで党員票の獲得に活路を見出そうとしている石破さんを利するようなことを避けていると見られています。
 沖縄県知事選挙で、自公維推薦候補はこれまでのやり方を踏襲しようとしています。名護市長選挙などで行われ、効果があったとされる「争点隠し」の選挙です。
 どちらも「勝つために手段を択ばない」という卑劣で卑怯極まりないやり方です。重要な争点についての態度を明確にして政策を競い合うという選挙の前提が、ただ勝つためだけの方策によって崩されてしまっているからです。

 今年前半の通常国会で示されたのは、国会審議の土台となる公文書や重要な情報が隠され、答弁が嘘であったり歪められたりして議会制民主主義の前提が崩されているという危機的な状況でした。今また総裁選や県知事選において勝利が最優先され、選挙の前提が崩されているという危機的な状況が生じています。
 もう一つの危機は、安倍首相や自公維推薦候補によって、公然と差別や分断が持ち込まれようとしていることです。安倍首相は国民が望んでもいない9条改憲を持ち込むことによって、自公維推薦候補は県民の多くが反対している辺野古での新基地建設を事実上黙認することによって、世論を分断し差別を固定化しようとしています。
 その結果、失われるのは政治への信頼であり正しい選択です。いずれも、政治がよって立つ土台であり、その土台が失われようとしていることになります。

 こうして、自民党の総裁選や沖縄の県知事選において、最も重要な新たな争点が浮上することになりました。「隠す、逃げる、ウソをつく」という「安倍方式」によって政治への信頼を失墜させたような人にさらに3年間も政権をゆだねても良いのか、正直に本心を語らず最大の争点である辺野古新基地建設への態度を隠したまま票をかっさらおうとしている不誠実な候補者に県政をゆだねても良いのかということです。
 つまり、現在たたかわれている2つの選挙では、政策以前の政治や行政、選挙に取り組む基本的な姿勢が問われていることになります。正直さや誠実さに欠け国民や県民に差別と分断を持ち込むような政治家が、首相や県知事であっても良いのかという根本的な問題が。


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9月15日(土) 『日刊ゲンダイ』巻頭特集「安倍圧勝情勢 国民の言い知れぬ不安、危機感、もどかしさ」でのコメント [コメント]

 〔以下の私のコメントは、『日刊ゲンダイ』9月14日付の巻頭特集「安倍圧勝情勢 国民の言い知れぬ不安、危機感、もどかしさ」に掲載されたものです。〕

 「『戦後レジームからの脱却』を訴えていた安倍首相は言葉通り、まず自民党を戦前のような上意下達、絶対服従の組織につくり変えた格好です。民主主義には多様な議論が必要ですが、異論は許されなくなってしまった。相当数の自民党議員が内心、おかしいと思っているはずですが、怖くて口に出せず、おかしいと思いながら多数派に同調しているのでしょう。本当は石破支持なのに、安倍支持に回っている議員も多いはず。それにしたって、市議の行動にまで官邸が目を光らせるのは異常です。冷戦時代の共産圏と同じです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 「政策論争になったら、あの石破さんのことだから、数字や事実を基に一つずつ安倍政権の政策について論じていくはずです。これは安倍首相にはキツイですよ。すでに、安倍首相が『493兆円から551兆円に増えた』と胸を張るGDPについても、『増加分のうち32兆円は統計の見直しによるカサ上げが要因だ』とサラリと指摘しています。実際、個人消費にしても、2017年は295兆円と、2007年の290兆円からほとんど増えていない。石破さんはアベノミクスについて、『労働分配率は43年ぶりの低水準だ』『上げなきゃいけないのは物価ではなく所得だ』と説得力のある批判をしている。もともと世論調査でも、安倍政権の政策一つ一つには“反対”が多い。正面から政策を論じたら、安倍首相の化けの皮がどんどん剥がれていくはず。討論会を嫌がっているのは、それが理由でしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 なお、明日(16日)の10時半からJR八王子駅前で行われるノーウォー八王子アクションでスピーチします。多くの方に参加していただければ幸いです。


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9月14日(金) 看板のアベノミクスでも破たん寸前の安倍首相を続投させて良いのか [経済]

 安倍首相の政策が破たん寸前なのは外交だけではありません。得意だとされ安倍首相が看板としてきたアベノミクスですが、この経済政策も破たんに瀕していると言って良いのではないでしょうか。

