SSブログ
解散・総選挙 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

11月26日(水) 真の争点は10%への増税の延期ではなく増税そのものの是非 [解散・総選挙]

 「どうしてこんな時に解散するのか」というモヤモヤ感が選挙戦を覆い、安倍首相に対するボディーブローとなっているようです。日曜日のNHKの討論番組での稲田政調会長は目も当てられない醜態ぶりで、野党の得票増にかなり貢献したことでしょう。
 今回の解散について、当初、安倍首相は「消費税10%の18ヵ月先送りについて国民の審判を仰ぐ」ためだと説明していました。しかし、増税の先送りについては野党も賛成していますから、争点にはなりません。

 戸惑った安倍首相は、解散のネーミングに迷ったあげく「アベノミクス解散」だと口走りました。これまで続けてきたアベノミクスをこれからも続けていっても良いのか、国民の判断を求めたいということのようです。
 今までやってきたことをやめたいというのであれば判断を仰ぐというのも分かりますが、今まで通りやりたいというのであれば、どうしてわざわざ解散などしたのでしょうか。選挙で負ければ続けられなくなってしまうというのに……。
 「アベノミクスは胸突き八丁にさしかかっている」とも言っています。そんな大事な時期に、どうして解散して政治空白を作ったのでしょうか。
 いずれにしても、理解不能です。説明になっていないというしかありません。

 消費増税についても、「消費税の増税を延期する」と言って国民の支持を求め、勝てば「10%への増税は信任された」として1年半後には「確実に」増税するというわけです。真に問われているのは増税の是非そのものであるにもかかわらず、増税の延期を前面に出して票をかすめ取ろうという作戦なのです。
 このような詐術でだませると考えているとしたら、国民をなめていると言うしかないでしょう。「あまり国民を馬鹿にするな」と言いたくなります。
 それに、1年半後でも景気が十分に回復しなければ10%への消費増税は経済に大打撃を与え、十分に回復していれば税収が増えて増税は必要なくなるでしょう。どっちにしても、今のうちから「確実に増税」などと言うのは経済を知らない馬鹿者の妄言です。

 アベノミクスは貧しいものから富を吸い上げ、金持ちだけを富ませて格差を拡大する「アホノミス」だというのが私の判断です。その立場からすれば、今回の「アベノミクス解散」は「アホノミス解散」だということになります。
 アベノミクスを続けても良いというのは株でもうけた富裕層だけです。株とは縁のない庶民にとって、これは自滅へと至る道にほかなりません。
 今度の総選挙で自民党に投票することは、自分で自分の首を絞めるようなものです。自民党を大敗させてアベノミクスに「ノー」を突きつけ、国民をなめきっている安倍首相に「ギャフン」と言わせなければなりません。

 それが「アホノミス」を正す最善の道であり、消費税の10%への増税を阻んで国民の生活と命を守る近道なのです。そのためには、国民生活を破たんさせるアベノミクスの道を続けてもらっては困るという声を、今度の総選挙ではっきりと上げることが必要になっています。

nice!(0)  トラックバック(0) 

11月25日(火) 「選挙革命」に向けての4つの提案 [解散・総選挙]

 支持する先を失って空中に浮遊しているかのような票が約2000万も存在している。これが今回の総選挙の最大の特徴になっています。

 その票を、「最後の選択肢」となった共産党がいかにして引き寄せられるのか。そのための「秘策」はあるのか。これが、いま問われています。
 そのための「秘策」はありまぁ~す。さしあたり、「選挙革命」によって事態を打開するための4つの提案をさせていただきました。
 それが昨日のブログで書いた「第1に敵を孤立させて攻撃を集中すること、第2に『共同』を広げて味方を増やすこと、第3にこれまでの成功体験に学び、支持の訴え方に工夫を凝らすこと、第4にインターネットやSNSなどのIT手段を最大限に活用すること」の4つです。以下、もう少し詳しく説明させていただきます。

 
 第1に、敵を孤立させて攻撃を集中するという点では、安倍首相をはじめとする極右勢力に批判や攻撃を集中し、自民党支持者や保守的無党派層のうちの良心的な保守層と安倍首相およびその「お友達」の極右勢力とを分断することが必要です。今回の選挙では、誰が極右勢力であるかを有権者に明示して、ここに打撃を集中しなければなりません。
 政党で言えば次世代の党が極右勢力であり、候補者で言えば、日本会議国会議員懇談会、神道政治連盟国会議員懇談会、みんなで靖国神社を参拝する国会議員の会などの参加者が極右ですから、その落選を目指すことです。もちろん、在特会やネオナチ団体との関係が問題となっていた高市早苗、山谷えり子の両大臣や稲田朋美自民党政調会長などは、この機会に落選させて政界から追放する必要があります。
 このような形で批判を集中することによって、現在の自民党が過去の自民党とは違っていること、自由や民主主義、人権という「価値観を共有」できない、国際的にも異常なグループに指導されている危険な政党に変質してしまっていることを明らかにしなければなりません。それによって極右的な政党や候補者を苦戦させることができれば、たとえこれらの候補者が当選したとしても、これまでのような形で堂々と極右的な主張を行ったり、そのような団体と付き合ったりすることはできなくなるでしょう。

