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2月26日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月26日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「なぜ破廉恥が次々と 麻痺してイカれてる菅政権と仲間たち」

 この半年間だけでも、現職議員1人が贈収賄事件で辞職し、4人が「夜遊び」が発覚して離党に追い込まれている。吉川貴盛元農相は、大臣室で2回も鶏卵業者から現ナマを受け取っていたのだから、完全に倫理観が麻痺している。かと思えば、女性蔑視発言をした森喜朗元首相を、世耕弘成・参議院幹事長は「余人をもって代え難い」とかばい続けたのだから、こちらも感覚が麻痺している。

 次から次に湧いて出てくるスキャンダル。いまや自民党は破廉恥の殿堂である。スキャンダルが絶えない理由はハッキリしている。

 「自民党のスキャンダルは、安倍・菅政権の8年間ですっかり見慣れた光景になってしまいました。やはり長期政権による驕りだと思う。どんなに悪政失政を行おうが、選挙で当選し、政権を維持してきたから、自分たちは何をやっても許されると特権意識が染みついたのでしょう。国民に『飲みに行くな』『家にいろ』と外食自粛を要求しながら、次から次へと4人も銀座や麻布の高級クラブで豪遊していたのが象徴的です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 力の弱い者、困っている者にこそ手厚くするべきだ、ということだろう。しかし、いま自民党の中に、弱者に手を差し伸べようという議員は一人もいないのではないか。安倍・菅政権の8年間で、自民党は上から下まで腐りきってしまった。ここまでくると、もう政権交代しかないのではないか。

 「安倍1強体制までは、自民党内での“疑似政権交代”にも期待が持てました。主流派と反主流派が競い、振り子の理論もあった。でも、干されるのが怖いのか、この8年間で、トップに異論を唱える気骨ある議員はいなくなってしまった。安倍首相が退陣しても、後継は同じ体質の菅首相です。やはり、日本でも政権交代が必要でしょう。政権交代が頻繁に起これば、政治腐敗も、役人の忖度も、起こりにくくなる。政権を失う緊張感があれば、国民に顔を向けた政治も行われるようになります」(五十嵐仁氏=前出)

 最後は国民がケリをつけるしかない。

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2月25日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月25日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「身内調査は笑止千万 菅長男“ハレンチ接待”裏側と今後」

 菅はかつて総務副大臣、総務相を歴任。今なお総務省に隠然たる力を持つ。接待を受けた幹部も息のかかった「側近」だらけ。谷脇康彦・総務審議官は目玉政策「携帯値下げ」を担った人物。秋本氏と吉田真人総務審議官はNHKを所管する放送政策課長を経験し、特に秋本氏は菅肝いりの「受信料引き下げ」の制度設計を任されていた。

 山田氏も菅のお気に入りだ。

 19年に女性初の総務審議官に就いた際も「菅人事」と言われ、菅が首相になると内閣広報官に抜擢した。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「菅首相が人事権をテコに左遷も辞さず、省庁を牛耳る姿勢は広く知られ、おもねる忖度官僚ほど出世し、恩義を感じる。いびつな構図だから『重用してくれた恩人の息子の誘いを断れば、何をされるか分からない』との恐怖心が生じ、コロナ禍でも会食に応じる特別扱いにつながったのでしょう。その上、東北新社の創業者は首相とは秋田県の同郷であり、計500万円の個人献金を送っていた。菅首相自身、政治経験はおろか、社会人経験ゼロの長男を総務大臣秘書官に任命した後、創業者に引き合わせたことを国会で認めています。これだけ首相周辺が関わっている以上、“身内”に特権を与えるため、行政をゆがめたとの疑いは晴れません」

 コロナ禍で皆、外食を控える中、破格の接待を受けた官僚を官邸がかばえば、それこそ火に油だ。世論の批判を避けるため、早晩クビは免れない。しかも今回の接待問題は贈収賄事件に発展しかねない事案だ。モリカケ・桜よりも罪に問われやすい構図だけに、追及する野党も真価が問われる。

