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7月30日(月) 最大の敗因はアベシンゾウ [参院選]

参院選の最終議席が確定しました。出口調査で予測されたとおり、与党の惨敗でした。 各党の最終議席は、自民党37、民主党60、公明党9、共産党3、社民党2、国民新党2、新党日本1、無所属7というものです。

 自民党が過去最低の36議席を下回らなかったこと、護憲政党の共産党や社民党が伸びなかったことなどでは不満が残ります。しかし、歴史的に見れば極めて大きな前進だといるでしょう。
 改憲タカ派首相の全面的な攻勢に直面して、危ういところでうっちゃったというところでしょうか。反民主的で強権的な政治運営によって国民の幅広い反撃を呼び起こしたという点でも、安倍首相には岸元首相の“DNA”が受け継がれていたということになります。 ただし、総理の椅子にしがみついている点では、お祖父さんより数段劣ると言わなければなりませんが……。

 与党の敗因には複合的な要因があります。1年前に私は「次の参院選で自民党が勝てない5つの理由」(後掲)を挙げましたが、今回はそれに年金、政治とカネ、失言・暴言の「3点セット」が付け加わりました。
 しかし、その複合的な要因の中核に総理・総裁として安倍さんが座っていたということは紛れもない事実です。そこで問われていたのは、カーキ色の「安倍カラー」であり、強権的な「安倍手法」でした。
 7月25日のブログで、『朝日新聞』政治担当編集委員の早野透さんの次のような言葉を引用しました。もう一度、思い出していただきたいものです。

 争点はカタカナの「アベシンゾウ」問題になっちゃったな。行きつく先が赤城農水相のばんそうこう騒ぎ。安倍氏の政治姿勢、未熟差への不信感だね。「戦後レジームからの脱却」とか「美しい国」とか、「何言ってんの」という反応だ。安倍氏のイデオロギー性は有権者に届かない。

 「争点はカタカナの『アベシンゾウ』問題」だったのです。そして、その結果としての歴史的な惨敗でした。
 ということは、最大の敗因は安倍さんそのものだったということになります。今日の『朝日新聞』は、安倍首相に対する地方の自民党選対関係者による次のような「うらみ」の声を伝えています。

 「支持率があれだけ低迷していては、来てもらっても役に立たない。党本部から一方的に『首相が行く』と言ってきたが、逆風に加えて台風が来たようなものだ」
 「人気の高い小泉前首相の応援をお願いしたのに、来たのは安倍さんで、逆効果だった。国会での強行採決にしても、小泉さんなら『リーダーシップがある』と映るが、安倍首相では『策がない』としか受け止められない」

 今回の選挙で不信任されたのは与党であり、その中心にいる安倍首相です。『読売新聞』の「編集手帳」は、「安倍首相は引き続き政権を担う意向という。大敗を喫して続投する以上、敗因をきちんと取り除かなければ有権者は納得しない」と指摘しています。
 ここに、安倍さんの最大のジレンマがあると言って良いでしょう。自らの「続投」のためには、最大の「敗因」であった自らを「取り除かなければ有権者は納得しない」からです。
 国民を無視して民意を顧みないおごりへの怒りが表明され、大きなしっぺ返しを食らったのに、それでもなお、「国民の声など聞く気はないよ」というのが、今回の続投宣言にほかなりません。この程度の「お仕置き」では不十分だったというのであれば、さらに大きなペナルティを科すしかないと、多くの国民は考えているにちがいないでしょう。

 衆院選挙と違って、参院選挙は「政権選択」を問うものではありません。今回の選挙も、与党が大敗して過半数を割ったからといって、政権が変わるわけではありません。
 「だから、安倍首相は辞任する必要がない」というのが続投弁護論です。しかし、それは逆です。
 安倍首相が辞任しても、次に出てくる首相も与党の中からです。首相が交代しても、政権の枠組みには変化がありません。だから、自民党支持者の4分の1の人が安心して他党に投票し、安倍さんへの不信任を表明したのです。

 衆院選挙で与党が過半数を失えば、政権が交代します。これは制度的に確立されたシステムです。同様に、参院選挙で与党が過半数を失えば、首相が交代するべきです。これは制度的には確立されていませんが、89年の宇野首相、98年の橋本首相が実行しました。
 選挙が民意を直接示すものである以上、それに従うのは当然でしょう。宇野首相や橋本首相は、そう考えたから自ら身を引いたのです。
 それが民主主義のルールであると理解していたからです。安倍首相は民意を尊重するという民主主義のルールに従う気のないことが、今回の続投宣言ではっきりと示されたことになります。やはり、首相としての判断力と資質が大きく劣っていると言わざるを得ません。

 潔さもまた、日本人の美学です。かくも明瞭に不信任されたのに、それでもなお首相の椅子にしがみつこうとしている往生際の悪さは、果たして「美しい日本」にふさわしいものなのでしょうか。

 なお、昨年の5月10日、私はHPで「次の参院選で自民党が勝てない5つの理由」について書きました。今となっては、読むことができませんので、参考のために、ここに再掲しておきましょう。
 ここで指摘した5つの理由は、いずれも今回の自民党の敗因に当てはまると思います。新たに付け加える必要があるのは、首相が安倍さんだったということだけです。

5月10日(水)次の参院選で自民党が勝てない5つの理由

「参院選へ青木氏、渋面」という見出しが出ています。昨日の『東京新聞』に掲載された、次の参院選についての観測記事です。
 「自民 3つの逆風」とあります。「小泉人気の反動 大勝揺り戻し 統一地方選疲れ」の「逆風」の中で闘わないといけないと自民党の青木幹夫参院議員会長ら参院執行部は危機感を募らせ、引き締めに懸命だといいます。
 実は、「逆風」はこれだけではありませんが、先ず「3つの逆風」とは何か、記事の内容を見てみることにしましょう。

 第1に挙げられているのは、「小泉ブームの反動」です。今回改選を迎えるのは2001年の参院選で当選した人々です。
 このときの選挙は「小泉ブーム」のまっただ中で、自民党は64人が当選しました。しかし、次の選挙ではそのような「ブーム」は考えられません。
 通常の選挙であれば、前回04年参院選並の50人前後ということになるでしょう。「しかも改選を迎える議員は、5年前に圧勝したことで気を緩め、その後の選挙運動が余り熱心でないと指摘される人も少なくない」と、この記事は指摘しています。

 第2は、「振り子の原理」です。昨年の総選挙で圧勝したことへの反動があるというのです。
 青木さんは、「前回の衆院選であれだけ勝たせた。今回、また勝たせていいのかという心理が働く」と分析しているそうです。
 来年の参院選まで一年以上ありますし、総選挙から2年も経ちますから、そのような「心理」がどれだけ持続するかは分かりません。しかし、衆院での多数の横暴が続けば、参院でストップをかけなければならないという「心理」やバランス感覚は働くかもしれません。

 第3は、「統一地方選」です。来年は、7月の参院選の前に4月に統一地方選が行われます。
 12年に一度、この二つの選挙が重なります。それだけでなく、自分の選挙が終わり、統一地方選で疲れた地方議員が動かず、参院選の投票率が下がって自民党が苦戦するという特徴があります。
 亡くなった石川真澄さんが指摘する「亥年現象」です。しかも、来年の統一地方選挙は、「平成の大合併」の後ですから、広くなった馴染みのない選挙区で、候補者が乱立する可能性があります。「統一地方選を闘い、疲れ切った後で行われるのが来年の参院選だ」と、青木さんが心配するとおりです。

