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7月20日(金)  『朝日新聞』調査も与党の過半数割れを予測 [参院選]

 何という、希望のもてる報道でしょうか。今日の『朝日新聞』朝刊の一面に掲載された「自公、過半数割れも 1人区で自民不振 参院選情勢調査」という記事のことです。

 この記事に付いている表を見ると、自民党の獲得議席は33~41~47、公明党は6~10~13となっています。つまり、最大でも、自民党は47で公明党は13ですから、合計60議席にしかなりません。過半数維持のための64議席には届かないということになります。
 「自公、過半数割れも」ではなく、本当は「自公、過半数割れ確実」という予測になっています。衝撃の大きさを考えて、『朝日新聞』は見出しを抑え気味にしたのでしょう。
 これに対して、民主党は50~57~63、共産党は2~4~7、社民党は1~2~3、国民新党は0~1~2、日本新党は0~1、諸派0、無所属4~6~8と予測されています。反与党の「風」は野党全体に吹いているというわけではなく、民主党に集中されているようです。

 この調査は、7月17~18日、全国の有権者を対象に電話で実施されました。ここから、興味深い事実が分かります。
 第1に、ここで示された基本的な傾向は、7月14~16日に実施された『読売新聞』の調査とほとんど変わっていないという点です。今回の参院選における与党過半数割れというトレンドは選挙戦が続く中でも基本的に変化していず、わざわざ投票日を1週間遅らせた効果は生まれていません。
 第2に、この調査は7月16日(月)の新潟県中越沖地震の後に実施されたものですが、地震の影響をうかがうことはできないという点です。一般に、大災害の勃発は政府・与党に有利になるとされ、それによる「潮目の変化」を期待する声もありました。安倍首相もそれを狙って地震発生当日に被災地入りするというパフォーマンスを演じたわけですが、空振りに終わったということになります。
 第3に、『読売新聞』が「与党過半数割れも、民主第1党の勢い」と報じ、『朝日新聞』も「自公、過半数割れも」と伝えたという点です。政府との距離や政治的立場が異なると見られている両紙が、調査時点が異なるにもかかわらず、ほとんど同じような結果となったわけで、その信憑性は高いということになります。

 今回の調査結果について、『朝日新聞』は「投票態度を明らかにしない人が選挙区で約5割、比例区で約3割おり、状況はまだ流動的だ」とし、「本社は来週、今回と同規模の終盤調査を実施する」と予告しています。
 しかし、この傾向は変わらないのではないでしょうか。自民党の劣勢は、時間が経てば経つほど強まるように思われます。
 というのは、「今回の参院選の大きな特徴は、有権者の関心が非常に高く、投票率が上がりそうな点だ」とされているからです。今日の『朝日新聞』の2面にある「投票率60%近い可能性」という記事に、そう書かれていました。

 この記事によれば、選挙に「大いに関心がある」という回答は43%で、「この質問を始めた95年以降、参院選に限ると最も高い」といいます。また、投票に「必ず行く」は73%で、「できれば行きたい」20%と合わせれば「93%が投票への意欲を示した」そうです。
 投票率が56.57%となった前回04年参院選で「必ず行く」は71%だったといいますから、これを2ポイント上回っています。つまり、投票率は前回を超える可能性が高いということです。
 私は7月18日のブログ「自民惨敗を予感させる『読売新聞』情勢調査」で、「おそらく、投票率が40%台であれば自民党は40議席台後半、50%台であれば40議席台前半、60%を超えれば30議席台になるのではないでしょうか」と書きました。もし、投票率が60%近くなるとすれば、自民党は「30議席台」に近づくということになります。

 しかも、このような関心の高さや高投票率の影響について、この記事は「自民に不利な要素が随所に見られる」と指摘しています。たとえば、「大いに関心がある」は民主支持層で62%なのに自民支持層では43%しかない、年金問題を「大いに重視する」人は40%で参院選にも「大いに関心がある」53%と高い、「大いに関心」が50代以上では50~60%と多いのに、05年総選挙で自民党勝利に貢献したと見られる20代では17%と際立って少ない、などの点です。
 つまり、「野党支持層を中心に選挙への関心が高ま」っているというのです。「自民に不吉な影が忍び寄る」というのが、この記事の結論でした。