 「まず今年度予算案を“人質”に取り、憲法の『自然成立30日ルール』のリミットとなる3月2日まで衆院通過を徹底拒否。年度内成立を阻止すれば政府・与党も山田広報官や首相長男の国会招致に応じるなど、折れざるを得なくなるかも知れません。新型コロナワクチンの接種日程も二転三転のデタラメで、庶民感情を逆なでしており、政権は二重三重の火消しに大混乱。1強支配にあぐらをかいた安倍・菅両政権の強権政治が招いた自業自得とはいえ、長期政権の『おごり』と『ゆがみ』に終止符が打たれる日は近づいているように感じます」(五十嵐仁氏=前出)

 ロン毛長男の不始末で菅退陣Xデーは想像以上に早まりそうだ。

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2月24日(水) 古希を迎えるまで生きるとは思わなかった [日常]

 古希の朝を迎えました。70歳です。
 この歳になるまで生きるとは思っていませんでした。父が59歳でこの世を去り、母も64歳で亡くなったからです。2人ともガンでした。
 その遺伝子を受け継いでいる私も、早晩、ガンで死ぬのではないかと思っていました。しかし、そうはなりませんでした。

 この歳まで生き延び、今では社会のガン退治に精を出す毎日です。おかげ様で、コロナ禍の下でも、それほどストレスを感じずに過ごすことができています。
 講演などの仕事は減りましたが、その分、散歩で公園などに出かけて行く機会が増えました。講演から公園へ、というわけです。
 この数年、黙々とダイエットに取り組み、最も体重が多かった時より25キロ減りました。欲望をコントロールして食べたいものや飲みたいものをできるだけ我慢し、せっせと歩いてダンベル体操や腹筋運動に努めてきたおかげです。

 70年の人生を振り返ってみれば、それなりに波乱万丈で波風の多い年月でした。新潟の専業農家の長男として生まれ、18歳の時に都立大学に合格して東京に出てきてから半世紀以上の歳月が過ぎ去っています。
 20歳の秋に暴力学生の旗竿で右目を突かれ、失明するということもありました。後遺症が出るかもしれず、残された左目に負担がかかって見えなくなるかもしれないと心配もしました。
 しかし、そうなることもなく、健康で古希を迎えることができたのは望外の幸せです。この機会に、これまでお世話になったすべての方々に、私を支えてくれた妻をはじめ家族にお礼を言いたいと思います。

 今の私は体重が減って体が軽くなりました。筋力や脚力が増して、あまり疲れなくなっています。
 運動は身体に良いと言ってきましたが、その通りだと思います。ムーブメントもエクササイズも、どちらの「運動」も心身の健康と体力の増進に結びつくように思います。
 おかげ様で、今のところ体調は万全です。物忘れはありますが、まだそれほどボケてはいないようです。

 15の春に「世の中を変えたい」と志して以来、55年の歳月が過ぎ、いつ終幕を迎えても悔いのない人生を送ることができました。苦しく辛いこともありましたが、今となっては楽しく思い出深い日々の繰り返しだったと言えます。
 70年の人生を経て、ようやく準備が整いました。これからの「余生」を、世の中のために活かす準備が。

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2月23日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月23日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「反対すれば袋叩き 日本を覆う「五輪ファシズム」の怖さ」

