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9月29日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「よくよく見れば完敗が真相 欺瞞だらけ“日米亡国貿易交渉”
 共同声明の署名式で、安倍は「両国にとってウィンウィンの合意になった」と言い、交渉窓口の茂木外相も「農産品、工業品を含めてバランスが取れた内容」と強調していたが、この結果のどこが「バランスが取れたウィンウィンの成果」なのか。大メディアも安倍や茂木発言をタレ流し、「聖域のコメは守った」と大ハシャギだが、国民を舐めるにもホドがあるだろう。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「まず、交渉の中身が国民に明確になっていないにもかかわらず、合意、署名にこぎ着けていること自体が極めておかしい。『TPP水準を守った』などと報じられていますが、そもそもTPPは日本の農業にとって深刻な影響を与える協定ですから、それを守ったというのは論理のすり替え。全くバカげた話です」


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9月27日(木) 「あいちトリエンナーレ」展への補助金不公布は事実上の検閲でヘイトアクションを励ます天下の愚行だ。 [文化・スポーツ]

 こんなやり方を許してはなりません。開催中の「あいちトリエンナーレ」展への補助金を全額公布しないと文化庁が決定した問題です。
 表現の自由への重大な侵害で事実上の検閲であり、ヘイトアクションや電凸(電話による集中的な抗議活動)を励ます天下の愚行にほかなりません。断じて許されない憲法違反の権力犯罪です。

 どのような展覧会であっても、内容に公権力が介入せず「カネは出しても口は出さない」というのが大原則のはずです。萩生田文科相は申告の際の情報が十分でなく適切な審査ができなかったという「手続き上の理由」を強調していますが、文科相であってもこの大原則を無視することができませんでした。
 しかし、それは口実にすぎません。官邸が嫌う展示の再開をめざす動きが始まったタイミングで、前例のない攻撃に出たからです。
 このような形で理由が後付けされ、途中から補助金が出なくなれば、補助金を出す行政当局や政府の気に入らない展示は不可能になります。少なくとも、そのような「事後検閲」を避けようと忖度する風潮が蔓延し、芸術文化活動が委縮するにちがいありません。

 このような補助金の支出取りやめは文化庁が決めたとされていますが、それを画策したのは萩生田文科相ではないでしょうか。安倍首相側近の萩生田さんは、このような形で介入する使命を帯びて文科省に送り込まれたにちがいありません。
 加計学園問題では安倍首相の意図を汲んで文科省に圧力をかけたのが萩生田さんでした。今回も安倍首相に指示されたか、あるいは忖度して企画展への圧力をかけたと思われます。
 このような形で官邸の意向に沿った介入を行うために、安倍側近の多くが閣内に取り込まれたのではないでしょうか。第4次安倍再改造内閣の危険性が、さっそく示されることになりました。

 今回の企画展はテロまがいの脅しや抗議が殺到し、3日で中止に追い込まれていました。このような妨害活動について事前に情報提供がなかったとして補助金の不交付決定がなされています。
 つまり、気に入らない展示会に対して脅しや抗議を行ったことが、補助金の不交付を引き出し妨害の効果を高める結果になりました。文科省は、あってはならない妨害活動を後押ししたことになります。
 このようにして表現の自由は、大きく阻害されてしまいました。下からの抗議活動と、上からの権力主義的介入が組み合わさることによって、重大な危機が生み出されたのです。

 安倍政権の危険性がまたも明らかになりました。「検閲は、これをしてはならない」と定めた憲法21条は風前の灯です。


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9月25日(水) 再生可能エネルギーへの転換こそ気候変動対策とエネルギー問題解決のカギだ [国際]

 「気候変動問題に取り組むことは、きっと楽しくクールでセクシーでしょう」という小泉進次郎環境相の発言が問題になっています。「セクシー」という言葉が政治家として適切だったのかというのです。
 「適切ではなかった」と、私も思います。しかし、それ以上に問題なのは、この言葉によって気候変動問題に対する日本政府の無策がごまかされ、具体的な解決策のなさが隠蔽されてしまったことです。

 国連気候行動サミットで小泉環境相をはじめとした各国首脳の前で演説したスウェーデンの高校生グレタ・トゥーンベリさんは「あなたたちは目を背け続け、目に見える何の政策も解決策もなく、よくもここに来られたものですね」と皮肉り、「あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢と子供時代を奪い去った」と厳しく批判しました。
 この言葉は、そのまま小泉環境相に向けられたものです。「楽しくクールでセクシー」という小泉さんの発言こそ、まさに「空っぽの言葉」にほかならないのですから。
 ロイター通信が配信したそうですから、この言葉はグレタさんの耳に届くでしょうし、そうなれば、こう言われるにちがいありません。「目に見える何の政策も解決策もなく、よくもここに来られたものですね」と。