 このような報道について、『週刊新潮』のように、「『安倍憎し』に燃える朝日」だから信用できない、「異様すぎる選挙報道」を行っているにちがいないと考える方がおられるかもしれません。しかし、そんなことはないのです。『読売新聞』の調査でも、同じような結果が出ているのですから……。
 読売新聞社は7月18日、インターネット利用者1000人を対象に実施した第5回参院選ネットモニター調査をまとめました。その結果もまた、「参院選に関心が高い人は民主に投票傾向」というものです。
 特に、「非常に関心がある」「必ず行く」と回答した人では、民主党への投票割合が自民党の2倍に達していました。参院選について「非常に関心がある」と答えた人は72%で6月中旬の第1回調査と比べて13ポイントも上昇し、「非常に関心がある」と答えた人の比例区の投票先は、民主45%、自民22%、公明、共産が各4%、社民、国民新、新党日本が各2%、投票に「必ず行く」が77%で、その投票先は、民主43%、自民21%、公明5%、共産4%、社民、国民新、新党日本が各2%となっています。

 このように、朝日新聞調査も読売新聞調査も、同じような傾向を示しています。このような傾向を、どう理解したらよいのでしょうか。
 『朝日新聞』の先の記事は、「今年は参院選と統一地方選が12年ごとに同じ年に行われる『亥年』。この年は政党の地方組織が春の地方選で疲れ、夏の参院選の投票率が低くなるといわれている。……それが今回はすっかり様変わりした形だ」と書いています。しかし、私は、決して「様変わり」していないと思います。
 というのは、「地方組織が春の地方選で疲れ」るのは自民党についてであり、「夏の参院選の投票率が低くなる」のも、主として保守系の場合だからです。この低投票率のあおりを受けるのは自民党ですから、したがって、苦戦するのも自民党でした。

 今回の参院選でも、自民党支持層についていえば、選挙への関心も投票意欲も高くはありません。先に紹介した朝日新聞調査では、選挙に「大いに関心がある」は自民党支持層で43%しかなく、民主支持層の62%より20ポイントも低くなっています。
 また、読売新聞調査では、選挙に「非常に関心がある」と答えた人の比例区の投票先は、自民が22%で、民主45%の半分以下です。投票に「必ず行く」という人の投票先も、自民は21%で、民主43%の半分以下になっています。
 これは選挙への関心が高い人や投票に必ず行く人の中での民主党支持が高いということではなく、民主党を支持している人々が選挙への関心を高め、投票に強い意欲を持っているということなのではないでしょうか。つまり、自民党支持者については、やはり「亥年現象」は生きており、参院選への関心も投票意欲も高くはありませんが、民主党などの野党支持者については、このような現象は見られず、それが全体としての投票率の上昇や野党への支持増大に結びついているということだと思われます。

 ただし、選挙の事前調査には「アナウンスメント効果」と言われるものがあります。「当選確実」と言われれば、「自分くらい入れなくても大丈夫だろう」と考え、「あと一歩」と報道されれば、「応援してやろう」という心理が生まれるものです。
 有権者の心理としては、自分の票を有効に活用したいと思うからでしょう。その心理はよく分かります。
 「与党が苦戦している」と言われれば、「あまりお灸を据えても」と思うかもしれません。「野党が有利だ」とされれば、「自分が投票しなくても」と考えるかもしれません。

 しかし、「水に落ちた犬を打て」という魯迅の言葉があります。仏心を起こして手加減すれば、後で手痛いしっぺ返しを食らうかもしれません。
 手を抜いてはなりません。まだ、実際に「水に落ちる」かどうかさえ、分からないのですから……。
 ここで手を抜いたら、また噛みつかれるかもしれません。89年の参院選や98年の参院選で自民党は手痛い「お灸」を据えられたはずなのに、その後もほとんど反省せず、このような日本を作ってしまったのですから……。

