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1月26日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月26日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「岸田政権を襲う前門のオミクロン 後門のスタグフレーション」

 昨年12月に成立した過去最大の35.9兆円補正予算。だが、その中身はといえば安倍・菅政権の踏襲に過ぎなかった。新型コロナ生活困窮者自立支援金や学生支援緊急給付金など、期間を延長しただけの制度が目立った。

 もちろん、コロナ禍で苦しむ人たちを助ける制度だから継続は当然。だが、新たな政策となると、「10万円給付」が公明党の「子育て支援策」と自民党の「コロナ困窮対策」という目的の異なる政策の合作だったように、岸田に筋の通った思想がないから“柔軟”に修正すれど、どれも中途半端。経済の宏池会などと言われてきたが、その領袖がこの程度なのか。

 「宏池会の創設者である池田勇人の代名詞が『所得倍増計画』です。総裁選時の演説では岸田さんの目指す方向も、国民の所得を増やすことなのだと思いましたが、どうも政策は焼き直しばかり。今まで通りではうまくいかないから賃金は上がらないのですよ」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 7月の参院選まで「波風を立たせない」戦略の岸田は、「やってるふり」で動くつもりがない。看板の「新しい資本主義」も、今春までにグランドデザインを描き、夏までに実行計画を策定すると悠長なもの。感染症法の改正についても、「今の法律で行ったことが十分機能するかしっかり確認した上で、考えていく」と24日の予算委で答弁していた。

 夏までノラリクラリを続ける気なのだろう。オミクロンでさらなる疲弊の庶民は、夏までもつのか? へたってしまう。

 「古い経済政策をどう変えていくのかが問われているのに、岸田政権は参院選を意識したバラマキ主体になってしまっている。もっと再分配の知恵を絞るべきです」(五十嵐仁氏=前出)

 年初からジリジリ下がる日経平均株価も不気味。欧米各国の金融引き締め観測の影響とされるが、オミクロン対策失敗の岸田政権にマーケットが早くも愛想を尽かしたのではあるまいか。

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1月21日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月21日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「3回接種率は1.3%の惨憺 経済を止めている岸田無策」

■飲みに行っていいのかダメなのか

 オミクロン株はワクチン2回接種では感染を防げないため、一度はワクチン接種証明書で行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」を停止するとしたが、自治体などから反発の声が上がると「一時停止を原則としつつ、知事の判断で適用も可能」と曖昧な指針になった。

 過度な行動制限で「経済を止めたくない」ということなのだろうが、これでは飲み会を自粛すべきか、時間内なら大手を振って飲みに行っていいのか、国民は判断に迷う。重点措置の対象追加を諮問した分科会の尾身会長は「人流抑制ではなく人数制限」とか言い出すし、とりあえず重点措置の適用追加を発表したというだけで、何をどうしたいのか、まったく方向性が見えないのだ。

 「感染防止も経済も、ということなのでしょうが、こんなメッセージ性のない対策では、重点措置の効果は期待できない。あまりに中途半端で、“アブハチ取らず”になりかねません。『ワクチン・検査パッケージ』の適用も自治体任せで、2回接種した意味がなくなってしまいました。それなら3回目の接種を加速させるかというと、それも欧米諸国に比べて遅れに遅れている。オミクロン株の脅威は諸外国の状況を見て分かっていたことです。日本だけは大丈夫と根拠もなくタカをくくっていたのか、岸田政権が感染爆発を想定して備えるということをしてこなかったツケが、国民に感染リスクとして押し付けられている。この政権は、2年間に及ぶ感染対策の教訓をまったく学んでいません」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