 しかし、冒頭にも指摘したように、「逆風」はこれだけではありません。さし当たり、二つの「逆風」を付け加えておく必要があるでしょう。
 その一つは選挙マシンとなって集票する支持組織が弱体化していることです。もう一つは、この間進められてきた小泉「構造改革」の問題点が、さらに多方面で生じてくるだろうということです。

 第4の、「支持組織の弱体化」についても、「『劇場選挙』で疎遠に」という記事が5月4日付の『東京新聞』に出ています。「小泉は、地方組織を弱体化させただけでなく、業界団体と自治体との結びつきも弱めた」というわけです。
 昨年の総選挙が「分裂選挙」となったために、自民党の地方組織はズタズタになりました。公共事業を減らし、国民の支持に直接訴えかけるやり方は、業界団体などとの関係を疎遠にしました。参院選で重要な役割を果たすはずの集票マシンが、小泉首相によって「ぶっ壊された」というわけです。
 「参院議員会長の青木幹雄ら自民党参院執行部が懸念するのは、こうした支持構造の変化が来夏の参院選に与える影響だ」と記事は指摘しています。「地方組織を立て直し、業界団体との関係を修復しなければ、参院選での自民党勝利は困難」と「判断」しているとのことですが、それが可能なのでしょうか。

 さらに第5に、「構造改革の問題点の全面開花」という問題もあるでしょう。国民生活を直撃する「痛み」も、今後、増してくるにちがいありません。
 すでに、その兆候は現れています。昨年のJR西日本福知山線の大事故などもそうですが、今年始めに明らかになったいわゆる「4点セット」、つまり、耐震強度偽装問題、ホリエモンの逮捕、米国産牛肉の輸入再開問題、防衛施設庁発注工事に絡む官製談合事件などは、基本的には、この間の「構造改革」と密接な関わりを持っていました。
 これは、ホンの序の口です。小泉さんが首相の座を去れば、これまで隠蔽されてきた「構造改革」の負の側面が一挙に表面化する可能性があります。

 このように、青木さんの心配するとおり、次の参院選で自民党は苦戦するでしょう。12年に一度の試練に加えて、この間の小泉政治によってもたらされた新たな問題を全て引っ被らなければならないのですから、青木さんも気の毒です。
 しかし、それもこれも、旧橋本派の仲間を裏切って小泉さんを支えてきた青木さん自身が、自ら招き寄せたことです。これを、世間一般では、「自業自得」と申します。

 ただ、老婆心ながら申し添えておくと、次の参院選で野党は労せずして勝利するというわけではありません。このような新聞報道もまた、油断させるためではないかと疑うのが、正常な感覚です。
 とはいえ、私は、野党に油断させるために、このようなことを書いたわけではありません。頑張れば勝てる可能性があるということを、理解していただきたいがためです。
 闘いでの勝利は、天から降ってくるものではなく、自らの力でたぐり寄せるものなのですから……。


7月29日(日) 自民・公明両党、予想通りの歴史的惨敗 [参院選]

  「こんなに与党が負けるなんて、一体、誰が予想したでしょうか」
 テレビの中で、アナウンサーが叫んでいました。出口調査で、自民党の歴史的惨敗が避けられないとの予測が出たときです。

 でも、この結果は驚くようなものではありません。事前の予想通りだったといって良いでしょう。
 まだ、これを書いている段階では最終結果が出ていませんが、自民党は過去最低の36議席前後、公明党も愛知で落選、埼玉や神奈川でも苦戦しており、10議席以下になりそうです。
 与党が89年選挙と同じ様に惨敗し、過半数を割ることが確定しました。このような結果になるかもしれないということについて、私は公示日(12日)のブログで、次のように書きました。

 世論のあり方が89年と今回とで似通っているということであるなら、それによって生まれる選挙の結果もまた、似通ったものになるでしょう。つまり、自民党が40議席を割ることもあり得るということです。

 ここで、自民党にとっての大きな「不安要因」を指摘しなければなりません。それは、安倍内閣に対する不支持率が51%と、過半数を超えていることです。
 戦後の参院選は20回を数えますが、内閣に対する不支持率が過半数を超えたままで参院選に突入した例はありません。今回が、初めてになります。
 それだけ、安倍政権に対する拒否感情や政治のあり方に対する怒りが強いということになるでしょう。それがどういう結果をもたらすのか、過去最低であった36議席を下回り、戦後初めてというほどの自民党の歴史的敗北をもたらすことになるのか、大いに注目されるところです。

 いずれにせよ、このような自民党にとっての「悪夢」が「正夢」になるためには、29ある定数1の小選挙区での勝敗が決定的になります。89年の大敗のとき、定数1の選挙区は26でしたが、与党にとっては3勝23敗という結果に終わりました。逆に、「小泉ブーム」に乗って大勝した01年の参院選では、27の1人区で自民党は25勝2敗です。
 世界を見れば、もっとすごい例があります。カナダの下院では、景気の低迷と高失業率への不満を背景に、93年10月の総選挙(小選挙区制)で与党の進歩保守党が解散前の152議席からわずか2議席に激減するという歴史的大敗を喫しました。
 与党からすれば、2勝150敗という結果です。小選挙区制には、勝敗を増幅するという特性があり、勝つものはより多く勝ち、負けるものはより多く負けるのです。

 今度の参院選で、果たして、このような「悪夢」が自民党を襲うことになるのかは分かりません。しかし、そのような可能性が生まれてきているということもまた事実です。
 世論調査が示す自民党にとっての「悪夢」のシナリオが、現実のものとなるかどうか。その答えが出るのは、約2週間後のことになります。

 ということで、それから約2週間の後、「このような『悪夢』が自民党を襲」い、「自民党にとっての『悪夢』のシナリオが、現実のものとな」りました。注目すべきことは、このような与党惨敗が事前に予測されなかったことではなく、その予測通りの結果が投票によって示されたということでしょう。
 選挙が公示されて以降、世論の動向にはほとんど変化がなかったということになります。それほどに、民意は明確で揺るぎのないものでした。

 このような結果が生まれた背景として、自民党の幹部の1人は、「野党と闘う前に後ろから弾が飛んできたからだ」と説明していました。失言、暴言、事務所費問題など、与党内の問題の方が大きかったということでしょう。
 民主党からすれば、赤城農水相などに“感謝状”を出したい気持ちかもしれません。安倍首相自身の対応や資質の問題、イデオロギーや政策理念に対する国民の警戒感や反感も大きかったように思います。
 選挙が始まったとき、安倍首相は「私と小沢さん、どちらが首相にふさわしいか、国民の考えを聞きたい」と言いました。今回の結果は、「小沢さんの方が首相にふさわしい」と国民が考えていることをはっきりと示したものです。

