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4月8日(月) 与野党双方の痛み分けで唯一の勝利者は維新だった統一地方選挙前半戦 [選挙]

 統一地方選前半戦の結果が明らかになりました。道府県知事選、政令市長選、県議選、政令市議選が投開票された結果です。
 4つの選挙は性格や対立構図が異なっていますから、全体的な評価を下すのは簡単ではありません。それでも全体の傾向を概括的に言えば、与野党いずれが「勝った」というわけではなく双方の痛み分けで、唯一の勝利者は維新の会であったといえるのではないでしょうか。

 安倍政権与党の自民党は首長選挙での敗北が目立ちました。注目された大阪では府と市のダブル首長選でいずれも維新の会に敗北しています。
 保守分裂となった4つの県知事選では、福岡と島根の2つの県で自民党推薦候補が敗れました。政令市長選の相模原市では、現職を含む自民系の3候補が野党系の候補に敗北しています。
 他方、41道府県議選では24年ぶりに5割を超えた前回に続いて、総定数の過半数を維持しました。しかし、二階幹事長の地元である和歌山県議選では、定数1の御坊市選挙区で元秘書の現職が元市議の共産党新人に敗れて9選を阻止され、衝撃が走っています。

 唯一の与野党対決構図となった北海道では、野党統一候補が与党推薦候補に敗れました。かつては社会党の地盤で「民主党王国」とも言われるほど野党が強く、今回は野党5党の推薦を得たにもかかわらず、統一候補が大差を付けられて敗北しています。
 敗因は、候補者の統一と擁立が2月にずれ込んだために出足が遅れただけでなく、立憲民主党の本気度が疑われ、国民民主党との溝が生じたことにあります。今日の『毎日新聞』は「国民幹部は『立憲が早くまとめるべきだった』と不満を隠さない」と報じ、「立憲と国民の『不仲』に加え、国民と自由党の合流構想も進んでいない。今回露呈した溝を埋められなければ、参院選の野党共闘も形式的なものに終わりかねない」と指摘しています。
 この結果は、野党共闘の成立は勝利への条件整備にすぎず、共闘が実現しただけでは勝てないという当たり前の事実を示しています。参院選に向けて1人区での統一候補の擁立をできるだけ早く実現し、共闘に加わる各政党・政派、とりわけ野党第1党の立憲民主党が本気になって統一を目指さなければ野党が勝利することはできません。

 このようななかで、唯一の勝利者となったのは維新の会でした。大阪で府知事と市長を当選させ、議会勢力も増やして府議会では過半数を超え、市議会でも過半数まで2議席となっています。
 知事と市長を入れ替えてダブル選挙に持ち込むという奇策が功を奏したわけで、「劇場型」の選挙を演出して無党派層の関心を高め、若者を引き付けたように見えます。大阪の地盤沈下への有権者の危機感は大きく、維新の「都構想」などによる「改革幻想」や「大阪万博」への期待も小さくなったということでしょう。
 反対陣営からすれば、対立候補を出した自民党の本気度が不足していたのではないでしょうか。官邸の安倍首相と菅官房長官は心中では維新を応援しており、その空気を敏感に感じ取った自民党支持者も、共同通信の調査では約5割が維新に投票していました。

 こうしてみると、統一地方選挙前半戦の結果は多様な可能性と方向性を示しており、一定の傾向が明らかになったわけではありません。これに続く後半戦や衆院補選、夏の参院選がどうなるか、今後の取り組み如何にかかっているということになります。
 安倍政権への審判という点でも、「安倍一強」の陰りが示されたとはいえ中途半端なものに終わり、痛み分けということになるでしょう。与野党双方ともに課題の残った結果だったと言えます。
 自民党にとっては、保守分裂によって生じた傷跡の修復が必要になります。とりわけ、麻生副総理兼財務相の地元として注目されていた福岡県知事選での敗北は、塚田一郎前国交副大臣の「忖度辞職」とともに、麻生さんにとっては大きな政治的ダメージとなることでしょう。

 野党の側からすれば、早急に態勢を立て直して今後の選挙、とりわけ参院選に向けての準備を加速させることが必要です。最大の課題は、市民と野党との共闘を早急に実現して1人区での統一候補擁立を進め、政策合意や相互推薦、相互支援などの本気の共闘体制を確立することです。
 そうしなければ、安倍政権に打ち勝つことも安倍首相に引導を渡すこともできません。安倍政権も自民党もしぶとく、野党間での共闘ができたというだけでは打ち倒せない、楽観論を排して本気の共闘をどれだけ確立できるかが決定的に重要だということこそ、今回の統一地方選挙前半戦から学ぶべき最大の教訓ではないでしょうか。


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