 グレタさんの批判を正面から受け止めるなら、日本はエネルギー政策を転換しなければなりません。火力発電所の建設を止め、再生可能エネルギーへの転換を進めることです。
 それは脱原発のためにも必要なことです。原発は制御できない技術であり、いったん事故が起きれば大きな災害をもたらすことは東日本大震災の際の原発事故で実証されました。
 さらに、再生可能エネルギーへの転換は温室効果ガスの削減や脱原発の点から必要とされているだけではありません。それは自然災害への備えや農林漁業の振興のためにも重要な意味があります。

 台風15号による千葉県の長期大規模停電の原因は、倒木や電柱の倒壊によって送電網が寸断されてしまったことにあります。北海道地震で生じたブラック・アウトも火力発電所の被害によるものでした。
 このような事故を防ぐためには、電源を分散して寸断されても被害を最小に抑えるようにすることが必要です。特定の巨大電源に電力を依存すればするほど、電源の被害や送電網の破壊による脆弱性が増すからです。
 日本のように地震が多発し台風がやってくる国では、電源を小規模化して分散することが必要です。それは災害対策やライフラインの確保としても有効であり、それによって被害を最小限にとどめるようにしなければなりません。

 再生可能エネルギーによる電源の小規模分散化は、農林漁業などの経営安定化にも役立てることができます。「畑や水田の上にソーラーパネルを設置し、農業と発電を一緒にこなす『ソーラーシェアリング』」が始まっており、「耕作放棄地の再生や農業経営の下支えとして期待される」(『朝日新聞』9月19日付夕刊)からです。
 同じように、林業でも間伐材のチップや下草などによる発電、牧畜では牛などの家畜の糞から出るメタンガスによる発電、漁業では潮流を利用した水力発電や海辺や海上での風力発電などが考えられます。これらの発電事業によって農林漁業を下支えすることができれば、エネルギーの地産地消だけでなく収入を補填して経営を安定させることもできるようになります。
 問題は、「電力の買い取り価格が徐々に下落し」ていることにあります。国や自治体、電力会社などが一体となって再生可能エネルギーへの転換を後押しする政策を推進しなければなりません。

 小泉環境相の問題点は、言葉の使い方にあるよりもむしろ気候変動対策やエネルギー問題についての具体策を提示できなかったことにあります。別の記者会見では、外国人記者から「環境省では化石燃料脱却にむけどのように取り組むつもりですか」と質問され「減らす」と答えたものの、さらに「どうやって?」と具体策を問われると、長い間沈黙した後、「私は先週環境大臣になったばかりで同僚や省内の職員と話し合っている」と答えました。
 質問に答える知識も能力もなく、具体的な政策も持たずにニューヨークにやってきたことを明らかにしてしまったわけです。グレタさんならずとも、再び小泉さんにこう問いたくなります。
 あなたは「目に見える何の政策も解決策もなく、よくもここに来られたものですね」と。

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9月20日(金) 千葉での台風被害、長期大規模停電や断水から国民が学ぶべきこと [災害]

 「集中豪雨、地震、激しい暴風、異常な猛暑。昨年、異次元の災害が相次ぎました。もはや、これまでの経験や備えだけでは通用しない。命に関わる事態を『想定外』と片付けるわけにはいきません。」

 安倍さん、よもやお忘れではないでしょうね。これは、今年の1月28日、通常国会の開会日にあなたがご自分の口で語った施政方針演説の一節ですよ。
 千葉では未だに台風による災害、大規模停電や断水によって生じた被害の全容が分からず、復旧の見通しも立っていません。直接的にはかつてない強い風を伴った台風による被害ですが、その天災に人災を付け加えて被害を拡大したのは千葉県や東京電力、政府の初動の遅れであり、対応の拙劣さでした。
 不安を抱いて苦しんでいる被災者を生み出した行政や東電に対して、安倍首相は同じ言葉を発することができますか。「もはや、これまでの経験や備えだけでは通用しない。命に関わる事態を『想定外』と片付けるわけにはいきません」と。

 このように言っていた安倍首相自身、今回の台風による被害への見通しの甘さが指摘されています。事前の備えは不十分で、被害の予測も誤っていました。
 災害が発生した後も内閣改造を優先して災害対策を後回しにし、初動が遅れました。千葉県の対応にも同様の問題が指摘されています。
 安倍首相は現在まで、千葉県の被災地を訪れてもいません。9月1日に実施された防災訓練のために千葉県を訪問していたにもかかわらず。

 被害が拡大した背景には、多くの問題が横たわっています。停電の復旧が当初の見通しより遅れたのは倒木のせいだとされていますが、それを取り除くためにより早く自衛隊を出動させていれば除去作業はもっとスムースに進んだはずです。
 電柱などの送電網が老朽化していたのは、東電が設備投資を怠っていたからです。復旧のためのベテラン要員が不足していたのも、東電が社員の採用を手控えていたからです。
 設備投資を行わず、社員を削減して新規採用を減らしてきたのはコスト削減のためでした。その理由は、原発事故への補償や廃炉作業のために膨大な資金を必要としているからで、これらすべても原発事故の後遺症にほかなりません。