 与党惨敗に対する安倍首相の責任には大きなものがあります。しかし、安倍さんは続投の意向を示しました。
 その場の空気が読めず、責任の自覚もなく、決断もできない安倍さんなら、当然の対応です。「安倍首相は退陣するべきだ」と言っている野党は、心の中では喜んでいることでしょう。
 安倍首相が辞めなければ、選挙敗北の責任をめぐる自民内のゴタゴタは続きます。中川幹事長の辞任は避けられず、党役員と内閣の改造もあるでしょう。野党は、これからまだいくらでも攻めようがあるということになります。

 7月25日のブログで、私は「参院選後の政局を安倍首相で乗り切れるのか」と書きましたが、今また同じ問いを発しなければなりません。これほどの不信任を無視して、政権運営が可能だと考えているのですか、と……。
 テレビのインタビューで、安倍さんは続投について「国民の理解を得られるだろう」と答えていました。しかし、「国民の理解」を得られなかったから、この選挙でかくも手ひどく惨敗したのではありませんか。懲りない人ですね。


7月27日(金) 深刻な日本の現状が見えているのか [参院選]

今日の『東京新聞』に日本版ヴォートマッチ「投票ぴったん」http://votematch.jpn.org/についての記事が出ています。昨日、サーバーがダウンしたそうですが、もう復旧したようです。ミラーサイトが三つも付けられていました。

 赤城農水相についての疑惑が、またまた浮上しました。赤城さんが支部長を務める自民党支部と後援会が政治資金収支報告書に同じ領収書のコピーを添付して二重に計上していたことが分かったからです。
 赤城事務所は二重計上を認めて「事務処理上のミス」と説明し、後援会の収支報告書を訂正したそうです。でも、ちゃんと説明できない赤城さんは、ごねて帰国を遅らせたり、空港から直行で病院に入ったりして、逃げ回っています。
 そのうえ、小池百合子防衛相についても、今週発売の『週刊現代』が、「家賃ナシ・高熱水費ナシの議員会館に事務諸費4542万円」と報じています。何とも、絶妙のタイミングで新しい疑惑が浮かび上がったものです。

 ところで、今日の『毎日新聞』には、「格差問題も争点」という記事が出ていました。毎日新聞が25、26日に実施した全国世論調査で、「『格差問題』への関心の高まりが改選数1の「1人区」での自民苦戦の一因になっていることがうかがえた」というのです。
 この記事は、次のように報じています。

 投票の際に最も重視する政策を聞いた質問の回答では、格差問題の伸びが目立つ。5月の前々回調査は13%で年金、教育、憲法に次ぎ4番目だったが、前回は15%に上昇し、今回は16%で年金に次ぐ2番目の争点に浮上した。特に内閣不支持層では21%が格差問題を挙げており、年金の22%と同水準となった。
 注目されるのは、格差を挙げた人の参院選への考え方。勝ってほしい政党は民主62%、自民17%で、民主のリード45ポイントは全体の14ポイントを大きく上回った。投票先の質問でも選挙区で民主47%、自民15%、比例代表で民主49%、自民14%と大きく差が開いており、格差問題が自民に打撃を与えていることがうかがえた。
 また、格差を挙げた人の内閣支持は18%にとどまり、不支持は71%。支持政党でも民主35%、自民11%などで、いずれも全体と比べて自民により厳しい数字が並んだ。
 格差問題は民主が今春の統一地方選で最大争点と位置づけたテーマ。統一選ではあまり効果が上がらなかった戦略が、ここにきて奏功した形だ。

 「格差」そのものは、今までの日本社会にも、また、どのような社会にもありました。しかし、それがあまりに拡大すれば、大きな不平等を生み、社会の統合を困難にすることになります。
 また、全体として底上げされる中での格差であれば、それほどの問題ではないかもしれません。しかし、今問題になっているのは、「勝ち組」とされる豊かな人々がさらに豊かになっているだけでなく、「負け組」とされている貧しい人々がさらに貧しくなっているということです。

 しかも、これらの「負け組」状況に落ち込んだ人々は、なかなか働き口を見つけることができず、働いても貧しさから抜け出すことができません。このようなワーキングプアの広がりによって格差が拡大しているという点に大きな問題があります。
 昨日の『読売新聞』夕刊に、ある男性の例が紹介されていました。次のような事例です。

 薄い板で仕切られたタタミ一畳ほどの空間が、男性(24)の一日の疲れを癒やす場所だった。今年5月、都内で開催された労働条件改善を求める全国青年雇用大集会で男性と出会い、彼が暮らすインターネットカフェに案内された。家賃5万円のアパートの契約更新ができず招いた現実。「すぐに終わるはずだった仮の生活」は、先月まで2年以上も続いた。
 上京後、映像ディレクターを目指し、専門学校で学んだ。2003年に卒業。小さな映像プロダクション助手の働き口を見つけた。終電で帰る毎日だが、手取りは月13万。好条件の会社に移ろうとしたが、プロダクションの仕事も失い、完全に失業した。すでにアパートを引き払い、インターネットカフェ暮らしを続けていた。
 住所不定という弱い立場では職探しも思うに任せない。深夜行う商品仕分けの日払いのアルバイトをどうにか見つけた。「その日の生活費を考えるだけで精いっぱい。保険証がなく病気になっても医者にもかかれない」。心身ともにすさんでいた。
 インターネットカフェ難民は今も大勢いる。「首都圏青年ユニオン」などが中心となってこの春、全国19都道府県の94店舗で、利用者の聞き取り調査を行った結果、65店舗で長期暮らしの人がいることがわかった。
 男性は先月、映像関係の仕事を郷里に見つけ、ネット難民生活に区切りをつけた。「路上生活の一歩手前で踏みとどまっているようでみじめな気分。抜け出すのは難しかった。一晩1000円程度で雨露がしのげる便利さもあった」と男性は過去2年を振り返る。「もう二度と戻りたくない。健康的な生活が一番だ」とも。
 「貧困の悪循環から自力で脱出できずに苦しんでいる。行政や社会が関心を向け、生活保護や住まいの保障を充実させる必要がある」と生活困窮者を支援するNPO「自立生活サポートセンター・もやい」(東京)の湯浅誠事務局長は訴える。厚生労働省は近く、ネットカフェなどで生活する人の実態調査を行う予定だ。

 ここに紹介されているのは、「ネットカフェ難民」と言われる人々の姿です。今日の日本にも「難民」がいるという現実をどう考えたらよいのでしょうか。
 働こうとしていたり、あるいは、働いているにもかかわらず、「貧困の悪循環から自力で脱出できずに苦しんでいる」人々(ワーキングプア)の存在は、今日の日本の政治がいかに問題解決能力を失っているかを象徴しています。それは個々人の問題ではなく、明らかに政治と社会の問題なのです。
 最近読んだNHKスペシャル『ワーキングプア』取材班・編『ワーキングプア-日本を蝕む病』(ポプラ社、2007年6月)には、これについて次のように書かれていました(222~225頁)。