 第2に「共同」を広げて味方を増やすという点では、沖縄の経験に学ぶ必要があります。沖縄では、県知事選で良心的な保守層と共産党などの革新勢力とが新基地建設阻止の一点で共同し、「オール沖縄」ともいえるような幅広い共闘によって勝利しただけでなく、それを総選挙でも継続することに成功しました。
 その結果、辺野古基地建設反対という一点での選挙協力が実現し、1区は赤嶺政賢(共産)、2区は照屋寛徳(社民)、3区は玉城デニー(生活)、4区は仲里利信(無所属、元自民党沖縄県連顧問で元県議会議長)という候補者が決まりました。このような形での良心的保守層と革新勢力との共同の経験は、端緒的であるとはいえ、9条の会の運動やTPP阻止、反原発、消費増税反対などの運動でも生まれてきています。
 このような経験を最大限生かした取り組みを、可能な限り追求する必要があるでしょう。新基地建設反対の一点で共同した沖縄のように、北海道ではTPP阻止、東北各県では震災復興、福島では原発ゼロ、鹿児島では川内原発再稼働反対など、その地域でとりわけ切実となっている課題での一点共闘の実現に努めてもらいたいものです。

 第3に、これまでの成功体験に学び、支持の訴え方に工夫を凝らすという点では、従来の枠にとらわれない幅広い階層、団体への働きかけや候補者の訴え方についての改善が重要です。これまでと同じやり方をしていたのでは同じ結果しか生まれませんから、それを大胆に転換し、新しいやり方を試みてもらいたいと思います。
 農協や商工団体、町内会など従来は保守層の支持基盤とされていた団体への働きかけを強めること、各種の市民団体やNPOなどへの働きかけ、全労連系だけでなく連合系や全労協系、純中立の労働組合などへの支持要請なども試みる必要があるでしょう。候補者の訴え方という点では、形式的で平板なものにならないように留意し、有権者の心に響くよう、自らの思いを自分の言葉で情熱を込めて語ることが大切です。
 政策についても有権者の関心や要求に対応した訴え方を工夫し、たとえば、それぞれの地方や比例代表区のブロック別に政策的な重点を変えた打ち出し方をする、あるいは青年や女性、高齢者などの階層別での政策化を図るなどというやり方が考えられます。選挙は政策で訴えるものであり、共産党の政策には優位性がありますが、その中身だけでなく、それをどう分かりやすく端的に伝えることができるのか、訴え方にも創意と工夫が必要だということです。
 

 第4に、インターネットやSNSなどのIT手段を最大限に活用するという点では、参院選での成功体験があります。これに続く今回の総選挙はインターネット選挙が解禁された最初の衆院選ということでもありますから、これを大いに活用することが重要です。
 大きな飛躍を遂げるには、支持を回りに広げるだけでは足りません。今の政治に疑問と不満を持ち、何らかの危惧を感じて政治を変えたいと思っている広範な無党派層の中に、自然発生的に共感と支持が盛り上がって「勝手連」的な運動が始まるような状況を作り出すことが肝心です。
 もちろん、IT手段に疎遠な人や高齢者などに対しては、依然として紙媒体での宣伝手段は有効です。同時に、インターネットやSNSなどのIT手段は、ビラや演説よりも大量の情報や政策を直接伝えることができる、これまで政治にかかわりを持たなかったような幅広い層にも働きかけることができる、若者に訴える最適の手段になっている、誰にでもできるなどの大きなメリットがあります。

 かつてグラムシは、階級闘争のあり方について「機動戦から陣地戦へ」という提起を行いました。これを引き継いで、加藤哲郎早大教授は「陣地戦から情報戦へ」と提唱しています。
 このような形で階級闘争のあり方が変わってきているとすれば、これに対応した「選挙革命」の新たな展開が具体化される必要があるでしょう。この間の脱原発、消費増税反対、TPP阻止、特定秘密保護法や集団的自衛権行使容認反対、派遣法改定阻止などを掲げた各種のデモや集会が機動戦であったとすれば、選挙での票読みは陣地戦であり、これを援護するのが情報戦だということになります。
 機動戦、陣地戦、情報戦の総合的な展開によって新たな「選挙革命」を引き起こすことが、今回の総選挙での獲得目標にほかなりません。それに成功すれば、安倍「亡国政治」をストップさせるだけでなく、「日本革命の展望」に向けての新たな地平と可能性を切り開くことができるでしょう。

nice!(0)  トラックバック(0) 

11月24日(月) 新たな状況に対応した本格的な「選挙革命」に挑戦を [解散・総選挙]

 昨日のブログで、私は次のように書きました。

 「今回の総選挙では、このような新しい状況の下でこれまでにない取り組みによって新たな政治の地平へと至ることができるかどうかが試されています。選挙によって日本の政治を根本的に変える『日本革命の展望』を切り開かなければなりません。
それは選挙を通じての『革命』であり、本格的な『選挙革命』に挑戦することが共産党にとっての歴史的な使命になっているということでもあります。そのためには何が必要なのでしょうか。どうすれば良いのでしょうか。それが、次の問題です。」

