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8月31日(月) 新しい政治へ結集強く [コメント]

〔以下の談話は『しんぶん赤旗』8月30日付に掲載されたものです。〕

 安倍首相は、在任した7年8カ月で日本を壊せるだけ壊し、コロナ禍の下で立て直すことができないまま行き詰まり、辞任して投げ出す結果になりました。
 安倍政権はこれまでの自民党政権の中でも〝最低・最悪〟の政権だったと思います。2度の消費税引き上げで日本経済は沈滞状況になり、アベノミクスは破綻。 安全保障問題では軍事大国化を目指し、アメリカの顔色をうかがうような従米政治を続けてきました。
 個々の政策の問題だけでなく、立憲主義、民主主義を真っ向から踏みにじる政治姿勢も深刻です。官邸支配を強め、統治機構をゆがめてきました。
 安倍首相の唯一の〝功績〟は野党共闘の発展を促進したことです。今後、荒廃してしまった日本の政治と経済、社会をどう再建していくのかは大きな課題となります。野党結集の動きをさらに強め、次の総選挙では、安倍政治に変わる新しい市民と野党の政治を実現できるような連合政権の樹立が求められます。


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8月30日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月30日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「何もかも行き詰まった安倍首相 辞意と病気の全真相」

 感染初期は東京五輪の開催や中国の習近平国家主席の来日を気にして、水際対策など初動対応は後手に回った。2月末には専門家に相談もなく突然、全国の小中高に一斉休校を要請。巨額の血税を投じたアベノマスクは大ヒンシュクを買った。緊急事態宣言で経済が冷え込むと、今度は経済一本やり。感染再拡大の真っただ中に「Go To トラベル」を前倒し実施し、第2波を大きな波にしてしまった。

 これでは、国会を開いても、野党からの追及に立ち往生するのは目に見えていた。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「これまでのむちゃくちゃなコロナ対応について、安倍首相はマトモな答弁ができなかったのでしょう。だから、野党が要求しても国会を開かないし、閉会中審査にも安倍首相は出てこなかった。ニッチモサッチモいかなくなって、臨時国会が開かれる前に逃げたというのが、辞意表明の最大の理由ではないのでしょうか」

 28日の会見で、安倍は「(コロナ対応について)実施すべき対応策をとりまとめることができた。(辞任は)このタイミングしかないと判断いたしました」と区切りをつけたかのような言いぶりだったが、何一つ有効なコロナ対策を打てなかったのが実態だ。PCRの検査数もG7で最下位という体たらくである。



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8月29日(土) 安倍首相の辞任は次のまともな政権樹立に向けての始まりにすぎない [首相]

 驚いた方も多かったと思います。昨日5時からの記者会見で、安倍首相が辞任を表明したからです。
 私は驚きませんでした。私のこのブログを読んでいた方も、おそらく驚いた方は少なかったのではないでしょうか。
 昨日の2時を過ぎたころに、安倍首相が辞意を固めたという速報がテレビで流れていました。それを見て私は、「やっぱりな」と思いました。

 8月22日の午後に浦和のさいたま共済会館で開かれた「埼玉オール1区連絡会」主催の講演会で、私は「首相在任連続最長記録を更新する8月24日以降、安倍首相はいつ辞任してもおかしくない」と話しました。安倍首相は、歯を食いしばってこの日を待っていたのではないでしょうか。
 私は、8月26日のブログ「国民のためにも本人のためにも安倍首相は一日も早く首相の座を去るべきだ」でも、安倍首相の健康問題について「隠すことができないほどの問題が生じているということでしょう。安倍首相は自らの口で直接、健康状態について説明し、国民の疑問や不安に答えるべきです」と書きました。「コロナ禍の下で苦しむ国民を救うためにも、ご本人の健康維持のためにも、安倍首相は一日も早く辞任し、首相の座を去るべきでしょう」とも進言していました。
 ですから、28日に記者会見を行い、コロナ対策についてだけでなく自らの健康問題についても説明すると報道された時点で、「ひょっとすると辞任を表明するかもしれない」と私は予想していました。もし驚いたとすれば、この予想がものの見事に的中したことです。