 取材した人たちはいずれも必至で仕事をさがし、家族のことを真剣に考えていた。懸命に努力をしているにもかかわらずワーキングプアから抜け出せない。だからこそこの問題は極めて深刻なのだ。
 ……
 つまり私たちが普通に暮らしていて起きる、身近なきっかけでワーキングプアに陥ることがあるということだ。逆に言えば身近な出来事を前もって想定してきめ細かな対策をとればワーキングプアに陥ることを避けられるということだ。運が悪かったではすまされないと思う。
 最後に、決してあってはならないのはワーキングプアの問題が次の世代に引き継がれてしまうことだ。……
 つまり今この時点で、具体的な取り組みを始めなければもう間に合わないのである。問題を先送りすることはできない。
 ……
 ワーキングプアの問題を解決することは容易ではない。運用の問題をはじめ医療や社会保障の問題、さらに高齢化や経済のグローバル化の問題などそれぞれの人が異なる事情を抱えているからだ。しかしこの問題を放置することはもはやできない。個人の責任としてだけではなく社会の責任としてこの問題をどのように考え、対策を講じていこうとするのか、あるいは今の社会のあり方をよしとするのか、新たな社会の構築をめざしていくのか、その選択は私たち1人1人の決断にかかっていると強く思う。

 「日本人で良かった」などと脳天気なことをいう人には、このような現状が見えていないのでしょう。「日本人で良かった」と「今の社会のあり方をよしとする」ような人に、この現状を変えて「新たな社会の構築をめざしていく」ことができるのでしょうか。

 このような問題の解決を含めて、「その選択は私たち1人1人の決断にかかっている」のです。そして、その「決断」を下す絶好の機会が、いよいよ明後日に迫ってきています。


7月28日(土) 真の争点は「日本はこのままでよいのか」 [参院選]

 いよいよ、明日が参院選の投票日です。与党がどこまで議席を減らすか、投票結果が楽しみです。
 野党が全体として勢力を伸ばすことを願っていますが、なかでも護憲の立場に立つ政党や政治家に当選して欲しいものです。今回の当選者は改憲発議が可能になる3年後も、参院議員なのですから……。

 今回の参院選が公示された7月12日(木)、私はこのブログで、以下のように書きました。

 今回の選挙の意義は、「今の日本はこのままでよいのか」という問いに、国民が直接答えることができる機会だという点にあります。「このような日本を作ってきたこれまでの政治は良かったのか」という問いに対しても答えることができます。
 また、政権与党が掲げているこれからの日本の青写真や進路に対して、「その方向に進んでいっても良いのか」という問いへの回答も可能でしょう。日本の現在のみならず、過去と未来についても、私たちは回答できる得難いチャンスを手にしているということになります。
 「参院選だから、中間選挙のようなものだ」という意見は間違いです。安倍内閣が発足してから初めての国政選挙になりますし、時の政権が改憲の是非を争点として国政選挙に臨むのも初めてになります。日本の進路を決める歴史的な意義を持つ選挙だと言うべきでしょう。

 選挙の争点は、平和と民主主義を志向してきた「戦後レジーム」を改憲によって覆そうとする安倍首相の野望を打ち砕くかどうかにあります。そして、そのような野望を掲げる首相を送り出すまでに劣化してしまった自民党の統治を継続させるかどうかにあります。
 すなわち、争点は安倍改憲政権の是非であり、自民党統治の是非そのものです。このような首相と政党に政権をまかせ、日本の進路をゆだねて良いのでしょうか。
 今回の選挙で問われている核心は、まさにこのような問いなのです。「宙に浮いたり消えたり」という年金問題、定率減税の廃止や消費税率引き上げによる増税などの税金問題、相次ぐ閣僚の暴言や赤城農水相の事務所費問題に見られる政治とカネの問題、餓死者が出るほどの困窮を生み出している貧困と格差などは、これに付随して生じている具体的な争点にほかなりません。

 それから16日後の今日、28日の時点でも、基本的にここに書いたことを修正する必要はないように思います。参院選の真の争点が「日本はこのままでよいのか」という点にあるということは、公示期間中の論戦などを通じても、明らかになってきたからです。
 選挙の争点は「『戦後レジーム』を改憲によって覆そうとする安倍首相の野望を打ち砕くかどうか」にあり、「そのような野望を掲げる首相を送り出すまでに劣化してしまった自民党の統治を継続させるかどうか」にあります。この問いに、皆さんは「イエス」と答えるのでしょうか。それとも、「ノー」と答えるのでしょうか。

 もし、「イエス」と答えれば、安倍首相を信任し、その続投を認めることになります。安倍首相の掲げる「戦後レジーム」の見直しや改憲準備を加速させ、「戦前レジーム」への復帰と9条改憲への地ならしに手を貸すことになるでしょう。
 「政治とカネ」の問題に対する不十分な対応を許し、赤城農水相、伊吹文科相、塩崎官房長官、小池防衛相などの事務所費疑惑は解明されずに終わるでしょう。消えた年金記録に対する責任追及はあいまいなままとなり、受給権の消滅や年金減額に対する解決も不十分なものとなるでしょう。
 格差の拡大と貧困への対策は放置され、ワーキングプアや「ネットカフェ難民」に救いの手が伸びることはないでしょう。再び、「労働ビッグバン」による労働法制の全面的改悪が取り組まれ、サービス残業合法化のためのホワイトカラーエグゼンプションの導入が狙われるでしょう。
 秋からの税制改革によって消費税の引き上げが図られ、大企業には新たな減税措置が導入されるでしょう。教育に対する国会や行政の介入や統制が強まり、競争の激化によって教育現場の歪みと混乱はさらに激しくなるでしょう。
 有識者懇談会によって集団的自衛権の行使は合憲であるという答申が出され、それを定める新しい法律の制定が浮上するでしょう。アフガンニスタンへの自衛隊派遣という新たな課題が提起され、「テロ対策特措法の改正」が狙われるでしょう。

 「ノー」という答えが多く、与党が敗北して少数になれば、これらの問題が全て解決されるというわけではありません。しかし、このような政治のあり方に対して、大きな異議申し立てとなることは明らかです。
 そのいくつかについては、断念させることができるかもしれません。そしてそれは、自民・公明両党を政権の座から引きずり下ろす第一歩となることでしょう。

 そのためには、是非とも投票所に足を運んでいただきたいと思います。そして、自民・公明両党以外の政党や候補者に投票していただきたいものです。
なお、今回は特に、投票時間への注意が必要です。投票所によっては、投票時間を繰り上げるところがかなりあるからです。
 午後8時の締め切り時間ギリギリではなく、早い時間帯に行かれることをお勧めします。せっかく行ったのに投票所が閉まっていたなどということのないようにして下さい。

 今度の参院選は、21世紀における日本の進路を大きく左右するものとなるでしょう。その結果次第では、日本の歴史が変わります。ひいては、東アジアの状況も、世界の進路も変わっていくにちがいありません。
 日本と世界の進路を変える歴史的な事業に参加しましょう。1票による“革命”を、あなたの手で起こそうではありませんか。


7月26日(木)  困ったときの「北朝鮮頼み」 [参院選]

 7時のNHKニュースを見ていたら、赤城農水相の姿が写りました。日本産のお米を売り出すPRに中国に行っているんですね。
 参院選の忙しいさなかではありますが、候補者からの支援要請などはないようです。絆創膏も貼らず、無精ひげもきれいに剃り、日本国内いるときよりも生き生きとしているように見えました。