 自治体のリストラを進めて職員を減らしてきたことも大きな問題を引き起こしました。災害救助や復旧のための事務手続きに対応する人的な態勢が取れなくなっているからです。
 正規職員を減らしてきたことも、緊急事態における自治体の対応能力を低下させてきました。ある程度の余裕を持った職員の配置と緊急事態に対応可能な判断力とノウハウを蓄積した正規職員の確保は、災害対応にとって必要不可欠な人事政策なのです。
 そして、何といっても政府の問題があります。災害に敏感で国民に寄り添い、機敏かつ適切に緊急事態に対応できる能力を持った政府でなければなりません。
 集中豪雨の報告を聞いてもゴルフを続行したり、被害が生じている最中に「赤坂自民亭」という宴に興じたり、甚大な台風被害が発生しているにもかかわらず組閣に熱中して笑顔でひな壇の記念写真に納まるような首相や閣僚であってはならないのです。またもや、安倍政権は国民に寄り添う気持ちも機敏に対応する能力もないことが明らかになりました。

 「集中豪雨、地震、激しい暴風、異常な猛暑」などの度重なる「異次元の災害」に対して、安倍政権は常に対応を誤り、被害を拡大してきました。この経験から、緊急事態への適時適切な対応のためには、緊急事態条項を書き加えて憲法を変えるのではなく政府を変えることこそが必要だということを、私たち国民は学ぶべきではないでしょうか。
 そして、こう言うべきでしょう。「想定外」などと言って逃げるな!

 なお、今日と明日、以下のような場所で講演します。誰でも参加できますので、お近くの方に足を運んでいただければ幸いです。

9月20日(金)第15回杉並革新塾 午後6時30分:杉並産業商工会館展示室 
9月21日(土)千葉県革新懇 午後1時30分:千葉県教育会館 

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9月19日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月18日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「「全世代型社会保障改革」の欺瞞 国民は負担増で生き地獄」
 この政権のもとでは、増税しても庶民生活に還元されることはない。消費増税は法人税減税の穴埋めに使われるだけで、社会保障は切り捨ての一途だ。災害対応を見ても分かるように、国民に目線が向いていないのだから、たとえ消費税が20%に上がったとしても、国民生活は苦しいままだろう。国民の虎の子の年金基金を株式市場で溶かしてしまっても平然としている。独裁者気取りで、国民の財産は自分のものとでも思っているのではないか。

 「アベノミクスがうまくいっていれば、景気も財政も改善し、社会保障を残酷なまでに切り捨てる必要はなかったかもしれません。今回の内閣改造で、安倍首相はアベノミクスに言及しませんでした。アベノミクスの破綻はもはや隠しようがなく、放漫財政のツケを国民に押し付けるしかなくなった。そういう意味では、小泉進次郎氏の入閣は目くらまし効果として安倍首相の思惑通りに機能したと思います。
 失策の責任を取らず、国民負担で尻拭いさせても、メディアは厳しく追及しないし、進次郎氏の入閣や韓国叩き報道で、本当の危機から国民の目をそらしてしまう。ただ、社会保障という国の土台に亀裂が走っていることは、目先のゴマカシでいつまでも隠しおおせる問題ではありません。安倍政権は国防のためという名目で高額な武器を爆買いしていますが、外から攻められる前に社会が内部崩壊し始めているのが現状です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)


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9月16日(月) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月15日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「危険な本性見せた安倍政権 萩生田文科相という挑戦人事」
 安倍にシッポふりふりの危険な腰巾着が教育行政を担う狂気をメディアはなぜ伝えないのか。安倍の「挑戦」の真意を記事にしなければ、内閣改造への好感も当然だ。

 「安倍首相は批判は覚悟の上で、イタチの最後っ屁とばかりに本性をあらわにした印象です。13年12月の靖国参拝以降、欧米メディアに歴史修正主義者と非難され、鳴りを潜めましたが、開き直って改憲と共に歴史修正にも『挑戦』するのでしょう。野党もここが正念場です。萩生田氏を徹底追及し、絶対にクビを取る覚悟でなければ戦後体制はひっくり返り、この国はいつか来た道へと一変しかねません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 国民も安倍の最後の挑戦状を決意を持って受け止めなければダメだ。


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9月14日(土)  『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「目玉は進次郎というお寒い組閣 こんな内閣が持つのか」
 「平和の党」を掲げる公明党も一貫して改憲に慎重姿勢を崩さない。先月末の埼玉県知事選では、公明党支持層が選挙疲れで動きが鈍く、与党推薦候補が惨敗。今後の国政選挙でも公明党の支援は不可欠だが、安倍自民が改憲を前面に押し出せば支持層が離れていくのは間違いない。