 これに関連して、『しんぶん赤旗』11月21日付の談話でも、私は次のように述べています。

 「それでも『共産党で勝てるのか』と疑問に思う人がいるかもしれませんが、今度の沖縄県知事選挙の教訓を考える必要がある。沖縄では共産党を含めた保守・革新を超えた島ぐるみの共同で新基地建設に反対する新知事を誕生させました。安倍首相に危機感を抱いている保守も含めた幅広い人々と共産党との共同で安倍政治を止めるしかありません。
 前回の選挙では民主党に幻滅し、棄権した人たちもいたし、今回は『第三極』に裏切られた人も含め、選択肢を探しています。そういう層への働きかけに成功すれば前進できます。」

 前回の総選挙で棄権した人は約1000万人、第三極に投じた人は2000万人でうち半分が新しい選択肢を探しているとして約1000万人。合計すれば約2000万人の人が新しい選択肢を求めて空中を浮遊しているような形になっており、これが今回の総選挙の最大の特徴です。
 もし、共産党がこれらの支持を集めることができれば、飛躍的な大躍進が可能になります。そのためには、比例代表区での議席増を着実にはかるとともに、小選挙区でも議席を獲得しなければなりません。
 初めから、「大政党に有利な小選挙区で当選するのは無理だ」と諦めてしまうのをやめるべきです。どのようにして小選挙区でも議席を争える選挙にするかという発想に、根本的に転換する必要があります。

 小選挙区でも議席を争う選挙戦とすることで、比例代表区との相乗効果をもたらすということを考えるべきでしょう。そのために必要なのは、第1に敵を孤立させて攻撃を集中すること、第2に「共同」を広げて味方を増やすこと、第3にこれまでの成功体験に学び、支持の訴え方に工夫を凝らすこと、第4にインターネットやSNSなどのIT手段を最大限に活用することなどです。

 これらの点については、明日、もう少し詳しく書かせていただきます。ということで、続きはまた明日……。

nice!(1)  トラックバック(0) 

11月23日(日) 総選挙に向けて生じつつある政党状況の流動化と新たな選択肢の浮上 [解散・総選挙]

 一昨日の『しんぶん赤旗』に、私の談話が掲載されました。以下のようなものです。

 「前回の総選挙は民主党がダメとなった後の選挙で、今度の総選挙は『第三極』がダメとなった後の総選挙です。安倍政権の2年間の審判が問題になるとすれば、残された選択肢は日本共産党しかないということになります。
 それでも『共産党で勝てるのか』と疑問に思う人がいるかもしれませんが、今度の沖縄県知事選挙の教訓を考える必要がある。沖縄では共産党を含めた保守・革新を超えた島ぐるみの共同で新基地建設に反対する新知事を誕生させました。安倍首相に危機感を抱いている保守も含めた幅広い人々と共産党との共同で安倍政治を止めるしかありません。
 前回の選挙では民主党に幻滅し、棄権した人たちもいたし、今回は『第三極』に裏切られた人も含め、選択肢を探しています。そういう層への働きかけに成功すれば前進できます。」

 この談話について、もう少し説明しておきましょう。それは、今回の総選挙に向けて、かつてない政党状況の流動化と大転換が生ずる可能性があるからです。

 前回の総選挙は、民主党主体の連立政権に対する失望によって彩られています。そのために民主党を離れた票は2000万票に上りました。
 このうちの半分は棄権し、半分はおそらく第三極に流れただろうということは、昨日のブログで指摘した通りです。今回の総選挙では、まず棄権した1000万票を呼び戻して投票所に足を運んでもらわなければなりません。
 その時、これらの人々はどこに入れるでしょうか。元の民主党に入れるのか、それとも第三極に投票するでしょうか。

 その第三極ですが、前回の総選選挙以降、分裂に継ぐ分裂で有権者の期待に応えたとは言えません。54議席を獲得して57議席の民主党に肉薄した日本維新の会ですが、橋下徹共同代表の慰安婦問題発言で支持を失い、石原慎太郎共同代表らが脱退して次世代の党を設立し、結の党を吸収合併して維新の党となっています。
 前回の総選挙で18議席を獲得したみんなの党は悲惨な末路を辿りました。渡辺代表と江田幹事長の対立によって江田グループが離党して結の党を結党しますが、渡辺代表は政治資金問題で引責辞任に追い込まれ、浅尾慶一郎後継代表とも対立し、結局、解党を決めて間もなく消滅する運命にあります。
 さらに、総選挙直前に嘉田由紀子滋賀県知事を代表とし、小沢一郎さんなどの国民の生活が第一、山田正彦さんなどの減税日本・反TPP・脱原発を実現する党などが合流して結党された日本未来の党にいたっては、すでに覚えている人も少ないことでしょう。総選挙で9議席を獲得したものの、その後すぐに解散し、小沢グループが生活の党を結成しています。