 テレビといえば、今日の夕方のニュースで「投票ぴったん」が取り上げられました。テレビ朝日の「Jチャンネル」です。
 選挙への関心を高めたり、争点を知る上で有効だとか、投票する政党を決める上でも役に立つと、高く評価していました。これは大変な宣伝です。
 夜になって、このプログラムの開発に加わっている娘から電話があり、案の定、アクセスが殺到してサーバーがダウンし、それに備えていたミラーサイトもギブアップしてしまったそうです。復旧には時間がかかるようで、「折角、これからというときだったのに」と悔しがっていました。

 このように、参院選への関心は相変わらず高いようです。それに、「自・公に逆風止まらず」(『読売新聞』7月26日付)という状況にも変化はありません。読売新聞が行った全国37の激戦区や注目選挙区での世論調査(23~25日)によると、参院選終盤の情勢は次のようになっているといいます。

 自民党は選挙区選で不振が続き、伸び悩んでいる比例選と合わせても40議席を下回る可能性が出てきた。公明党も苦戦しているため、非改選議席を含めて与党が参院の過半数を大きく下回ることが濃厚となった。民主党は1人区などで好調を維持し、60議席台をうかがっている。ただ、選挙区選で約4割が投票先を決めておらず、情勢はなお流動的な要素もある。

 つまり、前回の全国調査と比べて、終盤の情勢は与党にとって「一段と悪化」しているというわけです。「このままの情勢で投票日を迎えた場合、安倍首相や自民党執行部の責任問題などで政局が緊迫することも予想される」と、読売新聞でさえ「予想」しています。
 こうなってくると、いつもの“手”を出したくなるようです。困ったときの「北朝鮮頼み」という使い古した常套手段を……。
 今日の『読売新聞』は、「『北朝鮮は自民大敗を願っている』森元首相、金沢で演説」という見出しで、次のように伝えています。

 政府高官や自民党幹部から25日、参院選で安倍首相が率いる自民党が敗北すると北朝鮮を利する結果になる、として自民党への支持を訴える発言が相次いだ。
 森元首相は金沢市での街頭演説で、「北朝鮮は安倍さんが(参院選で大敗し)つぶれてくれることを願っている。そんな北朝鮮の不埒(ふらち)なやり方に黙っていてはいけない。安倍さんを勝たせるしかない」と述べた。
 塩崎官房長官も都内での街頭演説で、「北朝鮮は安倍内閣の行方をじっと見ており、(参院選が与党にとって)あまりいい結果ではないことを期待している」と指摘した。

 北朝鮮に対する国民の嫌悪感に訴えようとしているわけです。これまでも、改憲や集団的自衛権行使の容認、自衛隊の増強や在日米軍の再編強化、日米の軍事的一体化や軍事大国化に向けて、「北朝鮮の脅威」が利用されてきました。
 今度は、選挙に利用しようというわけです。何という姑息なやり方でしょうか。
 拉致問題や核開発疑惑の解決は、党派を超えて日本全体で取り組むべき課題であるはずです。それを選挙に利用しようと考えること自体、大きな問題ではないでしょうか。

 それだけではありません。自民党が大敗すれば景気が後退するかもしれないという脅しが始まりました。
 例によって『産経新聞』です。「どうなる安倍政権 40議席未満なら景気後退も」という観測記事が掲載されました。
 この記事は、「歴史的大敗」となれば「政界は大混乱に陥る。国家予算は最低限必要な骨格予算しか成立させることができず、有効な経済政策が打ちにくくなり、景気は後退局面に入ることが予想される。外交でも主導権を発揮できず、日米の同盟強化に影響が出る可能性もある。対中国、対北朝鮮外交では譲歩を重ねることにもなりかねない」と脅しています。「40議席未満」もあり得るという終盤の情勢に危機感を募らせ、安倍首相に対する援護射撃を始めたというわけです。

 このような「反撃」は、当然あり得るものです。これから投票日までの数日間、このような世論工作はさらに活発になることでしょう。
 しかし、それに惑わされてはなりません。そもそも、「景気」に見離されている庶民や地方にとって、「景気後退」などという脅しが通用するはずもないのですから……。



7月25日(水) 参院選後の政局を安倍首相で乗り切れるのか  [参院選]

 参院選後の安倍首相の対応が問題になってきています。与党の過半数割れが確実になってきたためです。
 民主への追い風、自民に対する逆風は、その後も強まり続けています。このままいけば、自民党は過去最低の36議席を下回る歴史的惨敗を喫する可能性もあります。

 毎日新聞は先週末の20~21日、参院選に関する第3回ネットモニター調査を実施しました。「自民、民主両党のどちらに好感を持っているか」を尋ねたところ、民主72%、自民26%になりました。
 問題はトレンドです。第2回調査(12~13日)に比べて民主が1ポイント増、自民が2ポイント減となって、両党の好感度の差はさらに広がりました。
 過去3回の変化を見ると、自民党は33→28→26、民主党は66→71→72となっています。民主優勢の“風”がずっと吹き続けているということが明瞭です。

 また、この調査では前回に続いて「安倍晋三首相と小沢一郎民主党代表のどちらが首相にふさわしいか」という質問も行っています。安倍氏が34%(前回比1ポイント減)、小沢氏が65%(同1ポイント増)で、わずかながら差が広がりました。
 今回、初めての質問もあります。「自民大敗の場合、安倍首相は退陣すべきか」について聞いたところ、「退陣すべきだ」が68%に上り、「退陣する必要はない」の30%を上回りました。2倍以上の差があります。

 読売新聞の調査も同じような傾向を示しています。読売新聞社が24日にまとめた参院選ネットモニター調査で、与党が過半数(122議席)を割った場合の安倍首相の対応について尋ねたところ、「辞任すべきだ」が48%で、「辞任すべきでない」の26%を上回りました。辞任論が22ポイントも多くなっています。
 また、参院選で与野党のどちらに勝ってほしいかとの質問には、「大差で野党」とした人が最多で33%に上りました。以下、「小差で与党」17%、「小差で野党」16%、「与野党伯仲」10%、「大差で与党」8%の順だったそうです。
 参院で与野党が逆転した場合、国会運営が不安定になることへの対処法については、「できるだけ早く衆院を解散すべきだ」が51%で、「与党が民主党と協力すべきだ」は18%でした。要するに、半分ほどの人が、参院選で野党に勝ってほしいと思っており、そうなったら安倍首相は辞任し、衆院を解散して総選挙を行うべきだと考えていることになります。

 しかし、政府・与党内では、このような世論動向に逆らうように「続投論」が相次いで表明されています。すでに、昨日のブログでも紹介した塩崎官房長官、渡辺喜美行革担当相、小泉前首相や中川昭一政調会長など、「首相と親しい面々」(『日経新聞』7月25日付)が、退陣する必要はないと主張しています。
 選挙敗北の責任追及を避けるために、早々と手を打っているということでしょう。政府・自民党は、参院選で与党が過半数割れしても安倍晋三首相の引責辞任は必要ないとの判断を固め、参院選後は首相続投を前提に9月に内閣の大幅改造と自民党役員人事を断行、人心一新により挙党態勢を確立した上で、秋の臨時国会に臨む方向で調整するとの報道もあります。
 戦闘中であるにもかかわらず、最後の決戦を前に退却の仕方を相談しあっているようなものです。これで選挙が戦えるのでしょうか。

