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12月5日(土) 韓国のテレビ局からの取材と研究会での報告・懇親と  [日常]

 昨日の昼過ぎ、韓国の毎日経済放送(MBN)テレビのクルーが研究所にやってきました。日本と韓国の労使関係や労働運動について意見を聞きたいというわけです。
 先週の金曜日、韓国聖公会大学労働史研究所の所長をされている李鐘九さんが、たまたま大原社会問題研究所に来られていました。李さんにこの取材について話しましたら、「複数組合の問題と労働組合専従への企業からの給与支払いについて聞かれますよ」と仰っていました。

 クルーは、カメラマンを兼ねたディレクターと助手、それに通訳兼コーディネイターの3人です。この通訳の方も李さんですが、「私は、法政大学の出身なんですよ」と仰います。
 社会学部の土生ゼミに所属していて、10年ほど前に卒業されたのだそうです。「そうすると、この多摩キャンパスに通われていたのですか」「そうです」
 ということで、同じ多摩キャンパス出身の卒業生から、1時間半ほどのインタビューを受けることになりました。その後、研究所が所蔵している写真や資料など、興味深そうに撮影して帰りました。

 インタビューの中では、李所長が仰っていたように、複数組合の問題と労働組合の専従への企業からの給与支払いについても聞かれました。私の答えは、次のようなものです。
 「労働組合は、通常、一つの事業所や企業内に複数存在するもので、日本や韓国などのように一企業一組合となっているのは、労働組合が公認されて一斉に結成されるというような特殊な歴史的条件によるものです。企業内に複数の組合の存在を認めなければ、現在韓国で行われている大産別化が進んでも、企業主義を克服することは難しいでしょう」
 「労働組合にとっては、自主性の確立は極めて重要で、企業はもとより政府や政党などに従属することは避けなければなりません。資金的に自立することはその第一歩でしょう。自分たちの組織ですから、自分たちで支えるというのは当然ではないでしょうか」

 このインタビューの後、夕方からは新宿にある管理職ユニオンの事務所に向かいました。社会的労働運動研究会で報告するためです。
 事務所に入ったら、NPO派遣労働ネットワーク理事で東京ユニオン執行委員の高井晃さんがこちらを向いて、「イヤー、済みません。みんな王城に行ってしまって、往生してますわ」と仰います。高井さんは、以前、大原社会問題研究所の研究プロジェクトで報告していただき、逆に、今回の報告を私に頼んできた方です。
 「ああ、王城ですか。サウナですか」「争議支援です」

 「王城」というのは、上野駅浅草口駅前にあるサウナやカプセルホテルのある施設です。経営者が一方的に事業所閉鎖と従業員の解雇を発表し、電気やガスを止められそうになりましたが、従業員が争議に立ち上がって自主営業を行っています。
 「去年は京浜ホテルで今年は王城。年の暮れだというのに、大忙しですわ」
 ということで、皆さんも是非、争議支援の入浴にお出かけ下さい。上野駅を見下ろす展望風呂があり、営業は午後5時~午前10時だそうです。

 それでも、研究会には20人ほどの方が出席されましたでしょうか。組合関係者が争議支援で出払っていたからかもしれませんが、NHKやテレビ朝日、連合通信などのマスコミ関係者が目立ちました。
 報告で私は、社会的労働運動やユニオン運動の「援軍」として、マスコミの変化や労働記者の再登場を指摘しました。この日の参加状況自体が、このような変化を実感させられるものだったと言えるでしょう。

 研究会が終わってから、近くの飲み屋で一杯、ご馳走になりました。出てきた焼酎のボトルには管理職ユニオン書記長の設楽清嗣さんの名前が書いてあります。
 お馴染みの店というわけです。同席したのは、高井さん、設楽さん、全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン)会長の鴨桃代さんなど、新聞報道でも名前を見かけるお馴染みの方々で、後から派遣ユニオン書記長の関根秀一郎さんも顔を出しました。
 連合会長選挙への鴨さんの立候補、派遣法改正をめぐる現状、年越し派遣村の顛末、キャバクラ嬢による労働組合結成の背景、先日行われたワンストップ・サービスの舞台裏、菅副総理の発言や動向、普天間基地移設問題での福島発言の経緯などなど、興味津々の裏話を沢山聞かせていただきました。私の報告より、こちらの話の方が面白かったんじゃないでしょうか。

 湯浅誠さんが内閣府の参与に決まったときの話も出ました。マスコミが、盛んに探りを入れてきたんだそうです。
 俗に言うスキャンダル探しです。今でも、身辺をカギ回っているといいます。大変ですね、湯浅さんも……。
 でも、「彼はきっちりしているから、何も出てこないよ」と、皆さん異口同音に仰っていました。「設楽さん、あなたがそう言うから、かえって裏があるんじゃないかと疑われるんじゃないの」

 誰かがこう言って、一同、大爆笑です。帰宅が午前1時近くになりましたが、楽しい夜でした。