 前回の総選挙でこの3党が集めたのは、小選挙区で1274万票、比例代表区で2092万票にも上りました。そのすべてが流動化するわけではありませんが、比例代表区の半分が投票先を失うとしても約1000万票になります。
 つまり、民主党を見限って第三極に流入した票は、今回の選挙では第三極を離れて流動する可能性があるということです。これらの票が、一度は見捨てた民主党に還流するとは限りません。
 「前回の総選挙は民主党がダメとなった後の選挙で、今度の総選挙は『第三極』がダメとなった後の総選挙」だということは、これらの2000万票が支持する先を求めて浮遊している状況にあるということを意味しています。今回の選挙で「安倍政権の2年間の審判が問題になるとすれば」、これらの票が自民党に向かうとは考えられません。そうなると、主要な政党としての選択肢では、日本共産党しか残らないということになります。

 ここに、今回の総選挙をめぐる政党状況の特徴があります。さらに言えば、前々回の選挙では自民党はだめだということがはっきりして政権交代が起きていましたから、09年総選挙は、自民党はダメとなった選挙でした。
 自民党も民主党も第三極も、歴史の審判において落第したということになります。2009年総選挙では自民党が信を失い、12年の総選挙では民主党が見放され、今回の総選挙では第三極の破たんが明らかになっているのですから……。
 日本の有権者は5年前に自民党政治を見限って民主党に希望を託しましたが、見事に裏切られてしまいました。2年前に第三極を標榜する日本維新の会やみんなの党に期待を寄せましたが、これらの党は分裂したり解散したりして自滅への道をたどっています。

 このような状況下で、「政治を変えてほしい。まともな政治を実現して欲しい」という願いを託せるのはどこか。答えは明確になりつつあります。
 もはや政治変革の期待を託せる選択肢は一つしか残っていません。日本共産党を中心とする革新勢力です。
 今回の総選挙では、このような新しい状況の下でこれまでにない取り組みによって新たな政治の地平へと至ることができるかどうかが試されています。選挙によって日本の政治を根本的に変える「日本革命の展望」を切り開かなければなりません。

 それは選挙を通じての「革命」であり、本格的な「選挙革命」に挑戦することが共産党にとっての歴史的な使命になっているということでもあります。そのためには何が必要なのでしょうか。どうすれば良いのでしょうか。それが、次の問題です。

nice!(0)  トラックバック(1) 

11月22日(土) 総選挙で自民党が必ずしも勝つとは言えないこれだけの理由 [解散・総選挙]

 前回の総選挙で自民党は大勝しました。しかし、一皮めくれば、その勝利は極めて脆弱なものです。
 決して盤石な形で与党が勝利したわけではないということ、別の形で言えば、野党にも挽回するチャンスは十分に残されているということを、いくつかの数字をもとに検証してみたいと思います。

 まず第1に、前回の自民党勝利は得票数を増やしたためではないということです。過去3回の総選挙を見ると、小選挙区で自民党は、3252万票(05年)→2730万票(09年)→2564万票(12年)という結果でした。
 自民党有利とされる小選挙区で、05年から09年にかけて522万票、09年から12年にかけて166万票と票を減らし続け、あわせて約700万票も支持を失ってきました。総選挙で勝利して政権を取り返した12年でさえ、政権を失った前回から票を減らしていたのです。
 ちなみに、比例代表区での減り方はもっと大きく、05年には2589万票だったものが09年には708万票減らして1881万票となり、さらに12年には219万票減らして1662万票となっています。05年との比較で言えば、政権を奪還した12年総選挙でも約900万票もの減少になりました。

 第2に、このように票を減らしてきた自民党が前回の12年総選挙で勝利できたのには、二つの理由があります。一つには、民主党の裏切りと政権交代への幻滅によって投票所に足を運ばなかった人が激増したことであり、もう一つは、日本維新の会・みんなの党・日本未来の党などの「第三極」の台頭によって野党の票が分散したことです。
 12年総選挙での小選挙区の投票率は59.32%で、69.28%だった09年総選挙と比べて9.96ポイントも低下しました。投票数にして1096万票もの減少です。比例代表も同様で、69.27%から59.31%へと9.96ポイント低下し、1020万票の減少となりました。
 12年総選挙で敗北した民主党は、小選挙区でも比例代表区でも前回の09年総選挙より約2000万票減らしましたが、そのうちの半分は棄権に回り、残りは第三極に流れたものとみられます。その結果、自民党が漁夫の利を得たというわけです。

 第3に、このような自民党にとって特に有利な結果が出たのは小選挙区制のカラクリによるものでした。小選挙区では相対多数の得票をした候補者が当選しますから、野党が乱立すれば自然に自民党の候補者が有利になります。
 こうして、09年総選挙と比べて自民党は、小選挙区で173議席も増やして237議席を獲得する大勝利となりました。他方、比例代表区では09年の55議席から12年の57議席へと、たった2議席しか増えていません。
 この時の自民党の有権者対比での得票率(絶対得票率)は小選挙区で25%、比例代表区では16%にすぎなかったのです。有権者のたった4分の1の支持しか集めていない政党が巨大な与党になれたカラクリは、小選挙区制という選挙制度にありました。

