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7月30日(木) 李下に冠を正して実をもぎ取った竹中平蔵元経財相 [規制緩和]

 やっぱり、こういうことだったんですね。郵政民営化でかんぽの宿などの「改革利権」を手に入れたオリックスの宮内さんに次いで、竹中さんも労働の規制緩和による人材派遣業の拡大で「改革利権」の果実をしっかりともぎ取ったようです。

 今日の『朝日新聞』10面の「経済」面を見ていたら、見慣れた顔の写真が出ていました。竹中平蔵さんの写真です。
 「おや、珍しいな」と思って、記事を読んで驚きました。「竹中元経財相がパソナ取締役に」という見出しで、次のように書かれていたからです。

 人材派遣大手のパソナグループは29日、小泉内閣で経済財政担当相や総務相などを務めた竹中平蔵慶大教授(58)を8月26日付で取締役に迎えると発表した。任期は1年。社外取締役ではなく、より会社の中に入り、経営や事業について助言してもらうという。
 竹中氏は01~06年に閣僚を歴任し、07年からは同社の特別顧問や取締役の諮問機関であるアドバイザリーボードの一員を務めてきた。

 竹中さんが、06年に総務大臣兼郵政民営化担当大臣を辞め、参院議員も辞職していたことは知っていました。その後は、慶応大学の先生をしていただけでなく、人材派遣大手の会社の「特別顧問や取締役の諮問機関であるアドバイザリーボードの一員を務め」ていたというわけです。
 そして、今回、「もう良かろう」ということで、晴れて「取締役」に昇進というわけでしょうか。それも、「社外取締役ではなく、より会社の中に入り、経営や事業について助言」するような形で……。

 「李下に冠を正さず」ということわざがあります。李 ( すもも ) の木の下で冠をかぶり直せば、手を伸ばして 李の実を盗んで隠したと誤解されるから、そのようなことをしてはならないという戒めです。
 宮内さんや竹中さんは、もちろん、このことわざをご存知でしょう。それにもかかわらず、実がタップリとなるのを待ってから、堂々ともぎ取ってしまいました。
 というより、このような形で実をとれるようにするため、せっせと周りの垣根を外していたのです。それが、構造改革の掛け声の下に推進された規制緩和の本質でした。

 「一将功成りて万骨枯る」ということわざもあります。一人の将軍が輝かしい功名を立てた陰には、戦場に屍(しかばね)をさらす多くの兵士の犠牲があったという意味です。
 規制緩和で日本をズタズタにし、「改革利権」によって旨い汁を吸ったのは、宮内さんと竹中さんの2人です。さしずめ、「二将功成って万骨枯る」というところでしょうか。