 安倍首相の辞任表明に接して、私は一面では喜ぶとともに、同時に残念な気持ちにもなりました。戦後最悪にして最低の政権が終幕を迎えることは日本の国家と国民のために喜ばしいことだと思いますが、しかし、それが第1次政権の終幕と同じ本人の健康問題によるものだという点に割りけれない思いが残るからです。
 これほど国民を足蹴にし、「隠す、誤魔化す、嘘をつく」手法を多用して多くの反発と批判を浴びた政権はありませんでした。それにも関わらず、憲政史上で通算在任期間を最長とし、戦後の連続での在任期間が最も長いという記録を歴史に刻ませてしまいました。
 後世の人々は、こんなひどい政権がどうして最長記録を達成できたのかと不思議に思うことでしょう。原因は色々ありますが、これほどひどい無能な政権を永らえさせてきたのは同時代に生きた私たちの責任であり、その不名誉な事実は拭い去るとのできない「負の遺産」ですから、できれば私たちの手でもっと早く政権の座から引きずり下ろしたかったと思います。

 病気のために首相の座を去る安倍首相には、ゆっくりと休んで持病である潰瘍性大腸炎の治療に専念していただきたいと思います。しかし、重い病気にかかったのは安倍首相だけではなく、日本という国の政治・経済・社会も同様です。
 この国の政治と経済、社会は、新型コロナウイルスの感染が広がる前から安倍首相の無能と無策のために多くの持病を抱え重篤な状態に追い込まれ、満身創痍となっていました。経済と景気、外交と安全保障、雇用と労働、生活と社会保障、立憲主義と民主主義の全ての面で荒廃が広がり、死屍累々ではありませんか。
 安倍首相は日本を壊せるだけ壊し、コロナ禍の下でそれを立て直すことができなくなったため、逃げるようにして病気を理由に政権を投げ出したのではないでしょうか。もし、国家・国民に対する責任を多少とも自覚するのであれば、ここまで事態が悪化する前にとっとと辞任するべきだったでしょう。

 日本人は辞める人に対しては同情的で、まして健康問題で辞任する人の責任追及を手控える傾向があります、しかし、安倍首相に対しては、そのような心遣いは無用にするべきです。
 安倍首相の国民無視の誤った政策と政権私物化のためにどれだけの人が苦しんできたのか。それがようやく終わりになることを喜ぶだけでなく、それに対する責任追求と糾弾をこれから本格的に強めなければなりません。
 安倍辞任はぶっ壊されてしまったこの国を立て直す始まりにすぎないのです。後継自公政権の延命を許さず、安倍辞任を市民と野党の共闘によるまともな連合政権の樹立にむすびつけられるかどうかが、次の課題になります。

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8月26日(水) 国民のためにも本人のためにも安倍首相は一日も早く首相の座を去るべきだ [首相]

 安倍首相の連続在任日数が8月24日で2799日となり、大叔父の佐藤栄作首相を越えて歴代最長となりました。しかし、お祝いムードはなく、祝賀行事なども行われていません。
 「政権、長きがゆえに尊からず」を絵に描いたような「負のレガシー」ばかりの実績ですから、とても「祝う」ことなどできないということでしょう。それに、健康不安が表面化し、求心力も急速に低下しつつあります。

 安倍首相の健康に問題があるということは明らかです。問題がなければ、追加の検診や治療などは必要なかったでしょう。
 健康問題を理由に第1次政権を放り出した実績のある安倍首相です。定期の人間ドックでの検診だけでなく7時間半も追加の検査を行い、さらにその1週間後に検査と治療を行えば、直ちに健康不安説がもちあがることは分かっていたはずです。
 それでもそうせざるを得なかったということは、隠すことができないほどの問題が生じているということでしょう。安倍首相は自らの口で直接、健康状態について説明し、国民の疑問や不安に答えるべきです。

 自民党の甘利明税制調査会長などの「側近」は、「ちょっと休んでもらいたい」と言っていますが、「ちょっと」ではなく、とっとと首相も議員も辞任して「ずっと休んでもらいたい」と思います。それが本人のためであり、国家・国民のためでもあります。
 健康上の不安を抱えて、この難局を乗り越えることなど到底できるはずがないのですから。それでなくとも、新型コロナ対策では迷走し続け国民生活を混乱させているのですから。
 それに、歴代最長の政権と言っても、戦争法(平和・安保法制)の成立など憲法を足蹴にした暴走を続け、国政を私物化して民主主義と立憲主義を踏みにじり、史上最悪の強権政治を続けてきた結果ではありませんか。経済と外交を「看板」にしていましたが、コロナ禍の下で戦後最悪の不況に見舞われ、拉致問題は一歩も進まず、北方領土問題ではプーチン露大統領にうまく利用されただけに終わりました。