■マーケットも「NO」を突きつけた

 19日の東京株式市場の日経平均株価は、前日比790円2銭安の2万7467円23銭と、5カ月ぶりの安値水準で引けた。

 下落率は前日比2.8%で、ワクチン3回目接種率の倍以上だ。

 「感染防止のための重点措置のはずなのに、経済活動の維持も重視した中途半端な対策では効果が見込めない。オミクロン株は重症化率が低いといっても、感染者の母数が増えれば、医療崩壊が起きかねません。いまは感染防止を最優先にしないと、感染拡大を止められない上に、経済的にも大ダメージを受けるという最悪の事態になりかねない。賃上げどころの話ではなくなるし、お先真っ暗です。オミクロン株も自然にピークアウトすると楽観視しているのかもしれませんが、岸田政権は危機感がなさすぎます。重点措置を適用しても感染者数が減らなければ、ワクチン接種も進められない政府に不満の矛先が向かうでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 批判を恐れ、参院選まで失点しないよう安全運転に徹して何でものみ込む岸田の体質が危機管理では裏目に出る可能性がある。実行力が伴わない「口だけ政権」では、オミクロン株に対応できず、国民生活に支障が生じるのは確実だ。「やってる感」だけで経済を「止めている」のは岸田政権の無策ではないのか。それを見通したマーケットが「NO」を突きつけている。

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1月20日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月20日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「まん防の効果は? 中途半端な「やってるぶり」に国民の不安」

防疫に大穴なのに「流入抑えた」とシタリ顔

 にもかかわらず、岸田は施政方針演説で「G7で最も厳しい水準の水際対策により、海外からのオミクロン株流入を最小限に抑えてきました」とシタリ顔。米軍についても夜間外出禁止などの感染拡大防止措置が発表されたとして、「在日米軍の駐留に関わる保健・衛生上の課題に関し、地位協定に基づく日米合同委員会において、しっかり議論していきます」と釈明。「『信頼と共感』の政治姿勢を堅持しつつ、まずは新型コロナに打ち勝つことに全身全霊で取り組んでまいります」「今後は国内対策に重点を置きます」などと宣言していたが、自民党の茂木幹事長はNHK「日曜討論」(16日放送)で、「感染力は非常に強いが重症化率は低い」と強調。国民の命や暮らしを軽視する政権の姿勢、手抜き対応をゴマカシで乗り切ろうとする意図が透けて見える。結局、中途半端な対策で給付金は出し渋り、ワクチンを待つだけ。それまでに「ピークアウト」と舐めているのではないか。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「感染症法改正案の通常国会への提出を見送ったのは本末転倒です。コロナ患者が確実に入院できる病床を確保するための国や自治体の権限強化をなぜ先送りするのか。過去にない感染拡大で病床使用率が急上昇したことから、なし崩しで入退院基準を緩めたため、自宅療養を余儀なくされる無症状者や軽症者が増加し、かえって家庭内感染を広げて感染者を増やしている。感染症法改正は医療提供体制逼迫の緩和に直結するといってもいい。感染拡大を抑え込み、医療体制を整え、困っている国民を支える。これこそ政治が最優先すべき課題なのに、通常国会閉会後に参院選を控える中、与野党対決が必至の法案は棚上げ。感染対策よりも選挙対策を優先したということ。危機管理対策の抜本的強化策を6月までにまとめるというのも、話になりません」


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1月15日(土) 政権交代への課題と展望-2021総選挙の結果から見えるもの [論攷]

〔以下の講演記録は、『八王子学術・文化日本共産党後援会ニュース』NO.19 、2022年1月10日付、に掲載されたものです。〕

 立憲野党躍進と政権交代を掲げて全力を尽くした10月31日の総選挙。大きな期待をもって臨んだ選挙であったからこそ、その結果に意気消沈してしまった人も多かったのではないでしょうか。そのようななか、五十嵐仁さんに選挙結果について、選挙を巡る情勢と客観的条件のもとで、どのような分析・評価ができるのかということを野党共闘の新たな展開を軸に語ってもらいました。以下にその概要を紹介します。
 