 なお、土俵を狭めてしまおうという、姑息な手段も取られようとしています。投票終了時間の繰り上げです。今回の選挙で、特に、このような繰り上げが増えている点が注目されます。
 総務省によれば、今回の参院選では全国の投票所5万1743カ所のうち、約3割を占める1万4840カ所で、最大4時間繰り上げられるといいます。前回参院選での繰り上げ実施は2割程度でした。
 一方で、投票率向上のためのキャンペーンを行いながら、他方で、投票時間を繰り上げる。誠に、ちぐはぐな対応といわざるを得ません。
 開票に合わせるための短縮などというのは言語道断で、開票よりも投票を優先するのは当然でしょう。投票してこそ開票に意味があるわけで、開票を早くするために投票時間を繰り上げるなどというのは本末転倒です。

 ところで、安倍首相の「続投論」に対して、民主党の鳩山さんは政府・与党を批判しています。「政権の是非は有権者が判断することだ。首相官邸の人が負けても責任を負わないという発言には、そこまで逃げるのかという思いがする」というわけです。
 鳩山さんはまた、参院選の位置付けについて「政権選択の選挙だ。安倍政権の信任選挙であることは間違いない」と強調しています。昨日も書いたとおり、それを望んだのは安倍首相自身ですから、鳩山さんがそう言うのも当然でしょう。

 しかし、民主党は内心では、安倍首相の続投を望んでいるかもしれません。これほどの追い風を生み出す点で、安倍首相個人の“貢献”も少なくなかったからです。
 今日の『朝日新聞』での編集委員座談会の記事「『安倍政治』審判は」で、政治担当編集委員の早野透さんは、次のように語っています。

 争点はカタカナの「アベシンゾウ」問題になっちゃったな。行きつく先が赤城農水相のばんそうこう騒ぎ。安倍氏の政治姿勢、未熟差への不信感だね。「戦後レジームからの脱却」とか「美しい国」とか、「何言ってんの」という反応だ。安倍氏のイデオロギー性は有権者に届かない。

 参院選苦戦の原因は、安倍首相自身にあるということです。安倍さんの考え方や政治姿勢、経験不足未熟さ、トップリーダーとしての指導力不足や危機対応能力のなさなどが、次々と露呈し、それは選挙期間中も続いています。
 その結果としての参院選敗北であるなら、安倍さん自身が責任を取るのは当然でしょう。しかも、参院で与党が惨敗して過半数を失い、参院で民主党が主導権を握るという状況の下で、安倍首相がどれほどのイニシアチブを発揮できるというのでしょうか。
 これまで同様の失敗を重ねることは避けられないでしょう。さらに“敵”に塩を送ることになるのではないでしょうか。

 もし、参院選で自民党が惨敗すれば、民主党はじめ野党の皆さんはこう願うことでしょう。「次の総選挙も、是非、安倍さんでやって欲しい」と……。


7月24日(火) 安倍首相は「国民の審判」を尊重すべきだ  [参院選]

 相変わらずの暴言、迷言のオンパレードです。『週刊金曜日』の7月20日号で金子勝さんが日本のリーダーたちの劣化について書いています(「リーダーたちはなぜかくも劣化したのか」)が、まことにその通りの惨状だと言うべきでしょう。

 まず初めに、トップリーダーのトホホな言い間違いから。NIKKEI NETは次のように伝えています。

 「改革実行力があるのは私たち自民党と、そして民主党であります」――。安倍晋三首相が23日、長崎市内の街頭演説で連立パートナーを公明党でなく、民主党と言い間違える一幕があった。首相は自ら間違いに気付き「大変な間違いがありました。民主党には絶対に改革はできない、私たち自民党、公明党しか改革の実行力はないんです」とすぐさま訂正。この直前まで首相は民主批判を繰り返しており、勢い余って「民主党」の名前が飛び出してしまったようだ。

 現首相に続いて、前首相の発言です。小泉前首相は鹿児島市での講演で、首相在任中に靖国神社参拝中止を強く求めてきた中国について、「将来、『なんて恥ずかしいことをしたんだろう』と後悔する」と批判しました。
 小池防衛相も負けていません。参院選応援で訪れた佐賀県唐津市での演説で、社会保険庁の労働組合について「年金の仕事をせず、支持する野党の選挙応援をしゃかりきにやってきた」と批判し、「年金問題で混乱すればするほど、日本をガタガタにしようという彼らの目標に近づき、運動は成功を収めるという、まさに自爆テロという話になる」と述べました。
 社保庁と年金問題については、安倍晋三首相も遊説で「自爆テロによる改革妨害」などと批判しているそうです。

 さらに、政治とカネの問題で、自分で自分を注意しなければならなくなった塩崎恭久官房長官です。松山市で街頭演説し、「どういう結果が出ようともこの安倍改革の流れを止めてはならない。その意気込みでわれわれは進んでいく」と述べ、与党が大きく後退した場合でも安倍首相は続投する構えであることを示唆し、「改革の流れを止めて喜ぶのは第一は民主党。恐らく二番目は北朝鮮ではないか」と強調しました。「北朝鮮」を喜ばせないために、自民党に入れてほしいというわけです。

 塩崎官房長官は今日の閣議後の記者会見でも、「参院選は基本的には政権選択の選挙ではないと位置づけられてきた。今回も同じだと思う」と発言しています。過去に参院選で敗北した政権が退陣した例があることに関しては「それはそのときの政権の判断だ」と述べるにとどめたといいます。
 いよいよ、追いつめられてきたということでしょう。官房長官が「政権選択の選挙ではない」と予防線を張るのは、参院選での敗北が濃厚になってきたからです。
 しかし、「私と小沢さん、どちらが首相にふさわしいか、国民の考えを聞きたい」と言ってきたのは安倍首相自身ではありませんか。国民にそう問いかけ、選挙で負ければ、「小沢さんの方が首相にふさわしい」という答えが出たことになります。これは、小学生にでも分かる道理でしょう。

 それを今ごろになって「政権選択の選挙ではない」と逃げを打つとは、なんという見苦しさ。そういうなら、初めから「私と小沢さん、どちらが首相にふさわしいか」などと、「政権選択」を問うようなことを言うべきではありませんでした。
 『朝日新聞』の「党首力」についての調査でも、安倍さんは小沢さんに「リーダーシップ」で差を広げられ、「政策アピール力」で逆転され、「改革期待」でも差をつけられています。
 投票を待たずして、「どちらが首相にふさわしいか」については、もはや勝負が付いてしまったようです。与党が過半数を維持できなかったら、安倍さんは「国民の審判」を尊重して、潔く、その地位を去るべきです。

 そうなったら、日本の政治は混乱すると心配する人がいます。全ての法律が参院を通らなくなると脅す人もいます。
 しかし、それは杞憂です。参院が与党の思い通りにならず、強行採決ができなくなるだけです。
 野党にも受け入れられるようなまともな法案を出せばいいんです。そうすれば、いくらでも法律は成立します。そうなって初めて、参院は与党の横暴を抑止し、国政をチェックする機関として本来の役割を果たすことができるようになるでしょう。

 昨日の『朝日新聞』に、元英エコノミスト編集長のビル・エモットさんが、「日英首相考 スター継承日本の教訓」という興味深い記事を書いていました。そこで、エモットさんは、参院選の結果について次のように指摘しています。