 安倍政権ほど、スキャンダルにまみれ薄汚れた政権はありません。森友・加計、桜を見る会の問題など、疑惑の中心にいるのが安倍首相夫妻で、公文書の改ざん、隠蔽、廃棄が続き、首相の嘘に合わせて周囲の側近や官僚が嘘をつき、追及逃れのために検察庁人事にまで介入しようとするなど、歴代最悪の極めて特異な政権です。
 昨日から、公職選挙法違反事件で前法相の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員の公判が始まりました。ここでも、選挙資金として渡された1憶5000万円もの大金をめぐって安倍首相の関与が疑われています。
 第2次安倍政権では大臣の辞任が相次ぎましたが、安倍首相は「任命責任はある」と言うだけで、きちんとした説明を行わず責任も取っていません。つい最近もカジノ担当の内閣府副大臣だった秋元司衆院議員が裁判の証人を買収しようとした疑いで3度目となる逮捕・起訴になりましたが、安倍首相は口をつぐんだままです。

 安倍政権の黄昏が近づいてきたようです。沈む「夕陽」の代わりに、立憲民主党と国民民主党、無所属議員のグループなどによる新党結成の動きが急速に具体化し、新しい「太陽」が顔を出し始めました。
 新党は旧民主党の再来ではなく共闘志向のリベラル新党であり、政策的にも新自由主義からの脱却や原発ゼロをめざすことなどを掲げています。市民と野党の共闘に向けて新しい積極的な条件が生まれました。
 第2次安倍政権は「アベノミクス」で始まり、「アベノマスク」で終わろうとしています。コロナ禍の下で苦しむ国民を救うためにも、ご本人の健康維持のためにも、安倍首相は一日も早く辞任し、首相の座を去るべきでしょう。

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8月21日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月21日付に掲載されたものです。〕

*記事「GoTo開始1カ月の惨状 累計感染者3.2万人超えの落とし前は」

 4~5月の第1波を巡り、厚労省は6月末に公表した分析結果で、重症患者のピークは感染確認ピークのおよそ1カ月後、と結論付けていた。ということは、少なくとも来月7日に向けて重症者は増え続けていくことになる。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「『Go To 第2波』が現実になってしまった。地方の感染者や感染経路不明者も増え、あらゆる面で事態が悪化しています。政府がもくろむ経済活性化につながらず、中小事業者のプラスにもなっていない。笛吹けど踊らず、です。『Go To』が意図していた効果は表れず、感染拡大のマイナスばかりが大きくなっているのですから、いったん中止にするべきです。そうでなければ、あぶはち取らずになりますよ」

 体調不安説がくすぶる中、3日間の夏休みを終えて19日午後に公務復帰した安倍首相は「再び仕事に復帰して頑張っていきたいと思う」とか言っていたが、どうオトシマエをつけるつもりなのか。

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8月20日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月20日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「安倍首相よ 何もしていないのに「疲れる」ならもう辞めろ」

 ほぼ2週間おきに開いた記者会見で“やってる感”をアピールするも、その実態は事前質問通告の原稿読み。事業規模200兆円超の補正予算を「空前絶後の規模」「世界最大の対策」と自画自賛し、「日本モデル」で感染を抑え込んだとドヤ顔だったのもつかの間、7月に再び感染拡大に転じた。

 ところが安倍は、6月17日の国会閉会以降、自ら丁寧に説明することなく、コロナ対策を西村担当相と専門家分科会に任せっきり。感染拡大防止や時短・休業する飲食店への協力金など、具体的な対策は都道府県知事に丸投げという醜態なのである。

 甘利や麻生の安倍擁護発言に納得する国民は皆無だろう。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)も呆れている。

 「安倍首相はそんなに働いていないでしょう。それどころか、『臨時国会を開かない』『閉会中審査に出ない』『記者会見しない』の『3ない』状態なのに『休む』なんて、首相としての責任をどう考えているのか、という話ですよ。やるべきことをやらず、『健康問題』を“言い訳”に使うのは人として卑怯。国会議員としては無責任。総理大臣としては資質がありません。今は命がけで働いてもらわなければ、誤った政策によって何十万人が被害を受ける危機なのです。自覚がないなら、首相を交代してもらいたい」