 「国民が求めているのは、景気回復や社会保障の充実です。改憲を望む国民はほんの一握りでしょう。そんな状況で仮に国民投票をやったとしても、結果は見えている。そもそも、参院選では3分の2に届かず、公明党も慎重ですから、国会発議すら無理でしょう。むしろ、アベノミクスの失敗を隠すために、あえて声を大にして『改憲、改憲』と叫んでいるだけではないか」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 「悲願達成」は絶望的だ。


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9月13日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月12日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「際立つ“安倍政権という病理” 内閣改造は「断韓宣言」」
 驚くのは、党内ハト派で鳴らしてきた宏池会を率いる岸田政調会長までもが、韓国叩きに舵を切ったことだ。7日に宮崎市で行った講演で「国と国との約束、国際法、条約は守らなければならない。この基本だけは絶対に譲ってはならない」と韓国批判を展開した。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「そうやって、安倍首相の価値観に合わせて、おもねることが自民党内の処世術になってしまっている。信念をねじ曲げても、外交関係をこじらせてでも、首相に気に入られることが重要なのでしょう。いい例が、当選4回で大臣に抜擢された小泉進次郎氏です。政権批判も辞さない姿勢で人気を集めていた姿はナリを潜め、結婚報告で首相に媚を売って軍門に下った。ゴマをスッて尻尾を振れば報われるということを示しました。独裁者の顔色をうかがい、進んで同調する異様な空気が自民党内に蔓延している。だから、猫も杓子も韓国叩きに走っている。安倍首相は外交失策をゴマカすためにも、今まで以上に嫌韓ムードをあおろうとするでしょう。河野氏を防衛相に就けるのも、韓国に挑戦状を叩きつけたようなものです。政権の安定のために側近を使って韓国への強硬姿勢を維持し、世論を挑発する。そういう意味での『安定と挑戦』なのでしょう」


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9月12日(木) 『しんぶん赤旗』に引用されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは、『しんぶん赤旗』2019年9月10日付に引用されたものです〕

 日本社会覆う〝韓国バッシング〟
 あおる政治の責任重大

 政治学者の五十嵐仁さんは「嫌韓風潮は、日本の政治・社会の問題点が集中的に出てきた」と指摘します。「歴史認識では政府に問題がある。教科書で歴史を正しく教えるのではなく、教科書を書き換え人々の社会認識まで変えてきた『安倍教育改革』が隣国・韓国を蔑視する社会認識を醸成した」とします。

 さきの五十嵐さんも「隣の国の政権スキャンダルを連日報じるのを見ると、なぜ自国の森・加計疑惑を熱心にやらなかったのか、口利き疑惑などを追及しないのかと思ってしまいます。むいてもむいても疑惑が出てくるのは、安倍政権の方ではないか」と皮肉ります。

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9月11日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月10日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「嫌韓で河野防衛相 おぞましい内閣改造“下馬評”の顔ぶれ」
 「隣国に礼を失した態度で、日韓関係を悪化させた張本人である河野氏を本当に防衛相に起用するのなら、安倍首相が日韓関係を改善する気はみじんもないことの表れ。これまで以上に嫌韓姿勢を強めるというメッセージにほかなりません」と言うのは、法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)だ。こう続けた。

 「かつて河野氏は反原発を掲げ、歯に衣着せぬ発言で注目を集めましたが、2015年の初入閣と同時に、反原発を主張したメルマガを消去した。しかも父親の洋平氏は日韓関係の改善に尽くし、『河野談話』を表明したハト派のシンボル。政治家としての信念をねじ曲げ、父親の顔に泥を塗ってでも、首相の価値観に合わせる。そうして下からおもねり、首相に気に入られれば“ポスト安倍”のひとりとしてチヤホヤされ、逆に首相の勘気に触れれば出世が遠のく。独裁者の顔色を常にうかがうような異常さが、自民党内に蔓延しているのです」

 異論を許さぬ政権トップの狂気が所属議員に伝播し、もはや手に負えない状況に陥っているのが、7年近くに及ぶ「安倍1強」を経た与党内の惨状なのである。

 「『権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する』との格言を地で行くのが、今の政権と与党の姿です。6年半もの長期政権は腐臭プンプン。内閣や党の中枢以外は中堅・若手議員を登用し、臭いを消そうとしているのかも知れませんが、長期政権を支えた麻生財務相や菅官房長官、二階幹事長ら首相の“お気に入り”が中枢に居座る限り、約7年モノの古漬けの臭いは絶対に消せません。権力の腐敗を止めるには、トップに辞めてもらうしかないのです」(五十嵐仁氏=前出)


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