 以上の結果を見れば、前回の総選挙では自民党が勝ったのではなく、野党が負けたのだということが分かります。特に、有権者を失望させて選挙から退出(棄権)させた民主党の責任は大きく、自民党に対抗すべき「第三極」諸党による票の分散も野党の側のオウンゴールを生み出す結果となりました。
 今回の総選挙でこのような問題点を克服できれば、野党の敗北は避けられ、自民党をアシストすることもなくなるでしょう。そのためには、有権者の負託にこたえられるような選択肢が提起されなければなりません。
 そのような選択肢はあるのでしょうか。それを明確に提起できるのか、それを有権者にどのように認知してもらえるかが、今回の総選挙の重要な課題になっています。

nice!(0)  トラックバック(0) 

11月21日(金) まず確認すべきことは世論が安倍首相を見放しつつあるという事実 [解散・総選挙]

 今日の午後、衆院は解散され、事実上の選挙戦に突入しました。来月の2日公示、14日に投票という日程で総選挙が実施されます。
 この解散・総選挙について、今日の『朝日新聞』夕刊に「どう名付け? 識者に聞く」という記事が出ていました。「何と名づけますか」という問いへの答えの一つが、「巨大な自民が野党を踏みつぶすだけの解散じゃないですか?」というものです。
 果たしてそうでしょうか。それほど自民党は強力で、その勝利は確実なものなのでしょうか。

 この問いに答える前に、自民党にとっての「勝利」とは何か、その「勝敗ラインはどれほどなのか」が問題です。言い換えれば、どれだけ減らせば敗北なのか、という問題があります。
 厳密に言えば、解散時より1議席でも減らせば敗北です。自民党の現有議席は295で公明党が31ですから与党は326もあり、解散しなければこの巨大勢力はさらに2年間維持できたわけですから、それを減らせば解散した安倍首相の責任が問われるのは当然のことです。
 しかし、安倍首相はこのような責任論を回避するために、「与党で過半数を割れば退陣する」と表明しました。衆院の定数は現在480ですが、一票の格差是正のための「0増5減」で475に減り、その過半数は238になります。

 つまり、現有議席より88下回っても「勝った」と言えるような「勝敗ライン」を口にしたわけです。「べらぼうじゃないか。こんなに減らしても勝ったと言えるのか」と、誰もがそう思うでしょう。
 というわけで、与党幹部は自民・公明あわせて「与党で270議席以上」とする方針を確認しました。与党がすべての常任委員会で委員長ポストを独占し、委員が過半数を占める「絶対安定多数」である266を数議席上回る数になります。
 それでも、現有議席より60議席も少ない数です。与党は議席数をこんなに減らしても、まだ「勝った」というつもりなのでしょうか。

 与党がこれほど低い数字を目標としているのは、敗北したということで混乱が生じたり責任論が生まれたりしないための予防線を張っているからです。同時に、今回の総選挙がそれほど楽観できるような状況ではなく、「野党を踏みつぶすだけの解散」などといって甘く見ていたら痛い目を見る可能性があるということに、それとなく気が付いているからかもしれません。
 その例証の一つが、今日の『朝日新聞』朝刊に出ている世論調査の結果です。調査は19、20日に電話で実施されました。
 その結果は以下のようなものです。いずれも、安倍首相には厳しい内容となっています。

安倍内閣支持率は39%で不支持率は40%と、初めて支持と不支持が逆転
この時期に解散・総選挙をすることに「反対」は62%で、「賛成」は18%
消費増税の延期について「国民に信を問う」という解散理由に「納得しない」は65%で、「納得する」は25%
消費税を10%に上げる時期を1年半延期して2017年4月に確実に上げるとの判断を「評価しない」は49%で、「評価する」は33%
10年4月に消費税を10%に上げることに「反対」が49%で、「賛成」は39%
衆院の定数削減についての約束を実現せずに解散することに「問題だ」は77%で、「問題ではない」は17%

 世論は、このようなものです。この世論がそのままの形で選挙結果に出れば、安倍首相を信任したり、与党を勝利させたりするような形にはならないでしょう。
 もちろん、世論調査と選挙は違います。選挙になれば、これ以外の様々な要素が有権者の投票態度に影響することになります。
 とはいえ、世論が安倍首相を見放しつつあるという事実は重要です。しかも、これに加えて注目すべき事実があるのですが、これについてはまた明日……。

nice!(1)  トラックバック(0) 

11月20日(木) 「アホノミス」の最初は批判の大合唱を生み出した自己チュー解散 [解散・総選挙]

 「有利な状況だと勘違いして安倍首相が賭けに出た総選挙ですが、どうやらこの『暴走解散』ももう一つのアホノミスになりそうです」
 私は11月18日付けのブログ「『アホノミス』によって崖っぷちに立たされた日本経済」で、こう書きました。今回の解散はアホである安倍首相のミスではないかと問題提起したわけです。

 その後、解散を表明した記者会見やその後のテレビなどへの出演に対して、予想外に多くの批判が寄せられています。安倍首相はこれほどの批判の大合唱になると思っていなかったでしょう。
 それどころか、「してやったり」とほくそ笑んでいたのではないでしょうか。野党や自民党議員の多くの意表を突いたのですから……。
 ところが、解散を表明した18日の記者会見やテレビ出演での説明などに対して、思わぬ批判の嵐に直面しました。解散の時期やその理由をめぐってこれほど多くの批判が寄せられたことは、おそらくこれまでなかったのではないでしょうか。