 総括の視点

 冒頭、五十嵐さんからは、選挙結果の分析・評価を行う際の三つの視点が提示されました。
① 新型コロナ感染症の蔓延が総選挙前に急速に収まったため、コロナ対策の迷走への責任を逃れ与党の側でワクチン接種の成果を大々的にアピールできたこと、
② コロナ対策のために3密の回避が叫ばれ、市民が集まる政治運動や選挙活動などが大きく制約されたこと
③ コロナ禍で政治家の判断が生活に直接影響することを体験したことなどから、政権交代など現状が大きく変わることに国民が慎重になったのではないか。
 菅前首相をはじめとした自公政権には大きな不満が寄せられていたが、菅前首相が身を引くことによって局面が大きく変わった。いわば「敵失」に乗じて議席数を増やせると期待していた野党側には一種の「楽観ムード」があり、政権交代後の明確なビジョンを市民に提示することへの真剣な努力が十分ではなかったのではないかとの分析が述べられました。
 そのうえで、選挙結果を総括する際には、後ろ向きではなく前向きに、前進のためには何が必要かという視点での分析が行われなければならないという視点も示されました。

 自民党減、立憲・共産減

 自民党は単独過半数を突破し絶対安定多数を獲得したものの、15議席を減らした。野党共闘候補の当選で幹部や重鎮が落選したこともあり、政権への打撃は少なくなかった。
 一方で、立憲民主党は、小選挙区で9議席増えたものの、比例で23議席を減らした。立憲民主党の議席が比例代表で減ったのは、応援していた支持者(連合の組合員)などの票が維新や国民民主などに流れたからだ。
 連合は、立憲民主党の足を引っ張ることで共闘を破壊し、選挙の結果を口実にして共産党との共闘に冷や水を浴びせるような行動をとっている。立憲民主党は地方組織が弱く、連合の組合員を動員しなければポスターなども貼りきれない。昔の社会党と同じように、議員党的体質・労組依存・日常活動の不足という弱点がある。連合に依存しなくても闘える力強い組織づくりに日常的に取り組まなければならない。
 また、有権者のなかには、いまだ民主党時代の印象が影を落としている。コロナ禍のなかで、かつての震災の時のような危うさを感じ、危機を乗り切れるのかという不安があったかもしれない。野党共闘の側は、政権交代後のイメージとして旧民主党時代の印象を拭えなかったのではないか。
 この「負のイメージ」を払拭するためには共闘の本気度を有権者に示す必要があった。立憲民主党は連合に遠慮した結果、本気になって野党共闘に取り組むというよりも、むしろ共産党と距離をとることに腐心した。これでは野党共闘のブームを生んで「追い風」を吹かせることはできない。
 維新の躍進が取りざたされているが、前回減であったため前々回の41議席に戻ったにすぎない。関西でテレビに出続けた吉村大阪知事の人気が高く、選挙前に対決姿勢に転じたことも奏功した。政権交代に不安を抱いた政権批判票が「途中下車」して維新や国民にとどまったということだろう。
 投票率は、55.93%で前回よりは上昇したが、3番目の低さだった。野党を分断して投票率を低く抑えれば、政権は維持される。逆に、野党共闘で投票率を高めて支持を増やさなければ政権交代は実現できない。