 五輪開催は絶対だから関連経費が膨らむことは不問みたいなムードもある。衆院予算委では、五輪の観客向けアプリを73億円かけて調達することも明らかになった。国内向けの接触確認アプリ「COCOA」の開発費が約4億円だから、その20倍だ。アスリートや大会関係者、観客の約120万人が利用する想定で、なぜこんなに経費がかかるのか。予算委で質問された菅は「正確な数字は知らなかった」と、まるで他人事だった。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「国民の多くは、安全に開催できるなら五輪をやってほしいと思っているでしょう。同時に、そんな状況ではないことも分かっている。状況によってはG7の中からも選手団を派遣しない国が出てくるだろうし、選考会や練習試合もままならない中で、フェアな大会が開けるわけがない。国民世論の方がマトモです。無観客で開催することになれば、巨額の血税をつぎ込んだアプリも無用になってしまう。そもそも、緊急事態宣言の再発令や延長、ワクチン接種の開始など、すべてのスケジュールが五輪に合わせて決められている。そこに科学的根拠はありません。五輪開催を政権浮揚の材料にしたいのでしょうが、政権維持と利権しか考えていない。国民の命と健康より五輪を優先し、異論を封殺する姿勢は“五輪ファシズム”と言って差し支えないでしょう」

 開催にシャカリキになっているのは日本政府と東京都、スポンサー企業だけ。

 コロナ禍で日々の生活に苦悩し、お祭り気分どころでない国民はドッチラケなのだが、開催圧力が日本を覆う。五輪予算をコロナ対策に振り向けてもらえたら、どれだけ救われる人がいるだろうか。

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2月21日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月21日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「首相のやることか 白昼堂々恐るべきトカゲのしっぽ切り」

 なのに、菅は「長男とは別人格だ」「最近、会っていない」と、自分とは無関係だと強弁しているのだから、完全に国民をなめている。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「官僚4人は哀れというか、ある意味、気の毒ですよ。総理の 長男だから会食し、陳情も受け入れた。国会で嘘をついたのも、政権を守るためでしょう。菅首相も、官僚たちが自分の顔色をうかがい、忖度していることは百も承知のはずです。なのに、疑惑に幕を引き、自分に火の粉がかからないようにするために、官僚4人を冷たく切り捨てようとしている。まさに、白昼堂々のしっぽ切り。使い捨てです。これが血の通った人のやることでしょうか」

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2月20日(土) 2021年の政治動向と国会をめぐる情勢―野党共闘で政治を変えるチャンス(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、婦人民主クラブの『婦民新聞』第1667号、2021年2月10日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 「政治とカネ」と学術会議問題

 通常国会ではコロナ対策や来年度予算審議と共に大きなテーマとなるのが「政治とカネ」の問題です。これらは安倍前政権から引き継がれたものですが、官房長官として政権を支えてきた菅首相にも大きな責任があります。
 農相在任中に鶏卵業者から現金を受け取ったとして、吉川貴盛元農相が在宅起訴されました。国会としても証人喚問を要求し、全容を解明するとともに関係者の政治責任を明らかにする必要があります。
 また、安倍晋三前首相の「桜を見る会」前夜の夕食会費用補てんの問題も幕引きにしてはなりません。ホテル側の明細書や資金管理団体「晋和会」の領収書を提出させ、安倍首相を証人喚問してさらなる説明を求めることが必要です。
 幕引きが許されないのは、学術会議の任命拒否事件も同様です。菅首相は、なぜ6人の任命を拒んだのか説明していません。この6人は安倍前政権時代に安全保障法制などについて反対論や慎重論を唱えていました。政権にとって不都合だという判断で杉田和博官房副長官が外し、菅首相が追認した疑いが濃厚です。
 このほか、河井案里参院議員の公職選挙法違反事件での辞職、菅首相長男による違法接待疑惑、森喜朗五輪組織委員会会長の女性蔑視発言などの問題も生じました。これらについても真相の究明と責任の追及が必要です。