 自民党と公明党の与党にとって、今解散する必要性はありません。それどころか、3分の2以上の現有勢力を減らす可能性が高いですから、解散はできる限り先である方が好都合です。
 しかも、議員の任期は2年以上も残っています。何も急いで解散する必要はないと考えるのも当然でしょう。
 しかし、安倍首相にとっては、事情が異なります。与党の議席を少しくらい減らしても。今のうちに解散・総選挙で政権基盤を安泰にしておきたいという思いの方が強かったにちがいありません。

 そう思ったのは、これから政権が下り坂にさしかかるのは確実だからです。安倍首相はアベノミクスがうまくいっているかのように強弁していますが、それなら消費増税を先延ばしする必要はなかったはずですし、消費増税の先延ばしだけだったなら解散する必要もなかったはずです。
 「今のうちにやってしまおう」と考えたのは、次々に不利な材料が出てき始め、このままでは解散するチャンスを失うかもしれないと心配になったからです。8月頃から景気の先行きに対する不安を感じ始め、9月に入ってやりたくもなかった内閣改造を行い、「政治とカネ」をめぐる不祥事で2人の閣僚が辞任し、内閣の前途に暗雲が漂い始めました。集団的自衛権の行使容認の閣議決定を急ぐあまり公明党との関係がギクシャクし、ガイドラインの改定や関連諸法の条文の改定についての作業も滞るようになりました。
 そうこうするうちに、消費再増税を決断する時期が迫ってきました。再増税は景気の腰折れをもたらす危険性があり、さりとて延期すれば政治責任を問われるため、進退に窮し袋小路に入り込んだというわけです。

 こうして解散に逃げ道を求めたわけですが、それを必要としたのはあくまでも安倍首相個人であって、政権与党ではありません。自らの都合を最優先し、絶対多数を持つ政権与党を犠牲にしたのが安倍さんの今回の解散です。
 与党の議員からすれば、たまったものではないでしょう。安倍さんの自己中心的な我儘から議員の首を斬られ、次も当選して国会に戻ってこられるかどうか、分からないのですから……。
 これまでになく解散の大義名分についての批判があり、解散の必要性そのものについて疑義や異議が出されているのは、そのためです。安倍首相の説明が全く説得力を持たず、解散・総選挙の正統性が疑われているのも当然でしょう。

 もし、この総選挙で安倍首相が敗北すれば、その敗因の第1に挙げられるのはこのような時期に自分勝手な都合で解散したことでしょう。国民に説明がつかず与党の議員さえ納得させられないような自己チュー解散が、そもそもボタンの掛け違いの始まりだったのだと……。


nice!(1)  トラックバック(0) 

11月19日(水) 総選挙の争点は安倍首相の存在そのものだ [解散・総選挙]

 安倍晋三首相は昨夜、首相官邸で記者会見し、来年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを2017年4月に1年半先送りすること、衆院を21日に解散して総選挙を断行することを表明しました。首相は消費増税の先送りについて国民に信を問うという名分を掲げ、選挙は「12月2日公示、14日投開票」の日程で行われる見通しです。

 師走の忙しい時なのに、突然の解散・総選挙となりました。国民や野党だけでなく、与党の一部からも「なぜ、いま解散・総選挙なのか」という声が出ています。
 それもそうでしょう。いまの与党は衆院の3分の2を上回る巨大な勢力を持っていますし、議員の任期はまだ半分も残っています。
 消費増税の先送りについても、民主党などの野党は受け入れています。それを実行したければ消費増税法の付則18条に基づいて増税を凍結し、そのための改正をすれば済む話でした。

 それなのになぜ、議席が減るリスクを冒してまで解散・総選挙をしなければならないのか。選挙を実施すれば700億円もの多額の費用がかかるというのに……。
 今日の『毎日新聞』では、自民党のベテラン議員が「安倍晋三の安倍晋三による安倍晋三のための選挙」だと嘆いていると報じられていました。この記事を書いた末次省三政治部長は「与党の一部から『私利私欲解散』『ご都合主義解散』といった批判が出るのはもっともだ」と書いています。
 「政治とカネ」の疑惑によって窮地に立ち、集団的自衛権の行使容認の法制化や原発再稼働という難題を抱え、消費増税とアベノミクスの失敗による不況が深刻化すれば内閣支持率の急落は避けられず、野党の選挙準備も整っていない今のうちに解散・総選挙をやって政権基盤を安定させようと考えたのでしょう。政権戦略を最優先にした自分勝手な解散ですから、与党の中からさえ不満の声が出るのは当然だと言えます。