 政権党の動向

 横浜市長選挙を境に、菅前首相では総選挙に大敗するのではないかという危機感が自民党で急速に広まり、菅抜きで自民党総裁選へ向かうこととなった。総裁選はメデイアジャックと言われるほどクローズアップされた。総選挙は公職選挙法による規制があるが、総裁選にはない。「公平性」も求められない。総選挙より総裁選報道に力を入れた報道姿勢に問題があった。自民党のイメージアップに協力したようなものだ。
 9月まで野党共闘は連戦連勝だったが、総裁選での報道で一変した。自民党の「幅の広さ」が演出され、高市さんや河野さんに比べれば岸田さんはマイルドな印象も振りまかれた。その雰囲気が残っているうちに総選挙に突入した。新内閣発足の「ご祝儀相場」があるうちに「奇襲」をしかけるという自民党の「作戦勝ち」だった。
 市民連合を仲立ちとした立憲民主党と共産党との20項目の政策合意は評価できるが、遅すぎた。部分的閣外協力の合意も遅かった。これらの合意は「野合」だと非難されたが、自公政権は選挙に向けての政策合意など一度も行っていない。だから選挙が終わってから10万円給付をめぐって大混乱している。大阪での維新と公明の「住み分け」こそ、「野合」そのものではないか。岸田新政権発足時の首班指名で共産党などは立憲の枝野代表の名前を書いた。部分的な閣外協力はすでに始まっていたのだ。連合政権になれば法案成立のために協力するのは当たり前だ、
 政権交代後の明確なビジョンを示しきれなかったことが最大の弱点だった。安保・自衛隊・天皇制などについても、当面、存続を認める点で立憲民主党と共産党との間に大きな違いはない。これについて有権者へ十分にアピールして不安を払拭できなかったことも反省点ではないか。

 野党共闘の成果と今後の課題

 5ポイント差の僅差の選挙区も多く、共闘は成果を生んだ。野党には共闘の維持・発展と足腰の強化が望まれる。地方議員を増やし地方から代案を提示していく取り組みを行わなければならない。首長選での自民との「相乗り」などはもってのほかだ、情報発信にも工夫が必要だ。ネットやSNSなどで自主的に情報発信する人を増やしていくことが急務だ。
 参院選で勝利し「ネジレ国会」を実現することで、衆院の解散・総選挙に追い込んでいくことが必要だ。政権交代に向けての決戦は、それまで持ち越されたことになる。

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1月12日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月12日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「米軍基地周辺で感染拡大 これは歴代自民党政権の大罪だ」

■感染急拡大があぶり出す「加害」への無自覚

 言うことを聞く者には権力もカネも授け、逆らう者は冷遇される──。まるで植民地の選別政策のような薄汚い手口で、人心の分断を図ってきた歴代政権に、沖縄以外の世論は怒らない。

 14年に移設に反対する「オール沖縄」勢力の翁長雄志知事の誕生以降、19年の県民投票などで繰り返し「辺野古ノー」の民意を示しても、逆に本土の民意はずーっと自民党を勝たせ続けた。

 国政選挙の大勝を盾に自民党政権は沖縄の民意を一切、無視。さすがに県民も「国がやっていることに何を言ってもダメ」とあきらめを感じ、「だったら国からお金が落ちてきた方が」という空気に流されてしまうのも無理はない。それこそが、国家権力あげての切り崩し工作の狙いだとしてもだ。

 各種の世論調査で国民の8割は日米安保維持に賛成している。日本人の大半が国内に米軍基地が存在することに恩恵を感じているのに、その恩恵への負担をたった1%強の沖縄県民に肩代わりさせてきた「加害責任」を痛感している人々はどれだけいるだろうか。

 沖縄への基地固定化の被害に本土はあまりにも無自覚すぎる。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「沖縄の感染急拡大は米軍のせいだけではありません。今回の一件があぶり出したのは『構造的差別』と言うべき状況を押しつけてきた歴代自民党政権とその問題に無関心な本土の『大罪』です。いい加減、本土の人々は沖縄の痛みをわが痛みのように受け止めた方がいい。それこそがマトモな日本を取り戻す最低条件。少なくとも、23日投開票の名護市長選は本土から『オール沖縄』陣営に熱烈なエールを送るべきです」

 在日米軍の傍若無人に責任転嫁している限り、沖縄の構造的差別は絶対に消えない。


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1月11日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月11 日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「労働者の味方ヅラ「連合」の噴飯 いよいよ正体があからさまに」

■連合は労働者の信頼を失い自滅の道を進む

 「連合と共産党の考えが違う。立民と共産党の共闘はありえないと言い続ける」

 会長就任早々に出演したBS番組でこう言い放った芳野会長。先の衆院選はもちろん、野党結集の必要性を認識した過去の参院選の野党共闘すら否定するかのような異例の発言は注目を集め、その後も複数のメディアに露出するたび、共産党アレルギーの発言を繰り返してきた。