 総選挙・都議選で審判を

 以上に見たような政治動向の結節点となるのが、秋までには必ず実施される総選挙と7月の都議選です。菅首相は、五輪・パラリンピックを成功させ、その勢いで解散・総選挙に勝利するシナリオを描いていたと思われます。しかし、チャンスを見いだせないまま「自滅解散」に追い込まれるか、あるいはそれ以前に辞任させられる可能性もあります。
 今年は、政権交代が起きた2009年の麻生政権末期と似通っています。09年も9月に衆院議員の任期満了が迫り、7月の都議選で自民党が大敗し、8月に解散へと追い込まれて歴史的な惨敗を喫しました。
 しかも、09年以上に政権運営への批判は大きく、解散のチャンスを見出すことが難しくなっています。野党共闘に共産党が加わり市民との連携も強まるなど、主体的には09年以上に「草の根」での共闘が発展してきました。
 1人区や2人区での市民と野党の共闘が都議選でも生まれています。都民ファーストの会には以前のような勢いがなく、自民党も失地を回復する力はありません。立憲野党にとっては大きなチャンスです。
 7月の都議選で自公勢力に打撃を与えて解散・総選挙に追い込んでいくことができれば、政権交代を実現することは十分に可能です。そのためには、共産党を含めた政権合意を実現し、本気の共闘による明確な「受け皿」を提示しなければなりません。
 そして、こう言おうではありませんか。「オサラバだ 自公政権 もう時効」


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2月19日(金) 2021年の政治動向と国会をめぐる情勢―野党共闘で政治を変えるチャンス(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、婦人民主クラブの『婦民新聞』第1667号、2021年2月10日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 激動の時代

 従来の思考の枠組みが大きく転換(パラダイムシフト)する激動の時代が始まりました。世界と日本の歴史が大きく変わろうとしています。
 新型コロナウイルスの感染拡大によって、効率最優先でケアを軽視する新自由主義の脆弱性や開発を進めて環境を破壊する資本主義そのものの限界が明らかになりました。米大統領選挙でのトランプ落選とバイデン当選は右派ポピュリズムの敗北と民主主義の勝利を意味しています。
 ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動は人種差別の解消だけでなく奴隷貿易と植民地支配という近代史の見直しを迫りました。「#Me Too」運動もジェンダー平等に向けての不可逆的な流れを生み出しています。そして、核兵器禁止条約の発効によって「核なき世界」に向けての第一歩が踏み出されました。
 自民党はその全てに逆行しています。時代に取り残され、役割を終えたと言うしかありません、世界は音を立てて変わろうとしているのです。この流れに合流し、日本を変えることが今年の課題です。

 新型コロナウイルス対策の迷走

 地殻変動ともいえる情勢の下で、1月18日に通常国会が始まりました。そこには多くの難題が横たわっていますが、なかでも最大の課題は新型コロナウイルスの感染拡大に対する対応です。
 衆院予算委員会での審議で、菅首相が病床の逼迫について「国民が不安を感じている。責任者として大変申し訳ない」と陳謝したように、菅内閣のコロナ対策は後手に回り、迷走に次ぐ迷走でした。そうなった最大の要因は、コロナ対策に全力を傾けるのではなく、経済対策や五輪開催などの政治的思惑を優先してきたからです。
 今年度末までに使い切る第3次補正予算にしても、コロナ対策は2割の4兆円にすぎず、残りの15兆円は「Go To」事業や「国土強靭化」などです。野党がこれらの事業を撤回して医療機関や生活困窮者への支援に回すよう求めたのも当然でしょう。
 新型コロナウイルスに対応する特措法と感染症法の改定問題でも罰則の導入について与野党の対立が生じました。与党は修正協議に応じ、刑事罰の規定をなくして過料額を減らすこと、緊急事態宣言の前段階として設けられる「まん延防止等重点措置」に国会報告を義務付けることなどを受け入れました。
 このような修正がなされたのは当然ですが、そもそも修正を前提にした法案を出してきたことに問題があります。与党として「欠陥商品」を出してきたということですから。
 また、説得し理解を求める代わりに強制措置によって言うことを聞かせようというのも本末転倒です。菅首相のコミュニケーション能力の欠如と権力主義的な体質を如実に示しており、失政のツケを国民に払わせる愚策というほかありません。全ての罰則をなくし、補償を明記すべきでした。

