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6月19日(金) 小泉・竹中ラインと財界の反撃でひるんでしまった麻生首相 [首相]

 自民党や麻生内閣の支持率低下に大きく作用したと見られているのが、日本郵政の西川社長続投をめぐる軋轢であり、これに反対した鳩山総務相の辞任問題です。
 日本郵政の西川善文社長の進退についての世論調査は、次のようになっています。

共同:「辞任するべきだ」75.5%   「社長を続けるべきだ」17.2%

 また、鳩山前総務相を事実上更迭した麻生首相の対応については、次のようになっています。

共同:「評価しない」74.8%    「評価する」17.5% 
毎日:「評価しない」67%    「評価する」22%

 国民の圧倒的多数が、今回の麻生首相の対応に批判的だということが分かります。この問題が内閣支持率の急落と深く関わっているということは明らかでしょう。
 国民がこう考えている以上、それに応えて西川さんのクビを切れば、内閣支持率は急上昇したかもしれません。しかし、麻生さんはそうすることができませんでした。
 もともと、郵政民営化には反対だったという麻生さんです。なぜ、そうすることができなかったのでしょうか。

 それは、5月の段階で麻生さんがフリーハンドを奪われていたからです。5月18日の日本郵政の指名委員会によって、西川善文社長の続投が内定したためです。
 鳩山さんが暴露したように、麻生首相は西川続投には反対でした。郵政民営化に賛成ではなかったという麻生首相にしてみれば、西川さんを交代させるのは当然の選択であり、3月か4月の時点で、後任候補の名前を書いたリストを同封した手紙を鳩山さんに送ったのは、そのためです。
 しかし、このような動きをいち早く察知した竹中さんが小泉さんに注進し、小泉さんは、日本郵政社長の指名委員会に加わっている牛尾治朗、奥田碩、丹羽宇一郎の各委員に働きかけました。いずれも、経済財政諮問会議の民間議員として、小泉構造改革に協力した面々です。

 言うまでもなく、これらの人々は財界にも強い影響力を持っています。西川さんを辞めさせても後任は出さないということで財界をまとめることはたやすかったでしょう。
 こうして、西川社長の続投が内定した5月の指名委員会の時点で、麻生さんは財界によってフリーハンドを奪われたのです。財界から後任が出なければ官僚OBに頼るしかありませんが、そうすれば改革の後退という批判を浴び、小泉残党による「麻生おろし」が始まったでしょう。
 窮した麻生さんは方針を転換しました。麻生さんの心変わりによって鳩山さんは取り残されてしまい、結局、「正義」の旗を掲げて自爆覚悟で突進せざるを得なくなったというわけです。

 郵政民営化についても反転の必要性は明らかであり、本人もその意向であったにもかかわらず、小泉・竹中ラインと財界の反撃にあってひるんでしまったのが麻生首相です。首相の意を汲んで最後まで突っ張り、2階に上がってハシゴを外された格好になった鳩山さんに比べて、麻生さんの意気地のなさ、指導力の欠如は際だっています。

 トップが愚かでブレてばかりいると、部下が苦労するという典型例ではないでしょうか。その経緯をじっくりと目撃していたのですから、国民の7割が麻生首相の対応を「評価しない」というのも当然でしょう。