 この選挙では、首相の経済政策「アベノミクス」継続の是非が最大の争点となるとされています。果たして、そうでしょうか。
 もちろん、すでに破たんが明確になっている「アホノミス」をこれからも続けさせるかどうかは大きな争点ですが、それだけに限られるわけではありません。消費税の増税と再増税、秘密保護法の制定と施行、集団的自衛権の行使容認、原発の再稼動、TPP交渉の推進、社会保障の切り下げと負担増、労働の規制緩和と派遣労働の拡大など、安倍首相が実施してきた、あるいは実施しようとしている重要政策の全てが争点となり、国民の審判を受けることになります。
 安倍首相がこれまでやってきたこと、これからやろうとしていること――その全てを許すのかどうか、安倍首相の続投を認めるのかどうかが、今回の解散・総選挙の真の争点にほかなりません。その意味では、個々の政策の是非が問われるというよりも、安倍首相の政治全体に対する審判こそが総選挙の最大の争点であるというべきでしょう。

 安倍首相は今年2月、集団的自衛権についての憲法解釈の変更をめぐって「審判を受けるのは法制局長官ではなく私です」と居直りました。この「審判」の場が、これから訪れようとしています。
 総選挙での投票に当たって選択の基準はただ一つ。安倍首相を喜ばすような結果にはしない――これだけです。

nice!(1)  トラックバック(0) 

11月11日(火) にわかに吹き始めた解散・総選挙の風 [解散・総選挙]

 会津若松の近郊にある「大江戸温泉物語あいづ」の一室で朝7時のNHKニュースを見ていたら、「解散・総選挙」という言葉が耳に飛び込んできました。「本当にやるつもりなのか」というのが、率直な感想です。
 すでに、『週刊文春』などが12月14日投票説を流していましたから、驚きはしませんでした。それをNHKが朝7時のニュースの冒頭で報じたために、俄然、現実性が高まってきたというわけです。

 このニュースを会津の温泉で聞いたのは、新潟から会津若松まで只見線で旅をしていたからです。9日に魚沼市で9条の会の講演があり、その日は浦佐に泊まって、翌日、そこから小出経由で只見線に乗車し、只見からは代行バスで会津川口へ、そして再び列車に乗り換えて会津若松までという行程です。
 只見線は3年前の大水害で2つの鉄橋が破損し、今も只見と会津川口の間は不通になっています。その間は代行バスが走っていますが、2時間以上も待ち時間がありました。
 只見での待ち時間にレンタサイクルを借りて只見湖までサイクリングしましたが、周りは秋色に染まっていました。只見線の沿線も会津からの帰り道の高速バスの沿線も紅葉真っ盛りで、それは綺麗なものでした。

 その紅葉見物の旅も、にわかに生じた「解散・総選挙」の風によっていささか生臭いものになってしまいました。安倍さんは、勝負に出ようというのかもしれません。
 消費税を10%に引き上げる再増税の判断に絡んで、年内に衆院解散・総選挙に踏み切って是非を問うことを選択肢にして検討に入ったと伝えられているからです。NHKがこう報じた意味は大きいと思います。
 政府関係者によれば、今国会会期中に解散し「12月2日公示―14日投開票」か「12月9日公示―21日投開票」とする案が浮上しているそうです。公明党の山口那津男代表も、年内の衆院選に対応する態勢を取ると表明しています。

 現在、自民党は衆院で300近い議席を持っています。これは望むことのできる最上の結果でしたから、今度総選挙をすれば議席を減らすことは確実でしょう。
 それなのに、なぜ、安倍首相は解散・総選挙を口にしたのでしょうか。二つのマイナスと一つのプラスを勘案して、そうするのが得策だと思い至ったのかもしれません。
 二つのマイナスというのは、「政治とカネ」をめぐる不祥事の続発とアベノミクスの前途に対する不安です。一つのプラスというのは、APECの機会に中国・韓国の両首脳との会談を演出できたことです。

 「政治とカネ」の問題で2人の女性閣僚が辞任しただけなく、その後も似たような問題が続発し、安倍政権の体力が低下し続けています。内閣支持率は40%を超えているとはいえ低下傾向を示しており、もっと低くなる前に選挙をやりたいという考えなのかもしれません。
 アベノミクスについても、黒田日銀総裁が長期国債買い入れ額を年間30兆円増額して80兆円にすると発表したために株価が急騰しましたが、その効果がいつまで続くか分かりません。株高に国民が幻惑されているうちに、その支持をかすめ取ってしまおうと考えたとしても不思議ではないでしょう。
 これに加えて、中国の習近平主席や韓国のパク・クネ大統領と言葉を交わすことができ、外交上の懸案解決への見通しが出てきたかのように取り繕うことができました。解散・総選挙の話が、これらの会談の直後にNHKによって報道されたのは偶然ではないように思われます。

 こうして、安倍首相は賭けに出ようとしています。この先、安倍政権をめぐる環境が好転する材料が乏しいからです。
 とりわけ、消費税の再増税をめぐる判断では、頭を悩ましてきたにちがいありません。今のような経済状態の下で消費税を上げたくないけれど、上げなければ三党合意を無視したことになって責任を問われ、上げれば景気はさらに悪くなって日本経済が破たんする可能性が高まります。
 こうして、進むもならず退くもならない「袋小路」に入り込んでしまいました。窮した安倍首相は、壁をぶち破って「出口」を作ろうとしているのではないでしょうか。