 何もしていないのに「疲れた」なら、もう辞めた方がいい、ということだ。


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8月19日(水) ただちに臨時国会召集を [コメント]

〔以下の談話は『しんぶん赤旗』8月18日付に掲載されたものです。〕

 〝逃げ〟は通用しない

 通常国会が閉会(6月17日)してから2カ月が過ぎました。新型コロナウイルス感染症が広がるなか、安倍政権は、憲法53条に基づいた野党の臨時国会召集要求も無視して、10月末以降まで臨時国会を開かない構えです。問題が山積みなのに国会を開かなくていいのか。五十嵐仁・法政大学名誉教授に聞きました。(佐藤高志)

 政府のコロナ対応には今、多くの国民が疑問を持っています。コロナの感染が拡大しているのに、観光支援策「Go To キャンペーン」で旅行を促す一方、PCR検査の拡大・強化や感染予防は自治体や個人に責任転嫁しようとしている。他方で、お盆休みは県をまたいでの移動を控えるよう促す自治体もある。まるで〝アクセルを踏みながらブレーキをかける〟状態に混乱が広がっています。

 役割果たすとき

 安倍政権が国会を開かず、側近の声に頼ってコロナ対応を行ってきたツケが明確にあらわれています。国会で問題点をきちんと明らかにしたうえで政策を転換しなければ、ますます事態は悪化していくことになりかねません。国会を開いて与野党の衆知を結集することが、まともなコロナ対策を生み出す最低条件だと思います。
 与党は、国会を開かない理由として審議すべき法案や予算案がないことを挙げていますが、理由になりません。国会には、法律を制定する立法機能だけでなく、行政のあり方について議論し、ただす行政監視機能があります。
 さらに、予算についても国会審議にもとづいて執行するというのが財政民主主義のあり方です。第2次補正予算で10兆円もの予備費を計上していますが、国会審議を避けるために、あらかじめ多額の予備費を計上しておくというやり方自体が間違っています。その使途についても、きちんと国会でチェックしなければなりません。
 しかも、コロナ対策としても、損害を補填する〝補償〟付きの〝自粛要請〟にすべきだという声が、生きるか死ぬかの瀬戸際に追い込まれた中小業者や感染症対策の専門家からもあがっています。国会で議論して、法律や対策をもっと適切なものに変えていくことも必要だと思います。

 〝国会開け〟72%

 安倍晋三首相は、国会を開けば「森友」「加計」「桜」「河井夫妻」の問題など、自身にかかわる様々な疑惑が追及されるということを恐れ逃げているのかもしれません。しかし、内閣支持率が上がるか下がるかよりも、今は国民の命と生活が守られるかどうかが問われているのです。政権より国民の命の方が大切だということが分からないのでしょうか。
 しかも、臨時国会召集要求に政府は応じなければならない法的義務があります。那覇地裁は今年6月、憲法53条により臨時国会の召集を求めた場合、内閣が国会を召集する憲法上の義務を負い、「(召集しなければ)違憲と評価される余地はある」との判決を出しました。
 安倍政権はこれまで憲法53条に基づく臨時国会召集を無視し続けてきましたが状況は変わっています。自らの疑惑逃れのために国会を開かないというのはもう通用しません。
 NHKの世論調査では、72%の人が臨時国会を開くべきだと答えています。安倍首相は、ただちに国会を開いて英知を結集すべきです。


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8月15日(土) 東京都知事選の結果と今後 [論攷]

〔以下の論攷は『東京革新懇ニュース』第454号(7月・8月合併号)、8月5日付に掲載されたものです。〕

 東京都知事選挙に市民と野党の共同候補として宇都宮健児弁護士が立候補し、約84万票を獲得しましたが及びませんでした。候補者が決まらず「不戦敗」の恐れさえあったなか、緊急事態宣言の解除を待って出馬表明した宇都宮さんの決意と勇気に敬意を表したいと思います。