 ワクチンと五輪

 新型コロナウイルス対策の重点は、今後、ワクチン接種に移っていくことになります。これについても難題山積です。
 緊急事態宣言がいつ解除できるのか、ワクチン接種が予定通り行き渡るのかが、夏の五輪開催に直結するでしょう。その成否が菅政権の命運を決めることにもなります。
 ワクチンについては感染症対策の切り札として期待が高まっていますが、安全性の確認と必要量の確保が難しいという問題があります。2月中旬に医療関係者への接種が始まり高齢者に接種できるのは「早くても4月1日以降」とされています。通常医療までひっ迫している人手不足の下で人員や場所が確保できるのか、マイナンバーに紐付けした新システムの導入などの準備が間に合うのか、事務量が増えて現場が混乱しないかなどの懸念も強まっています。
 政府がワクチン接種を焦っているのは、それなしには五輪・パラリンピックの開催が見通せないからです。しかし、世界の感染者が1億人を越えて収束の兆しが見えず、日本の感染状況も高止まりしています。安全でフェアな競技が可能でしょうか。早期に中止を決定し、全力で感染防止に取り組むべきではないでしょうか。

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2月18日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月18日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「長男の疑惑にも沈黙 菅政権が「透明性」を言うお笑い」

 16日の衆院本会議で武田総務相は「一日も早く調査を終え、処分を行い、関係法令に基づいて公表したい」と答弁。4人を処分して幕引きを図ろうという狙いだが、一連の流れは安倍前首相をめぐる森友疑惑とそっくりだ。
 公務員の秘書を従え全国を飛び回っていた昭恵夫人を「私人」と閣議決定し、野党が要求する国会招致を最後まで突っぱねた。体を張って政権を守った財務省の佐川宣寿理財局長(当時)などの幹部ら20人の処分発表でケリをつけようとしたものだ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「形式的な任命権しかない日本学術会議の会員候補については矩をこえて拒否した菅首相が組織委会長選出に『透明性』、長男をめぐる疑惑に『透明な形の対応』とはよく言ったものです。総務省の問題は国家公務員倫理規程抵触にとどまらず、口利きの疑いが色濃い。総理の家族であるという自らの立場、権力を利用している点では森友疑惑と全く同じ構図。違いがあるとしたら、『別人格』が閣議決定されていないことくらいでしょう。臭いものにフタをして7年8カ月もの安倍政権を官房長官として支え、アベ政治を引き継いだ菅首相はスキャンダルの体質まで継承している。その場しのぎでゴマカそうというやり口も全く同じです」

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2月13日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「もともと開催の資格なし 欺瞞の五輪にふさわしい断末魔」

 森の女性蔑視発言があぶり出したのは、日本の旧態依然とした男性社会の歪んだ感覚だ。既に世界のジェンダー意識が2回転ぐらいしている中、いまだ封建制をひきずり、ムラ社会の長老に異論を挟むのは決して許されない。こうした悪しき土壌の上で森発言は飛び出したのである。

 「トップの意向を忖度し『わきまえ』て、モノを言わずに従うのが美徳とされる。森発言を容認するような古い価値観に支配された日本の社会文化や組織の在り方が、国際社会に問われているのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 そもそも、安倍前首相が汚染水タレ流しの福島原発を「アンダーコントロール」と世界に大ウソをつき、裏金ワイロで招致を買い上げたとの疑惑も消えない。ウソとカネの力で五輪を招致した国には、もともと開催する資格などないのだ。