 もし大敗によって首相交代という事態になれば、日本の政治が、短命の首相が続いた1990年代の泥沼状態に逆戻りすると懸念する人々もいる。彼らは、日本の海外での評判が損なわれると心配している。
 それは間違いである。もし日本の有権者が、経済政策や官僚の不正問題を解決できないことへの不満の意思表示をするなら、それは積極的な兆候なのであり、消極的な態度ではない。より厳しい注文をつける有権者になればなるほど、日本の将来と日本の海外での評価にとってはプラスだろう。

 私も、そう思います。「より厳しい注文をつける有権者」となって、1票を投じたいものです。「それは積極的な兆候なのであり、……日本の将来と日本の海外での評価にとってはプラス」なのですから……。


7月23日(月) あの『産経新聞』調査でさえも「与党、過半数割れ濃厚」 [参院選]

 参院選の情勢について、引き続きさまざまな調査が行われています。その特徴は、どの調査にも大きな違いがないという点です。
 調査や報道主体が違っても、その見通しには違いがありません。与党過半数割れという予測には……。

 そしてとうとう、このような予測を、あの『産経新聞』さえも報ずるようになりました。FNN(フジニュースネットワーク)との合同の世論調査を元に、「与党、過半数割れ濃厚」と伝えたのです。
 産経新聞社はFNNと合同で19~21日、世論調査を行いました。その結果、「自民党は支持層を固められず、選挙区、比例代表ともに苦戦し、公明党も前回の13議席確保は微妙で与党での過半数割れが濃厚だ。民主党は選挙区、比例代表ともに自民を上回り、獲得議席を50台後半に伸ばす可能性があり、参院での第1党は確実となった」としています。
 自民党が獲得する議席は、「橋本龍太郎首相が退陣した平成10年の44議席前後にとどまる可能性が強い」というのです。40議席割れとまで言っていないのは、『産経新聞』らしいところでしょうか。

 しかし、比例代表区は「10年の14議席を下回る可能性がある」としていますから、やはり自民党は厳しいと見ているようです。また、「安倍内閣の支持率は29.1%と、昨年9月の政権発足以来、初めて30%を割り込んだ」とも報じています。
 『産経新聞』の調査でも、とうとう内閣支持率は3割台を切りました。昨日の『日経新聞』調査(27%)と同様です。
 これだけ同じような結果が出てくるのは、世論の動向が極めて明瞭だからです。今度の参院選で、安倍内閣は言い逃れできないような形で、きっぱりと「不信任」されるにちがいありません。

 なお、共同通信社が19~21日に行った全国電話世論調査では、比例代表の投票先を「民主党」と答えた人は31.7%で、「自民党」と答えた人は23.7%でした。その他の政党は、公明党6.7%、共産党4.0%、社民党2.3%となっています。
 『朝日新聞』が21~22日に実施した調査では、「いま投票するとしたら」として聞いた比例区の投票先は、民主が32%と前回の30%から2ポイント伸ばし、自民は20%(前回23%)と3ポイント減らしています。選挙区でも民主が34%(同32%)と増え、自民は24%(同26%)と減らしています。
 つまり、時間が経てば経つほど、民主党への支持が増え、自民党への支持が減っているということになります。自民党にとっては、おそらく、序盤の情勢よりも終盤の情勢の方が、もっと厳しいものとなるでしょう。

 問題は、投票率です。6割を超えるかどうかが注目されますが、その可能性は高いと思います。
 今日のNHKニュースでは、選挙に「必ず行く」という人が61%で、すでに「期日前投票に行った」という人が4%、合わせて65%となっており、前回04年参院選の時より5ポイント高くなっていました。「非常に関心がある」という人も、前回より11ポイントも多いといいます。
 注目されるのは、「期日前投票」です。昨日までに投票を済ませた人は約400万人で、前回より5割以上増えているそうです。
 私も、昨日、投票してきましたから、この400万人のうちの1人です。まだの人は、できるだけ早く行かれた方がよいと思います。

 投票日までの6日間で、安倍内閣への支持率はさらに低下し、不支持率はもっと高まることでしょう。自民党に対する支持率の低下も続くにちがいありません。
 投票日を遅らせて夏休みにぶつけるという、多くの人の迷惑を顧みない姑息な陰謀が功を奏さなかったということになります。安倍内閣を支持しないという答えの中には、夏休みの予定を狂わされた人々の怒りも含まれていることに、安倍首相は気づいているのでしょうか。


7月22日(日)   “蜂”の襲来で、与党過半数厳しく [参院選]

 “泣きっ面に蜂”は2匹程度ではなかったようで、その後も、いろいろな事実や発言が明らかになっています。選挙まっただ中での“蜂”の襲来に、安倍首相は頭を抱えていることでしょう。お気の毒に……。

 事務所費問題で疑惑を持たれている赤城農相ですが、新たな疑惑が明らかになりました。赤城農相の関連政治団体「つくば政策研究会」が1997年以降、事務所を引き払っていた東京・西新橋のビルを主な事務所として総務省に届け出ていたうえ、この年から7年間にわたって政治資金収支報告書に、人件費約757万円、光熱水費約111万円、備品・消耗品費約122万円、事務所費約225万円の合計約1215万円を計上していたことが分かりました。
 関連政治団体が事務所を移転していたのに届け出ていませんでした。それに、すでにそこにはない政治団体の事務所費として1215万円が計上されていたことになります。しかも、このような政治団体があることを赤城さんは「私自身がこの団体のことを知らなかった」とし、代表者だった元町長も「新橋に事務所があったことは、取材を受けて初めて知った」と話しています。
 政治資金規正法は、主な事務所を移転した場合7日以内に異動届を提出するよう義務付けていますから、今回のケースは明らかに政治資金規正法違反になります。また、実態のない事務所費に経費を計上していたという点では、辞任した佐田前行政改革担当相のケースと同じです。これだけ問題が明白なのに、赤城農相は辞任せず、安倍首相がかばい続けているということでは、松岡さんの場合と同様です。

 さて、その松岡さんの事務所費問題ですが、新たな証言が明らかになりました。農水省の山本拓副大臣が、福井県坂井市での演説会で、「たいした話ではない。赤坂の芸者に行く際に、花代は領収書がもらえないんですよ。それを事務所費で払っていたという話だった」などと発言していたのです。
 山本副大臣は後に「松岡さんとは昔から友だちで、若い頃一緒に遊んだ仲間。『政治とカネ』に絡んで参院選で自民党に逆風が吹いているので、会場の人を和ませるために冗談を言った。まともに取られたのは心外だ」とこれを打ち消したそうです。しかし、「昔から友だちで、若い頃一緒に遊んだ仲間」の証言です。本当かもしれません。

 さらに、今日の『朝日新聞』には、小さくではありますが、小泉前首相の失言も報じられています。「自衛隊、戦力でないという考えは『めくら』」という記事がそれです。
 小泉前首相は、大阪府高槻市の演説で、自衛隊が戦力に当たらないという考え方について、「戦力ない自衛隊なんて意味がない。これを戦力ないんだって(言うのは)、もう(現実を)見ない、めくらになっちゃってる」と述べました。
 その直後に、「差別用語だから、撤回しないといけない」と述べ、「現実を重視していない」と言い換えたそうです。言ってはならないことを言い、後で慌てて撤回するというのは、山本拓副大臣の場合と全く同じです。

