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8月22日(水) 強まりつつある「自民党レジーム」からの脱却の可能性 [内閣]

 暑さのせいで、ボーッとしていたのでしょう。昨日のブログの日付を間違えてしまいました。正しくは、21日です。22日は今日の分です。

 ということで、早速、本題に入らせていただきます。安倍首相の掲げていた目標は改憲と「戦後レジーム」からの脱却でした。そのための教育改革や集団的自衛権の解釈見直しなどが、具体的な課題とされていました。
 しかし、この間の経過をみれば、安倍首相の実績はまったく逆になっています。改憲についての警戒感を高め、参院選での与党敗北の一因を生み出しました。
 「戦後レジーム」についても同様です。安倍さんの“失策”によって、強まったのは「自民党レジーム」から脱却する可能性でした。教育改革や集団的自衛権の解釈見直しについても、頓挫しそうです。

 安倍首相がさっさと辞任していれば、「自民党レジーム」から脱却する可能性は低下していたかもしれません。しかし、首相の地位に固執して居座ったために、反安倍の気分は自民党そのものを見限るようなムードに変わりつつあります。
 選挙での敗北が明らかになったとき、すっぱりと辞めていれば良かったのです。そうすれば、国民のフラストレーションはそれなりに収まったかもしれません。
 しかし、安倍さんはそうできませんでした。自らの進退について決断する力がなかったのです。そのために、いつまで経っても国民の欲求不満は解消されず、その矛先は「自民党レジーム」自体に向かい始めています。

 夏休み中にも、防衛省の次官人事をめぐるゴタゴタ、塩崎官房長官事務所での領収書の二重計上、参院新潟選挙区で当選した塚田一郎議員の運動員の買収容疑での逮捕、それに『週刊ポスト』が報じた安倍首相の「隠し子」騒動などが続いています。安倍首相にとっては、“泣きっ面に蜂”というところでしょう。
 安倍首相自身も、インド訪問で問題を引き起こす可能性があります。この機会に、故パール判事やチャンドラ・ボースの遺族と面会するからです。
 このような行動に、「先の戦争は悪くない」と考えている安倍さんの過った歴史認識が明瞭に示されています。アジア周辺諸国やアメリカなど諸外国のマスコミは、これをどう受け取るでしょうか。

 竹中治堅『首相支配-日本政治の変貌』(中公新書、2006年)が詳細に分析しているように、この間、自民党総裁・総理としての首相の力が強まりました。しかし、その力をどう使うかは、首相自身の資質によって左右されます。
 強大化し一元化された権力を効果的に行使する能力を、安倍さんは持っていません。「船頭多くして……」になったのは、中心にいる安倍首相が「船頭」になれなかったからです。この点だけからしても、安倍さんに首相を続ける資格はないというべきでしょう。