 現職有利で多くの困難

 今回の都知事選で当選したのは現職の小池百合子候補です。366万票という歴代2位の得票数での圧勝でした。新型コロナウイルスが猛威を振るう下、現職有利の異例の選挙戦となったのが小池圧勝の最大の要因でした。
 小池都知事はコロナ対策を口実にテレビスポットや記者会見で名前と顔の売り込みを図るなど、告示の前から選挙運動を始めていたようなものです。告示後は一転して姿を隠し、コロナ対策を理由に街頭演説をやらず、テレビ討論会にも応じませんでした。
 都政をめぐる論戦は低調で、築地市場問題や「7つのゼロ」公約など一期目の都政運営についての検証はほとんどなされませんでした。緊急事態宣言や東京アラートなどの下で、「コロナと戦う都知事」というイメージばかりが広まりました。不安感を高めた都民は安定志向を強め、新人より現職に都政をゆだね、変化より継続を選択したものと思われます。
 前回対立候補を立てた自民党と公明党は「自主投票」でしたが、実際には小池さんの応援に回りました。逆に前回統一候補を擁立した野党側は分裂し、「小池批判」の票が割れてしまいました。コロナ禍の下で宇都宮候補は立候補表明が遅れ、投票日まで約1ヵ月という短い運動期間で、大規模な屋内集会が中止されたり街頭演説の場所と時間を広く告知できなかったり、手足を縛られたような選挙を強いられました。

 跳ね返した力は市民と野党の共闘

 以上のように、現職有利で多くの困難があったにもかかわらず、宇都宮さんはそれを跳ね返して次点となりました。このような事情を考えれば善戦健闘したと評価できます。その最大の要因は市民と野党の共闘の力でした。これまでの共同の上にさらなる広がりと深化をもたらし、地域での共闘をバージョンアップすることで質的な発展を生み出したのです。
 政党の支援では立憲民主・共産・社民・新社会・緑の党だけでなく小沢一郎衆院議員、原口一博国対委員長、平野博文幹事長などの国民民主党の幹部も加わり、野田佳彦元総理や岡田克也元副総理、無所属の中村喜四郎さんまで応援や激励に駆け付けました。野党5党派の国対委員長による「勝手連」も結成されています。
 都レベルでも、昨年暮れから立憲・国民・共産・社民・新社会・緑の党などの代表者による会議が毎月開かれ、共闘に向けての相談がなされました。会議に出席していた国民民主党は最終的には「自主投票」になりましたが、革新都政をつくる会による2回の要請活動に対応し、6月3日の革新都政をつくる会呼びかけ人会議の集会にも岸本周平選挙対策委員長が出席してあいさつしています。
 地域では草の根レベルで共闘が成立し、25の全ての小選挙区で市民と野党の市民選対が立ち上がりました。政党系列での上意下達ではなく、直接、宇都宮選対と連絡を取って自主的にビラの配布や駅頭でのスタンディングなどが行われています。これらはすべて、来るべき国政選挙での地域レベルでの共闘態勢を準備する意味を持ったと思います。
 政策面でも共同の幅が広がりました。立憲民主党の枝野代表は政権構想私案を発表し、自己責任論の問題点を指摘しながら新自由主義との決別を表明しています。都立・公社病院の独立行政法人化についても、立憲民主党の都議が賛成から反対に転じました。
 市民と野党との共闘という点で今回の都知事選挙は今後に向けての「予行演習」となり、大きな「財産」を残しました。これを次の総選挙や来年の都議選に生かすことが、これからの課題になります。そのために、革新懇も絆を深めて大いに力を尽くしたいものです。

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8月13日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月13日付に掲載されたものです。〕

*記事「「重症者数少ない」の落とし穴 4月緊急事態宣言前より深刻」

 6月末、1日に100人程度だった全国の感染者は7月になって急増。200人、300人、500人、1000人と増え続け、8月7日には1605人と過去最多を記録している。今や1000人超は珍しくなくなっている。

 この7月以降の急増が重症者数に反映されるのは、8月以降だ。実際、直近の1週間を見ると、88人(4日)から162人(10日)へと倍近くになっている。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「数字を都合よく解釈したり、不都合な事実から目をそらすのは安倍政権の特徴ですが、コロナ対応でも同じことをやっている。経済優先で緊急事態宣言は再び出したくないし、『Go To トラベル』もこのまま続けたいという都合ありきの対応です。コロナの対応を論理的、科学的に説明できないから、国会や記者会見から逃げているのでしょう。しかし、重症者が増えるのは、国民の命に直結する問題です。これまでの調子でやってもらっては困ります」

 しわ寄せは国民に回ってくる。

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8月10日(月) 東京都知事選を振り返って―来るべき総選挙に向けて市民と野党の共闘が大きく発展(その2) [コメント]

