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10月7日(月) 第4次安倍改造内閣をどう見るか [論攷]

〔以下の論攷は、民商が発行する『全商連新聞』9月30日付に掲載されたものです。〕

「イタチの最後っ屁」内閣
改憲シフトのジレンマも

 改造内閣の人事を目にした時、異様なにおいが漂っているような気がしました。考えてみれば、安倍首相、麻生副首相、菅官房長官はいずれも再任です。第2次安倍内閣発足以来、ずっと同じ顔触れですから政権の中枢に変わりはありません。7年物の「古漬け」のようなものですから、すえた臭いがするのも当然です。

 衆院議員の任期はあと2年ですから、それ以内に解散・総選挙があります。これが最後の組閣になるかもしれないということで、安倍首相は世話になった側近らを処遇したいと考えたのかもしれません。そのために「イタチの最後っ屁」のような、異臭が立ち上ることになりました。
 この内閣の最大の特徴は安倍首相の盟友や側近などを重用した「お友達」内閣で、日本会議国会議員懇談会の幹部が顔をそろえているということです。安倍首相のお友達は日本会議ばかりですからそれも当然です。安倍首相自身や麻生副首相を始め、高市早苗総務相、橋本聖子五輪相、衛藤晟一1億総活躍相、加藤勝信厚労相、江藤拓農林水産相、西村康稔経済再生相、萩生田光一文科相に党4役まで含めれば12人にも上ります。
 異臭ばかりではなく、汚点もあります。森友疑惑や財務次官のセクハラ問題で責任を問われた麻生首相の留任、加計疑惑の当事者の一人である萩生田文科相の入閣、加計学園から献金を受けていた下村博文選対委員長の就任、口利き疑惑で辞任した甘利明元経済再生相の自民党税制調査会長への抜擢など、挙げればきりがありません。
 「滞貨一掃」の派閥順送り人事となった新入閣組も問題だらけです。田中和徳復興相、武田良太国家公安委員長、竹本直和科学技術相は暴力団との交際疑惑が指摘され、河合克行法相についてはパワハラ疑惑が報じられました。
 今回の改造内閣の最大の目玉は、小泉進次郎議員の初入閣です。5%ほどの支持率アップ効果が見込まれるとされていましたが、実際にそれくらいの上昇になりました。内閣に漂う異臭を消すための「消臭剤」、あるいは「目くらまし」として使われたわけです。

 改造内閣の発足に当たって安倍首相は「困難な挑戦だが、必ずや成し遂げる決意だ」と述べ、相変わらず改憲に向けての執念を示しました。自民党役員も改憲への意欲を語り、閣僚の顔ぶれも「改憲シフト」になっています。
 同時に、自民党改憲本部長に温厚な重鎮で安保法制を取りまとめた細田博之元自民党幹事長、衆院憲法審査会長に野党人脈が豊富なベテランである佐藤勉元国会対策委員長を起用しました。野党への懐柔を意識した布陣です。
 安倍首相は硬軟両様の挙党態勢で、改憲発議に持ち込むつもりのようです。しかし、首相の任期は2021年9月までですから、そのチャンスは2年後の通常国会までで、あまり時間は残されていません。
 急ごうとして無理強いすると野党が反発して動かなくなり、丁寧に合意を得ようとすると時間がかかります。このジレンマをどう乗り越えるのでしょうか。安倍9条改憲をストップするための正念場が近づいています。
 しかも、戦後最悪となっている日韓関係をはじめ外交は八方ふさがりで、10%への消費増税、年金問題や医療・介護などの「全世代型社会保障改革」に働き方改革など、内政も難問山積です。それに、2年以内には必ず解散・総選挙がやってきます。
 疾風怒濤の荒波が待っているからこそ、信頼できる「お友達」を配したにちがいありません。その力で航海を安全に続けつもりのようです。しかし、国民・中小業者に挑戦状をたたきつけるような消費税増税という最初の大波を乗り切ることができるのでしょうか。


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