 前出の五十嵐仁氏が言う。

 「まさに泥にまみれた汚れた五輪です。招致成功以来、『そこのけ、そこのけ五輪が通る』で野放図に巨額の税金をつぎ込み、『復興五輪』とうたいながら、東日本大震災の被災地復興は後回しで足を引っ張った。アスリートファーストの理念も度外視し、安倍・菅両政権は政治的思惑を最優先。常に五輪を政権浮揚に利用し、安倍前首相は五輪開催と新憲法施行という自らの政治的野望と結び付け、恥じ入ることもない。IOCだって本音は儲け最優先です。だから、国立競技場の計画変更、エンブレムの盗作騒動など“呪われた五輪”でも無理を押し通し、揚げ句が『コロナがどういう形であろうと必ずやる』。この森会長の発言は恐らく自民党政権とIOCの共通認識でしょうが、もはや国際世論が許さないと思います」

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2月12日(金) 五輪組織委員会の森会長の辞任は当然だが根回しで高齢男性を後継に据えるのは大問題 [文化・スポーツ]

 とうとう居座ることができず、辞任することになったようです。東京五輪・パラリンピック組織員会の森喜朗会長のことです。
 自分で判断したのか、周りから引導を渡されたのかは不明ですが、辞任は当然で、遅すぎたくらいです。女性蔑視発言への批判や抗議の広がりによって「森」が大炎上し、家の「二階」にまで燃え移りそうになって、このままでは「ガス爆発」は避けられないと危機感を覚えたのでしょう。

 本来はもっと早く、このような発言が明らかになった段階で、身を引くべきでした。報道によれば、発言への批判を受けた直後に辞任する意向を固めていたにもかかわらず、遠藤利明副会長や武藤敏郎事務局長らの「組織委幹部から慰留され翻意」したそうです。
 「安倍晋三首相らからも電話があった」(『東京新聞』2月9日付)といいます。これがそもそもの大間違いだったのです。
 「金メダル級の女性蔑視」(国際人権団体)であったにもかかわらず、発言した本人にはその自覚が不十分で、周りには遺留するような人々ばかりだということが明らかになりました。それが放置されず、遅まきながら責任を取る形になったのは、日本にとっても五輪にとっても良いことだったと思います。

 その後継について「元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)で調整」というのも大きな問題です。またしても、84歳という高齢の男性が後任に選ばれようとしているからです。しかも、密室での根回しによって。
 今回の教訓を完全に生かそうとするのであれば、大会組織委員会の総意として森会長の責任を明らかにして解任し、後継にはもっと若い女性を選出するべきではないでしょうか。併せて、理事や評議員のメンバーも入れ替えて女性の割合を4割以上にするべきです。
 森会長に詰め腹を切らせるだけでは問題は解決しません。組織員会も日本社会も、このような蔑視や差別を認めずジェンダー平等へと舵を切る決意や方向性を具体的に示す必要があります。

 後任の選び方も問題です。川淵さんは森会長に「指名」され、二人で協議して後任を引き受けたようですが、そのような権限が森さんにあるのでしょうか。
 問題発言を引き起こして辞めていくのですから、後のことは残った人々に任せ、自分は口を出さないというのが、本来のあるべき姿でしょう。問題を引き起こして辞めざるを得なくなった前任者が後任を指名し、密室での根回しで事前に調整してガチンコ勝負での議論を避け、シャンシャン会合で追認するということで良いのでしょうか。
 このような組織運営のやり方も、今回のような蔑視発言を生んだ要因の一つだったと思われます。「わきまえない」女性が多くなると異論が出たり発言時間が長くなったりして「シャンシャン」で終わらず、このような組織運営に支障が出るという不満が森会長にあったのではないでしょうか。

 間もなく70歳を迎える私としては大変言いにくいことですが、高齢ドライバーはアクセルとブレーキの踏み間違いなどで事故を起こす確率が高くなるとして自主的な免許返納を求められているのが現状です。そのような国で、どうして80歳を超えた高齢者を国の重要なポストに付けるのでしょうか。
 辞めていく森会長も後任の川淵さんも、森さんを擁護した二階自民党幹事長も麻生副総理も、みな80歳以上の人たちばかりです。判断ミスによる失敗は国政などでは生じないと言い切れる根拠があるのでしょうか。

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