 それが、消費税の再増税を先延ばしし、経済対策などで国民の不満をなだめたうえでの解散・総選挙の実施という「奇策」の意味です。消費税再増税についての国民の意思を問うということであれば、総選挙の大義名分も立つということなのでしょう。
 しかし、壁を打ち破って「出口」が作れるかどうかは、ぶつかってみなければ分かりません。意外に厚くて、はじき返されてしまうかもしれません。
 安倍首相が実際にこのような賭けに出るかどうかは、今のところ不確実です。しかし、直近の経済指標が明らかになる11月17日頃には、それも明確になるでしょう。

 安倍政権打倒を主張していた私からすれば、これは願ってもないチャンスです。解散・総選挙に追い込み、選挙で敗北させて安倍首相の再選を阻止することをめざさなければなりません。
 安倍首相自身の思惑がどうであれ、この機会を生かして安倍政権打倒を実現することに全力を傾けるべきです。衆院で圧倒的多数の議席を持っているにもかかわらず解散を口にせざるを得なくなったということは、安倍政権が行き詰まっていることの明白な表れです。
 私は10月21日付のブログ「『大目玉』を食らって辞任に追い込まれた『目玉』閣僚」で、「水に落ちた安倍は打て」と書きました。今の安倍首相は自ら「水に落ちた」ことを認め、這い上がれる岸を探しているようなものです。

 安倍首相を取り巻く「袋小路」の壁をさらに厚くし、「出口」などできないようにしなければなりません。岸から這い上がれないようにし、さらなる深みに追い込んで追撃を加える必要があります。
 このような状況であればこそ、再び言いたいと思います。「水に落ちた安倍は打て」と……。

nice!(1)  トラックバック(0) 

11月14日(水) 「自爆解散」に追い込まれた野田首相 [解散・総選挙]

 やはり、12月16日(日)の投開票となりました。私が住む八王子では、衆院選と都知事選、それに都議補選のトリプル選挙ということになります。

 今日午後の党首討論で、野田首相は自民党の安倍晋三総裁に次期通常国会での議員定数削減と、それまでの議員歳費削減の確約が得られれば「16日に解散してもいいと思っている」と明言しました。これを受けて、自民党は夕方に幹部会合を開き、受け入れる方針を決めています。
 夜には、首相官邸で政府・民主三役会議が開かれ、選挙日程は12月4日公示、同16日投開票とすることになりました。公明党の山口那津男代表も記者会見で「選挙制度の抜本改革は、解散後の次の通常国会で行うなら合意は可能だ。これから努力したい」と応じる考えを表明しています。
 この党首討論は民主党からの申し入れで開かれたそうですから、申し入れた時点で、野田首相はこのような形での解散・総選挙についての表明を決断していたと思われます。

 この党首討論に先立って、民主党は衆院選挙制度改革法案を衆院に提出しました。これは一票の格差の違憲状態を是正する小選挙区定数の「0増5減」と比例定数の「40削減」をセットとし、一部連用制も盛り込んでいます。
 これについて、明日、民自公3党の国対委員長が会談し、取り扱いを協議するそうです。この席で、民主党は「0増5減」だけを切り離して先行処理することを受け入れる代わりに、通常国会冒頭での比例定数の「40削減」の成立を確約するよう求めるでしょう。
 もし、「0増5減」も成立しないまま総選挙が実施されれば、今度こそ違憲判決が出て、最も格差の大きい選挙区での当選が無効とされる可能性があります。その選挙区とは野田首相の選挙区である千葉4区ですから、衆院選挙制度改革法案の成立による小選挙区定数の「0増5減」は、野田首相にとっては避けて通れない道です。

 しかし、これもまた、他の野党を置き去りにしたまま「談合3政党」によって合意されようとしています。「国会は何のためにあるのか」と、問わざるを得ません。
 こんどの総選挙では、このような民自公3党による談合政治に対する審判も大きな争点とされる必要があるでしょう。消費増税に続く比例定数の「40削減」という他の野党無視の「談合3党」による国会軽視と議会制民主主義の無視こそが、総選挙で問われるべき第1の争点です。
 総選挙での対決点は民主党と自民党の間にあるのではなく、橋下「維新」や石原「太陽の党」、みんなの党などの偽りの極右第3極との間にあるのでもありません。これらの諸党とリベラル第3極との間にあるのです。

 リベラル第3極とは、国民の生活が第一、共産党、社民党、新党きづな、新党大地・真民主、新党日本などであり、脱原発、消費増税反対、TPPへの参加反対、比例定数削減反対などの点で政策的に一致しており、右翼的イデオロギーで共通していても政策的にはバラバラな極右第3極とは異なっています。今度の総選挙の対立図式は、民自公vs極右第3極vsリベラル第3極ということになるでしょう。
 民主党を見捨てても自民党を復権させるわけにはいかないと考えている有権者は多くいるにちがいありません。これらの人々にとって、それに代わる選択肢としての第3極ではあるでしょうが、偽物に騙されてほぞをかむことのないよう、くれぐれも注意していただきたいものです。

nice!(0)  トラックバック(0) 
前の10件 | 次の10件 解散・総選挙 ブログトップ