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10月11日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月11日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:時代遅れのイベントに国民負担増の無間地獄 岸田首相よ、減税の前に大阪万博の中止だろう

■減税は法人と一部の特権階級だけ

 岸田は今般の経済対策について、「税制、給付、社会保障におけるさまざまな軽減措置、インフラ投資、その他あらゆる手法を動員して思い切った対策にしたい」と言っているが、これまでブチ上げてきた「新しい資本主義」は新しくなく、「異次元の少子化対策」がちっとも異次元じゃなかったことを考えれば、「思い切った対策」も推して知るべしというものだ。

 「減税といっても、設備投資減税や賃上げ税制など法人向けのメニューか、ストックオプション減税のような一部の特権階級が対象のものばかりで、一般国民にはほとんど関係ない。『増税メガネ』、さらには『増税クソメガネ』という不名誉なあだ名を返上したくて、減税を強調しているのでしょうが、広く国民全体に恩恵がある消費税減税は決してやろうとしない時点で、岸田首相が言う『減税』はマヤカシなのです。それは、反対の声が多いインボイス制度を強行して消費税の税収を増やそうとしていることを見ても分かる。本気で国民負担を減らす気があるのなら、減税アピールの前に巨額の税金を投入する大阪万博の中止や縮小を決めるべきではないでしょうか」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 準備の大幅な遅れが問題になっている2025年大阪・関西万博の会場建設費は、18年当初の見積額が1250億円だったが、20年時点で1850億円に上振れ。建築資材の高騰や工事の遅れでさらに膨れ上がる見込みだ。この建設費は国、大阪府市、経済界が3分の1ずつ負担することになっている。つまり、3分の2が税金で賄われるのだ。建設費が上振れすれば、その分、国民負担も増える。

 「万博などという時代遅れのイベントにどれだけ税金を積み増すのか。これだけ遅れが出ているのに無理して開催したところで、五輪も万博も利権の祭典でしかないことに国民は気づいている。得をするのは一部のステークホルダーだけで、多くの国民にとっては負担増になるだけなのです。岸田政権は一事が万事で、支持率目当てで一部の支持層に税金をバラまき、結果として国民負担を増やしている。20兆円規模の補正予算を組んでせっせと法人減税をするなどという話は典型です。20兆円は国債発行で賄うのでしょうが、それは将来的に国民負担になるだけなのです。1兆円減税するから後で20兆円払えと言っているようなもので、デタラメもいいところ。岸田政権の『減税』にダマされてはいけません」(五十嵐仁氏=前出)

 岸田は8月末の万博関係者会議の席上、「内閣総理大臣として政府の先頭に立って取り組む」とか言っていたが、それだけの権限があるのなら、先頭に立って万博中止を決めたらどうなのか。マヤカシの減税アピールより、よほど支持率アップに効果があるのではないか。

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