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10月20日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月20日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:有権者はちゃんと見抜いている「増税メガネ」の「国民に還元」という大ボラ

 物価高は食品やエネルギーだけじゃない。交通費などのサービス価格を含め、ありとあらゆるものが値上がりし、庶民があえいでいるのに、政治はこんなドタバタ劇をやっている嘆かわしさ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「見え透いたアピールで茶番です。『与党の調整を乗り越えて、首相がイニシアチブを取って減税に踏み込んだ』というシナリオなのでしょう。岸田さんは『増税クソメガネ』という悪名をかなり気にしているようですからね。しかし、今ごろイニシアチブを取ったとしても周回遅れ。物価高に苦しむ国民のことを思えば、夏には対策を打っていていいはずです」

 結論を言えば、「減税」は世論を振り向かせる“マジックワード”。岸田がこの言葉にこだわるのは、解散戦略も睨んで政権浮揚や支持率回復につなげられると考えているからだ。つまり、政権維持や保身が目的で、国民生活のことなどこれっぽっちも頭にないからなのだ。

 前出の五十嵐仁氏が言及した通りで、岸田が「税収増を国民に適切に還元する」と言い出したのは、「メガネベストドレッサー賞」政界部門に輝いた自分が「増税メガネ」と揶揄されるのに耐えられなかったからだろう。「レーシックでもすればいいのか?」と腹を立てていたとも報じられた。要は「減税」はプライド回復のためであり、人気取りのため。支持率対策から始まった話なのだ。

 「骨太の方針」の“目玉”として掲げた「少子化対策」の財源はどうなったのか。これだって、何らかの増税や事実上の増税である社会保険料の負担増が有力とされる。「大増税政権」が「増税メガネ」の汚名返上のために、国民をごまかし、「減税」をもてあそぶのはやめて欲しい。

 「たとえ今回、何らかの所得減税が決まったとしても、その減税分は後で丸々増税分となって払わされることになる。朝三暮四ならぬ、『朝二暮五』で、将来の増税分の方が規模も大きくなって、国民の背中にのしかかってくるのです。減税の甘い言葉に騙されてはいけません。岸田首相は『今だけ、ここだけ、自分だけ』の人。当面を乗り切るだけの弥縫策を連発させる中身のない空洞政権です」(五十嵐仁氏=前出)


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