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7月19日(木) 参院選ではずさんな原発行政の責任も問われるべきだ [社会]

 新潟の姉から送ってもらった野菜は大丈夫なのでしょうか。空気中に飛散した放射能に汚染されていたなどということはないのでしょうか。
 新潟県中越沖地震にともなう柏崎刈羽原発のトラブルについて、新たな事実が次々に明らかになっています。東京電力の隠蔽体質やトラブル隠しは、もう過去のものとなったはずなのですが……。

 柏崎市の会田洋市長は柏崎刈羽原発で火災や微量の放射能漏れなどが相次いだ問題で、東京電力に対して消防法に基づく緊急使用停止命令を出しました。当然でしょう。
 このままでは、安全面で大きな不安が残ります。被害やトラブルの実体についても、全てが正直に報告されているかどうか、怪しいものです。
 できるだけ事故を小さく見せようとする意図はないのでしょうか。事故やトラブルについての情報操作などがあってはなりません。

 今回の地震によって、6号機から放射性物質を含む水が海に流出したことが分かっています。当初、その放射能量は6万ベクレルと算出されていましたが、実際には1.5倍の9万ベクレルだったとことが、その後、判明しました。
 東京電力は「単純な計算ミスで申し訳ない。国の安全基準を下回っており、安全性に問題はない」と説明しているそうです。
 本当に、「単純な計算ミス」だったのでしょうか。「安全性に問題はない」ことを強調したいがための作為だったのではないでしょうか。

 また、今回の地震を引き起こした断層が原発の直下まで延びている可能性のあることが、気象庁などの分析で分かりました。原発は事前に断層を見つけることを前提に建設されているのに、今まで分からなかったというのは事前の調査自体に問題があったことを意味しています。
 東京電力は柏崎刈羽原発の耐震性再評価のために昨年10月~今年4月、原発周辺の地質再調査を実施していますが、海底の断層については改めて調べていません。その結果、このときも、中越沖地震を引き起こした断層を発見できなかったのです。
 今回の地震があって、初めて東電周辺海域の地質調査をすることになったそうです。以前に見つけていながら耐震設計の評価から外していた海底断層を含め、原発を中心に沿岸60キロ、沖合30キロまでを改めて調査するそうですが、まさに“泥縄”そのものではありませんか。

 さらに、3号機の建屋脇の変圧器で発生した火災は、地震で周辺の地盤が沈下し、電気を流す銅帯が金属と接触したために発生した可能性が高いことが分かりました。この地盤沈下も想定外だったようです。
 それだけではありません。このような火災に対する消火体制の不備については以前から指摘されていたのに、対応していなかったことも明らかになりました。
 昨日の夜のテレビ朝日の番組で、共産党の志位和夫委員長は「2年前に国際原子力機関(IAEA)から『火災消火の専門部隊をつくり、訓練すべき』と言われ、政府も約束した。その部隊がないのは勧告無視で、政府の責任問題だ」と批判しました。IAEAは04年11月に調査団を派遣し、報告書で改善すべき点などを指摘していたのに、無視されていたわけです。

 消火体制がないということは、このような火災が起きることが、そもそも想定されていなかったということです。それは国際的に見れば全く非常識で、だから、IAEAは改善すべきだと指摘していたのでしょう。
 このときの勧告が守られていれば、今回のように、消防車が到着するまで1時間もかかり、鎮火するまで原発の施設が2時間も燃え続けるなどということはあり得なかったはずです。消火作業にはたった4人の人間しか当たらず、破損して出の悪くなった水をチョロチョロかけるだけで化学消化剤も無かったなんて、信じられません。

 年金記録の問題に続いて、原発行政の面でも、政府・与党の怠慢が明らかになったというわけです。今度の参院選では、このような政府・与党の監督責任もまた、問われなければならないでしょう。