 このようななか、すでにこのブログでも紹介した『朝日新聞』『読売新聞』に続いて、『毎日新聞』『日経新聞』共同通信の参院選情勢についての報道がありました。今日の各紙に掲載されています。
 これらの記事の基調は共通しています。与党の過半数維持は不可能というものです。
 98年の44議席の維持すら危ないようです。橋本元首相同様、安倍首相の退陣が避けられなくなるのではないでしょうか。

 『毎日新聞』は「与党、過半数厳しく 自民は1人区で苦戦」と報じています。調査は、119~21日に電話で実施されました。
 この記事の主な内容は、以下の通りです。

 自民党は29ある1人区を中心とした選挙区と比例代表で苦戦、惨敗した98年参院選の44議席を下回る可能性が強まっている。公明党は01年参院選で獲得した13議席の維持が微妙で、与党が非改選組を合わせた参院の過半数を維持するのは厳しい情勢だ。民主党は過去最高だった04年の50議席を超える勢いで、非改選を合わせて参院第1党への躍進が有力。ただ、投票先を決めていないと回答した人や無回答が選挙区で33%、比例代表で31%おり、終盤情勢は流動的だ。

 『日経新聞』も「与党過半数厳しく、民主第一党の勢い」として、次のように報じています。

 自民は選挙区、比例代表とも振るわず、改選64議席を大幅に下回る見通し。公明も改選12議席を割る可能性があり、非改選を含めた与党の過半数維持は難しい情勢だ。民主は選挙区、比例代表とも議席を大きく伸ばし、参院の第一党となる勢いだ。

 この『日経新聞』の調査で注目されるのは、安倍内閣支持率が27%に低下し、『日経新聞』調査では初めて3割を切ったことと、これまで一貫して自民党の方が高かった政党支持率で、民主党への支持が初めて自民党を上回ったことです。
 安倍内閣の支持率は、6月の前回調査より9ポイント減という大幅な低下になりました。『読売新聞』調査では上昇に転じて持ち直したように見えましたが、依然として内閣支持率は低下しているようです。
 また、政党支持率では、民主は前回から4ポイント上昇して30%となり、自民は6ポイントの低下で29%となりました。これは初めての逆転です。内閣支持率も政党支持率も、低下傾向に歯止めがかかっていません。

 共同通信社も19~21日の3日間、全国の有権者4万3000人余りを対象に電話による世論調査を実施し、「自公、過半数困難」と報じました。
 自民党は「選挙区、比例代表ともに振るわず、40議席割れもあり得る。公明党も目標の13議席確保が微妙で、自公両党は参院で非改選を含み過半数の維持が困難な状況。民主党は選挙区、比例ともに躍進し、結党以来最高の50議席台後半をうかがい参院第1党となる勢い」だそうです。
 自民党だけでなく公明党にも勢いがないこと、自民党は「40議席割れもあり得る」とされていることが注目されます。いよいよ自民党は30議席台に突入か、ということですが、そうなるためには、このような傾向が今後も維持されること、投票率が6割台を越えることが必要でしょう。

 投票日は来週の日曜日ですから、参院選の公示期間はまだ1週間あります。この間に、与党は全力で無き返しを図ろうとするでしょう。
 どのような謀略があるか、分かりません。最後まで気を抜かず、今の傾向を維持することが大切です。
 変化こそが、日本政治における新しい芽を生み出すことができるのです。今日とは違う明日を作り出すために、昨日とは違う選択を行わなければなりません。

 なお、本日、八王子市役所の本庁舎まで「期日前投票」に行ってきました。これで29日(日)に出かけることができますし、何があっても私の1票は大丈夫です。
 手続きは極めて簡単です。皆さんも、ぜひどうぞ。


7月21日(土) 安倍首相の泣きっ面に蜂2匹 [内閣]

 何をやっても上手くいかない安倍首相。支持率の低さに泣きべそをかきそうになっているときに、また、麻生・塩崎という2匹の蜂に刺されてしまったようです。
 せっかく、読売新聞の調査で、内閣支持率が前回より4.6ポイント増の34.8%になったというのに……。

 麻生外相は、富山県高岡市での講演で、日本と中国のお米の値段を比較して、「アルツハイマーでもこれくらいは分かる」と発言しました。翌日には、「例え話で不適切なものがあった。発言を撤回し、不快な念をもたれた関係者におわびする」と陳謝しています。 
 ですが、言葉は思想を表現するものです。そう言ったということは、そう考えているということになります。
 アルツハイマーの患者さんや家族を馬鹿にし、侮辱するような考え方をしているということが問題なのです。それが思わず口に出てしまったのが、今回の発言にほかなりません。

 また、共産党の機関紙『しんぶん赤旗』日曜版は、塩崎官房長官の政治団体の事務所費に疑惑があると報じました。塩崎さんが支部長を務める「自民党愛媛県第一選挙区支部」と「塩崎恭久後援会」は、松山市内の同じビルに事務所を置き、2005年分の政治資金収支報告書に事務所費計約2100万円を計上していますが、家賃や電話代などの経費は計約770万円で、残る約1330万円について「どこに消えたのか」と指摘しています。
 またもや、事務所費疑惑です。塩崎さんは「政治資金規正法にのっとって適正に処理している」と述べて疑惑を否定していますが、これもまたもや、今までの言い訳と同じ論法だといわざるを得ません。

 うんざりしてしまいます。私以上に、参院選での与党候補者の方がうんざりしているでしょう。
 「またかよ。いい加減にしてくれよ」と言いたい心境でしょう。後半戦に突入した選挙に、大きな影響が出ることは避けられません。
 そのようなことが十分に分かっていたはずなのに、またも、これまでと同じような問題が繰り返されました。ここに、第1の問題があります。

 第2の問題は、今回名前が出たのは麻生さんに塩崎さんです。麻生さんは外相で安倍後継にも名前が取りざたされている人で、塩崎さんは官房長官という安倍内閣の「番頭」の立場にあります。
 この二人は、いわば安倍政権の中枢にいる人物です。それが、暴言や事務所費疑惑によって安倍首相の足を引っ張ることになりました。
 内閣の要にあって支えるべき人物が、逆に問題を引き起こしたというわけです。安倍首相にすれば、それだけ頭の痛い問題だということになるでしょう。

 ということは、第3に、問題はこれまで以上に深刻だということです。暴言体質にしても政治とカネの問題にしても、政権中枢深くにまで浸透しているということ、安倍政権の骨がらみとなっているということが、またもや証明されてしまったからです。
 柳沢厚労相の「女性は生む機械」発言、久間防衛相の原爆投下「しょうがない」発言、そして今回の麻生外相の「アルツハイマーでもこれくらいは分かる」発言と続きました。政治とカネの問題では、佐田行革担当相、松岡農水相、その後継の赤城農水相、そして、今回の塩崎官房長官です。
 こうなってくると、安倍内閣全体の資質が問題になってくるでしょう。内閣に対する信頼は地に落ちたといわざるを得ません。

 参院選では、このような内閣に対する信頼という政治の根本問題もまた、問われることになるでしょう。もちろん、このような人々を選び、閣僚に据えた安倍首相の責任も問われなければなりません。