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10月14日(土) 暴走を続ける岸田大軍拡政権に引導を渡そう(その2) [論攷]

〔以下の論攷は『東京革新懇ニュース』第486号、10月5日付に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 時代逆行の人権と民主主義の蹂躙

 これほど恥ずかしいことが、これまであったでしょうか。5月に広島で開かれた先進国首脳会議(G7)の直前、日本以外の6か国とEUの駐日大使から性的少数者(LGBTQ)の人権を守るための法整備を促す書簡が届けられたからです。通常国会では理解増進法が成立しましたが、「不当な差別はあってはならない」などと修正され、「差別増進法」に歪められてしまいました。
 7月には国連の人権理事会作業部会によって調査団が派遣され、ジャニーズ事務所をめぐる少年タレントに対する性加害が取り上げられて注目されました。しかし、調査内容はそれにとどまらず、女性、性的少数者、障害者、アイヌなどの先住民族、被差別部落、労働組合、難民や技能実習生など200項目に及んでいます。これだけ幅広い分野で、人権侵害の疑いがあるというわけです。
 通常国会で成立した改定難民認定法も難民の人権を侵害する内容でした。ジェンダー格差の点でも日本は146か国中125位で、政治分野では138位にまで低下しています。平等実現には政治の意思が重要ですが、その分野でこそ女性の地位が決定的に低いという点に大きな問題があります。
 報道の自由度でも日本は26位でG7参加国では最低です。テレビ放送については放送法の解釈変更によってメディア支配を強めようとしていた総務省の内部文書が明らかになりましたが、高市元総務相はうやむやにしてしまいました。マスメディアの権力への監視や政権への批判力も弱体化し失われる一方です。
 岸田首相は折に触れて「法の支配」や「自由で開かれたインド太平洋」「先進国との価値観の共有」などと繰り返しています。しかし、法の土台である憲法をないがしろにし、少数者の人権や報道の自由を踏みにじっているのが実態です。他の先進国と価値観を共有せず、時代の流れに逆行しているのが岸田政権の姿なのです。
 今年の9月1日は関東大震災から100年で朝鮮人などに対する虐殺事件からも100年を迎えました。小池百合子東京都知事は今年も虐殺犠牲者に対する追悼文の送付を見送り、松野官房長官は記録が「政府内に見当たらない」と発言しています。歴史の事実を直視せず、加害の歴史への責任を回避しようとする点でも、他の先進国とは異質で時代逆行の恥ずかしい姿だというしかありません。

 岩手と立川の教訓に学ぼう

 日本は政治でも経済・社会の面でも、先進国ではなくなりつつあります。政治改革・行財政改革・構造改革など、あらゆる改革が失敗続きだったからです。これからも、平和で豊かな希望の持てる国づくりは期待できません。岸田政権の下で、政治を変えなければ生きてゆけないギリギリの崖っぷちへと、私たちは追い込まれてしまいました。
 政治を変えてこのような苦境を打開する唯一の道は、市民と野党の共闘にしかありません。それはいかに困難でも、そこにしか出口がないのであれば、それを目指すしかないのです。最近行われた岩手県知事選と立川市長選は、このような教訓と展望を示しています。
 岩手県知事選で当選した達増拓也知事は、立憲民主を基礎に国民民主や共産、社民などの県民連合が大きな力になったと述べています。立川市長選でも元立憲民主党都議の酒井候補が約1600票差で当選しました。その結果、世田谷・中野・杉並・武蔵野・小平・多摩・立川など東京西部で野党共闘の非自民首長が誕生しています。
 今年の秋には岸田政権を追い込んで解散・総選挙を勝ち取ることが必要です。来年7月には東京都知事選もあります。これらを見据えた市民と野党の共闘を草の根から再構築するために、地域や職場での共同と連携に向けての努力が欠かせません。
 立憲民主の支持団体である連合には、イデオロギー的な偏見を捨てて共闘を認め、政治や選挙については立憲民主の自主性に任せて余計な口出しをしないという節度ある対応を期待したいと思います。働く人々の利益実現や働くルールの確立を目指すという点では、全労連や共産党との大きな違いはないのですから。
 「新しい戦前」が懸念されている昨今ですが、戦前にも「反資本主義、反共産主義、反ファシズム」という「三反主義」を掲げて共産党を排除し、大政翼賛会に合流して侵略戦争に協力した無産政党がありました。社会大衆党です。立憲民主や国民民主にはこう言いたいと思います。このような戦前の過ちを、二度と繰り返すなと。

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