 昨年12月には連合トップとしては「7~8年ぶり」に自民党本部を訪問し、茂木幹事長や麻生副総裁と面会して会長就任のあいさつ。その際、茂木から「連合初の女性会長として頑張ってほしい」などと声を掛けられてニンマリしていたという。今月5日には、岸田首相が自民党の首相として9年ぶりに連合の新年交歓会に出席した。

 そんな「与党すり寄り」の姿勢が“評価”されたのか、芳野会長は岸田政権が肝いりで発足させた「新しい資本主義実現会議」のメンバーにも選ばれたわけだが、これじゃあ、ネット上で「会長は野党潰しの工作員なのか」なんて批判の声が出るのも無理はないだろう。
労働者の賃金は減らされ非正規雇用は拡大
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「連合、全労連(共産党系労組)に歴史の違いはあれど、いずれも目的は『労働者の利益』であり、その視点に立てば、これまで労働環境を悪化させてきた政権与党なのか、それとも賃金引き上げ、環境改善を常に訴えてきた野党のどちらを支持するべきなのかは明白です。労働者の利益を高めるためには今、何をするべきなのか。それが最重要であり、好き嫌いを言っている場合ではないのです。このままだと、連合は労働者の信頼を失い、組織そのものが自滅しかねません」

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1月10日(月) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月9日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「国民には閉塞感 また敵失で空虚な政権が生き延びるのか」


 医療現場の医師が「これまでと次元の違う闘い」と警鐘を鳴らすオミクロン株の猛威で、9日からの「まん延防止等重点措置」適用が決まった沖縄では、予約キャンセルが相次ぐホテルや飲食店の悲鳴が上がる。

 全国の新規感染者数は7日、3カ月半ぶりに6000人を上回った。新規感染者が922人だった東京は1週間前の実に12倍だ。沖縄・山口・広島の重点措置は“序の口”。再びコロナが全国に蔓延し、経済活動に制約がかかれば、ますます格差が拡大する懸念と絶望が広がっていく。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「新自由主義が低賃金の非正規雇用を増大させるなど、さまざまな問題を引き起こしてきた。資本主義の行き詰まりは明らかで、だからこそ岸田首相は『新しい資本主義』を目指しているのでしょう。コロナ禍で格差がさらに拡大しているいまこそ『新しい資本主義』のきちんとした考え方を提示して欲しいのに、明確なビジョンを打ち出せないようではどうしようもありません。そこで野党の出番のはずですが、『提案解決型』で牙を抜かれてしまって、本来の野党の役割を果たせていない。寅年なのに牙を抜かれた猫になってどうするんですか」

 どうにもならない閉塞感は、果たして打破できるのだろうか。少なくとも言えることは、国民が諦めたらオシマイ、だということだ。

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1月6日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月6日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「水際を突破されても正月休み 岸田政権に第6波を対処できるのか」

 先手を打つチャンスを逃しておきながら、正月休みを優雅に堪能していた岸田の神経を改めて疑う。それなのに、ノホホン岸田の責任を問う大マスコミは皆無だ。

 それどころか、ここにきて「1日100万回」の目標を掲げ、「ワクチン一本足打法」で接種を進めたとして、菅前政権を「再評価」する声すら聞こえてくるから世も末だ。

 前首相の菅本人も年末年始はあちこちのメディアに登場。ご機嫌な様子で「切り札はワクチンだと確信していた」などと“戦いの日々”を振り返っていた。

 「身を捨てて自民を救った功労者として党内で評価されるなら、いざ知らず。ワクチン接種を進めた実績はあれど、『GoTo』固執やオリパラ開催ありきの後手対応で、第3~5波を招いた免罪符にはなりません。同じく政権を放り出した安倍元首相が最大派閥の領袖に納まっていることも含め、『喉元過ぎれば』の国民性が政治の劣化を許していると言わざるを得ません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 このボンクラ政権に第6波の対処など期待するだけムダだが、そんな体たらくを「フシギの国」は再び忘れてしまうのだろうか。