 昨日の『毎日新聞』9月13日付に社説「安倍政治を問う アベノミクス 勘定を回されるのは誰だ」が掲載されています。記事は「安倍政治の継続か否かを問うのが今回の自民党総裁選だ。まずなされるべきは、アベノミクスの総点検である。安倍氏に挑戦する石破茂氏には、将来に回ったツケも含め、『最終的な勘定』の論争を挑んでもらいたい」として、多くの問題点を指摘していました。
 例えば、「『2年程度で』達成される約束だった物価上昇率2%が、なぜ今も視野に入らないのか」「リーマン・ショックの震源地、米国では、金融政策の正常化が進み、15年末以来、7回も利上げを実施した。日本はいまだマイナス金利だ。この現実をどう説明するのか」「問題は、アベノミクスのコスト、そして最終的な勘定が、現時点の我々にはわからないことだ」「アベノミクス第一の矢を担う日銀は、過去に例のない勢いで国債(国の借金)を買ってきた。その結果、国債価格は大幅に上昇し(長期金利は大幅に低下し)、今では国が借金するほどもうかるという異常さが常態化している」「急増する利払いに国が対応する力を投資家に疑われた時、国債は暴落するだろう。待ち受けるのはギリシャであったような経済の大混乱だ」「政策の長期化により、リスクは膨らむ一方である」などです。

 一昨日の『東京新聞』2018年9月12日付も、「アベノミクス成果大げさ? 計算方法変更 GDP急伸」という記事で、アベノミクスの成果を問うています。この記事は「経済指標が改善したのは、データのとり方を変えた影響が大きく、十分な説明をせず、成果を『誇張』しているとの指摘もある」として、次のように書いています。
 首相は「名目GDPについて『12・2%、六十兆円伸びている。六百兆円を実現したい』と強調しているが、「急成長には『からくり』がある。政府は一六年十二月、GDPの計算方法を変更したのだ。『国際基準に合わせる』との理由で、それまで採用していなかった『研究開発投資』の項目を追加。このほか建設投資の金額を推計するために使っていたデータを入れ替えるなどの見直しを行った。この結果、一五年度の名目GDPは三十二兆円近く増えて五百三十二兆二千億円に跳ね上がり、一気に六百兆円に近づいた。」
 安倍首相、お得意のデータ改ざんで、さすが「偽造、捏造、安倍晋三」と言われるだけのことはあります。GDPが急伸したのは計算方法の変更のせいで、アベノミクスの成果は大げさだというのが、この記事の主張なのです。

 9月3日に財務省が発表した4~6月期の「法人企業統計」によれば、企業の経常利益は前年比17.9%増だったのに対し、人件費は前年比3.8%増にとどまりました。企業利益の増加より人件費の増加の方が14.1ポイントも低いのです。
 安倍政権初期の2013年4~6月期と比べれば、企業の経常利益が69%も増えたのに、人件費は8.5%増にすぎません。人件費の増加率は60.5ポイントも低くなっています。
 企業の内部留保が446兆円になるほど過去最高の利益を積み上げているのに、労働分配率は低下して人件費は低いままに抑えられているのです。個人消費は低迷が続き、マイナス金利などで金利収入はほぼ消滅し、世帯主が50代の世帯で無貯蓄が3割あるといいます。

 貯蓄もなく年金はじり貧で社会保険料や医療費の負担が高まる一方ですから、消費拡大に期待するほうが無理というものでしょう。大企業や富裕層が富めばその富が低所得層に「滴り落ち」て国民全体に利益が及ぶとする「トリクルダウン理論」も、市場にマネーを供給して緩やかなインフレにすれば企業や家計のマインドが改善して設備投資や消費が活発になるという「リフレ論」も完全に破たんした姿が、ここにあります。
 自民党の総裁選挙では、安倍首相の3選支持の大きな理由の一つは外交と共に経済政策にもあるそうです。安倍首相自身もアベノミクスと称して経済政策を看板にし、それによって支持の拡大を図ってきた側面があります。
 しかし、昨日取り上げた外交と同様に、それはテレビなどで報じられる外見にすぎません。安倍首相が行ってきたのは経済や景気の立て直しではなく、「やっているふり」「進んでいるポーズ」によって国民を欺くというやり方でした。

 その「化けの皮」が、最近になって次第に剥がれつつあります。外交政策と同様に経済政策も破たんして漂流を始めた安倍政権を続投させれば、日本の未来はないでしょう。
 アベノミクスの破たんによって無能ぶりが露わになった安倍首相を退陣させなければなりません。安倍政権の打倒こそが、日本の経済を救う唯一の道なのです。


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