〔以下の論攷は「九条の会東京連絡会」が発行する機関誌『生きいき憲法』No.68、2020年7月28日付に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 山本太郎氏立候補で票が割れた野党側

 第2の不利な条件は、一つにまとまった与党側とは逆に、前回は鳥越俊太郎候補で一本化していた野党側が分裂し、「小池批判」の票が割れてしまったことです。とりわけ野党共闘を断って「後出しジャンケン」のような形で突然立候補した山本太郎候補の行動には大きな問題がありました。
 宇都宮候補が得た得票は、前回の野党統一候補だった鳥越候補の134万票から50万票の減になります。この分は山本候補の獲得した66万票に含まれ、前回の統一候補が獲得した票は宇都宮さんと山本さんに分かれてしまったのです。市民と野党が固く団結して手を握らなければ勝利の展望を切りひらけないということが、今回の都知事選での最大の教訓です。

 封じられた「サンダース型」選挙運動の可能性

 そして、第3に、新型コロナウイルスの感染拡大によって選挙活動が大きく制約され、手足を縛られたような形で闘わざるを得なかったことです。「密閉」や「密集」を避けるために大規模な屋内集会は開けず、街頭演説の時間や場所も広く告知できませんでした。
 70代でリベラル左派の宇都宮候補は「日本のサンダース」と呼ばれています。それにふさわしく、小池候補に次いで10代・20代の若者層の支持が多く、70代の候補者と若者との連携という「サンダース型」の選挙運動の可能性が生まれました。これを生かせず、ネットを通じた取り組みに加えて街頭演説に若者が殺到して「ブーム」を巻き起こすことができなかったのはかえすがえすも残念です。

3、跳ね返したのは共闘の力

 市民と野党の共闘が大きく発展

 このような不利な条件があったにもかかわらず、宇都宮候補はそれを跳ね返して84万票を獲得し善戦健闘しました。その力を生みだしたのは市民と野党の共闘によるものです。それは多くの点でこれまでにない発展を示しました。
 第1に、中央段階での共闘の進展です。立憲民主・共産・社民・新社会・緑の党の支援だけでなく小沢一郎さんや原口一博国対委員長、平野博文幹事長などの国民民主党の幹部も支援に加わり、社会保障を立て直す国民会議の野田佳彦元総理や岡田克也元副総理が応援演説し、無所属の中村喜四郎さんまで激励に駆け付けています。野党5党派の国対委員長を共同世話人とする「宇都宮けんじ議員勝手連」も結成されました。
 第2に、都レベルでの共闘の動きです。昨年暮れから立憲・国民・共産・社民・新社会・緑の党などの代表者による会議が毎月開かれ、共闘に向けての相談がなされていたのです。国民民主党は「連合東京」との関係もあって最終的には「自主投票」になりましたが、この会議には出席していました。革新都政をつくる会による2回の要請活動にも対応し、6月3日の革新都政をつくる会呼びかけ人会議の集会にも岸本周平選挙対策委員長が出席してあいさつしています。欠席した山内れい子生活者ネットワーク共同代表も参加予定でした。

 来るべき総選挙に向けての「予行演習」

 第3に、東京の衆院小選挙区での草の根レベルでの共闘の成立です。25の全ての小選挙区で市民と野党の市民選対が立ち上がり、自主的に選挙活動に取り組みました。政党系列での上意下達ではなく、直接、宇都宮選対と連絡を取って「勝手に(自主的に)」ビラの配布や駅頭でのスタンディングなどが行われました。これらはすべて、来るべき国政選挙での地域レベルでの共闘態勢を準備する意味を持ったのではないでしょうか。
 これらの運動上の発展に加えて、第4に政策面での共闘の広がりも注目されます。コロナ禍の下で、立憲民主党の枝野代表は政権構想私案を発表し、国会質疑でも自己責任論の問題点を指摘しながら政治のあり方として真っ向から新自由主義にNOを突きつけました。当初、都立・公社病院の独立行政法人化に賛成していた立憲民主党の都議が反対に転ずるという変化も生まれています。
 市民と野党との共闘という点で今回の都知事選挙は来るべき総選挙に向けての「予行演習」としての役割を果たし、共闘体制の確立に向けての準備作業として大きな意味を持ったと思います。この点でも「活路は共闘にあり」という教訓を、今一度、しっかりと噛みしめることが必要なのではないでしょうか。


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