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10月31日(土) 松川事件60周年全国集会に当たっての挨拶 [挨拶]

 これから生協労連・第2回生協政策研究集会での講演のために、渋谷に向かいます。その後、大急ぎで品川から新幹線に飛び乗り、社会政策学会が開かれている名古屋の金城学院大学に行く予定です。

 このところ、フォーラムや展示会でのあいさつが続いております。その前に、10月17~18日の松川事件60周年記念全国集会でもあいさつしました。
 この集会の模様は新聞で報じられ、このブログでも紹介しています。当初の予想を数倍上回る1200人もの方が詰めかけ、大成功を収めました。
 私のあいさつは、初日の最後に行われたものです。何故かプログラムに記載されていませんでしたので、私の方から申し出て行ったあいさつです。

 少し遅くなりましたが、ここにアップさせていただきます。

松川事件60周年全国集会に当たっての挨拶

 松川事件60周年全国集会に当たり、法政大学大原社会問題研究所を代表して、ひと言ご挨拶させていただきます。
 最後に登壇しましたが、「真打ち」というわけではありません。私がここに登場いたしましたのは、私どもの研究所が松川事件の裁判資料を所蔵しているからでございます。この集会に、5人の被告の方が参加されているということですが、ぜひ、時間を取って、一度研究所の資料をご覧になっていただきたいと思います。
 松川事件は、同じ頃発生しました下山事件・三鷹事件とならんで、戦後の社会・労働運動史におきましてもきわめて注目すべき、謀略色の濃い事件でした。伊部先生が書かれた『松川裁判から、いま何を学ぶか』というご本の副題にありますように、戦後最大のえん罪事件でもありました。
 しかし、14年間にわたる裁判と救援活動の結果、被疑者全員の無実が確定するという、戦後の裁判運動史上、画期的な成果を上げました。これは、被疑者の無罪を信じ、その救援のために力を尽くされた多くの名もなき人々の努力のたまものであり、正義と人道、基本的人権の擁護と民主主義のために戦い続けてきた戦後社会運動における金字塔の一つであります。
 大原社会問題研究所は、この松川裁判関係の資料を所蔵・保存して閲覧に供し、事件に関心を持たれる多くの運動関係者や研究者の便宜を図ってまいりました。これらの資料は、これも伊部先生のご著書でのご指摘通り、「いわば既存の資料(集積済みの)資料の移管と保存を特徴」としておりまして、松川事件の責任追及のための全国連絡会議代表世話人会議が所有していた裁判資料を、1971年4月23日に結ばれました契約によって、当研究所の所有するところとなったものです。
 このような当研究所の資料とは異なって、福島大学松川資料室によって収集・保存されている松川関係資料は、松川運動の力によって探索され、収集されたものであり、資料収集自体が一つの運動であったと言うべきでしょう。
 このような形で収集された福島大学松川資料室の資料は、当研究所所蔵の資料と双璧をなすものであり、互いに補い合うものであると思います。今後とも力を合わせて、松川事件の風化を防ぐと共にその真相を伝え、二度と再び、このようないまわしい事件が起きないよう、基本的人権と民主主義が守られる社会の実現のために力を尽くす所存でございます。
 かかる決意を表明いたしまして、松川事件60周年全国集会に当たってのあいさつに代えさせていただきます。