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1月5日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月5日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「岸田政権はニンマリか “脱炭素”が原発の免罪符になる倒錯」

 EUは2050年までに温室効果ガス排出量の「実質ゼロ」を目指し、目標達成に合致する経済活動を「EUタクソノミー(分類)」という制度でリスト化。EUの「グリーンリスト」と呼ばれている。そこに原発と天然ガスを認定するというのだ。

 EU加盟国や専門家グループは今月12日までにこの方針について意見を提出。欧州委は今月中に正式に判断を示す見込みだ。「グリーン」な投資先の環境産業として欧州委が正式にお墨付きを与えれば、原発事業にマネーが流れ込む。ここに脱炭素の大きな欺瞞がある。

 「欧州委の方針に対し、すでに原発全廃を決めているドイツや、スペイン、オーストリアなど脱原発の加盟国は猛反対していて、そう簡単にはまとまらないでしょう。だいたい、放射性廃棄物など“核のゴミ”の行き場がないのに、原発のどこが持続可能なのか。環境破壊の恐れが大きく、SDGsに逆行するのが原発です。深刻な地球環境も投資対象にして原発にまだ投資を呼び込もうとする強欲資本主義には呆れるほかありません」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 発電中に二酸化炭素を放出しない原発は「クリーンエネルギー」という理屈なのだが、ウランを核燃料化する過程では大量の二酸化炭素を出す。原発の建設にだって膨大な二酸化炭素は放出される。

 しかも、原発は稼働させると高い温度の排水を海に流すのだ。その量は全国で年間1000億トンとも試算されている。海水は温められると二酸化炭素を大気に放出する。また、海面温度が上がったせいで集中豪雨などの異常気象が多発するようになったとも言われる。そういう原発のどこが地球温暖化対策になるのか。何がSDGsかという話だ。

 「原発回帰なんて倒錯している。地球環境を守るために、原発をゼロにして再生可能エネルギーにシフトしていくのが世界の潮流です。本来なら、過酷な原発事故を経験した日本が先頭に立って原発ゼロを推進しなければならないのに、腰が引けているのはなぜか。新型コロナウイルス対策でも『命より経済』の姿勢が顕著になりましたが、結局これが自民党政権の本質ということです。国民の安全安心よりもカネなのです。自民党政権にはできない原発ゼロやジェンダーフリーなどのSDGsな政治を野党に打ち出してほしいが、今はあまりに非力です。原発推進は連合も歓迎でしょうし、国民が声を上げなければ原発依存から抜け出せなくなってしまいます」(五十嵐仁氏=前出)

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1月1日(土) 反転攻勢に向けての新しい年が始まった [日常]

 明けまして、おめでとうございます。

 反転攻勢に向けての新しい年が始まりました。昨年の総選挙は自公勢力の必至の反撃によって野党共闘が跳ね返されるという残念な結果に終わりましたが、今年はそれを巻き返す年にしたいものです。

 そのためには、野党を弱体化して共闘を分断することを狙う「悪魔の囁き」に惑わされず、共闘を強化・発展させて参院選に勝利しなければなりません。とりわけ、改憲勢力が増えて明文改憲に本腰を入れ始めている状況の下での参院選ですから、その意義と重要性は格段に高まっています。

 1人区での共闘はもとより、立憲や共産、社民、れいわなど改憲に反対する野党各党の議席増大が必要です。対等・平等な立場での相互支援や相互協力によって、改憲阻止勢力全体の議席を増やし、参院での改憲発議をなんとしても阻止しなければなりません。

 「活路は共闘にあり」という王道を踏み外すことなく、捲土重来を期したいと思います。日本を変えて新しい政治を実現する希望の年にするべく、引き続き微力を尽くす所存です。

 本年も、よろしくお願いいたします。

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