 ということで、明後日の22日(日)、私は期日前投票に行くことにします。政府・与党の思惑によって29日(日)とされた投票日の党略的延長を認めたくないからです。
 それに、新潟県中越沖地震で期日前投票のための投票所が一部閉鎖されたように、この1週間、何があるか分かりません。今回の選挙だけは、何があっても、私のこの1票を無駄にしたくありませんから……。


7月19日(木) 参院選ではずさんな原発行政の責任も問われるべきだ [社会]

 新潟の姉から送ってもらった野菜は大丈夫なのでしょうか。空気中に飛散した放射能に汚染されていたなどということはないのでしょうか。
 新潟県中越沖地震にともなう柏崎刈羽原発のトラブルについて、新たな事実が次々に明らかになっています。東京電力の隠蔽体質やトラブル隠しは、もう過去のものとなったはずなのですが……。

 柏崎市の会田洋市長は柏崎刈羽原発で火災や微量の放射能漏れなどが相次いだ問題で、東京電力に対して消防法に基づく緊急使用停止命令を出しました。当然でしょう。
 このままでは、安全面で大きな不安が残ります。被害やトラブルの実体についても、全てが正直に報告されているかどうか、怪しいものです。
 できるだけ事故を小さく見せようとする意図はないのでしょうか。事故やトラブルについての情報操作などがあってはなりません。

 今回の地震によって、6号機から放射性物質を含む水が海に流出したことが分かっています。当初、その放射能量は6万ベクレルと算出されていましたが、実際には1.5倍の9万ベクレルだったとことが、その後、判明しました。
 東京電力は「単純な計算ミスで申し訳ない。国の安全基準を下回っており、安全性に問題はない」と説明しているそうです。
 本当に、「単純な計算ミス」だったのでしょうか。「安全性に問題はない」ことを強調したいがための作為だったのではないでしょうか。

 また、今回の地震を引き起こした断層が原発の直下まで延びている可能性のあることが、気象庁などの分析で分かりました。原発は事前に断層を見つけることを前提に建設されているのに、今まで分からなかったというのは事前の調査自体に問題があったことを意味しています。
 東京電力は柏崎刈羽原発の耐震性再評価のために昨年10月~今年4月、原発周辺の地質再調査を実施していますが、海底の断層については改めて調べていません。その結果、このときも、中越沖地震を引き起こした断層を発見できなかったのです。
 今回の地震があって、初めて東電周辺海域の地質調査をすることになったそうです。以前に見つけていながら耐震設計の評価から外していた海底断層を含め、原発を中心に沿岸60キロ、沖合30キロまでを改めて調査するそうですが、まさに“泥縄”そのものではありませんか。

 さらに、3号機の建屋脇の変圧器で発生した火災は、地震で周辺の地盤が沈下し、電気を流す銅帯が金属と接触したために発生した可能性が高いことが分かりました。この地盤沈下も想定外だったようです。
 それだけではありません。このような火災に対する消火体制の不備については以前から指摘されていたのに、対応していなかったことも明らかになりました。
 昨日の夜のテレビ朝日の番組で、共産党の志位和夫委員長は「2年前に国際原子力機関(IAEA)から『火災消火の専門部隊をつくり、訓練すべき』と言われ、政府も約束した。その部隊がないのは勧告無視で、政府の責任問題だ」と批判しました。IAEAは04年11月に調査団を派遣し、報告書で改善すべき点などを指摘していたのに、無視されていたわけです。

 消火体制がないということは、このような火災が起きることが、そもそも想定されていなかったということです。それは国際的に見れば全く非常識で、だから、IAEAは改善すべきだと指摘していたのでしょう。
 このときの勧告が守られていれば、今回のように、消防車が到着するまで1時間もかかり、鎮火するまで原発の施設が2時間も燃え続けるなどということはあり得なかったはずです。消火作業にはたった4人の人間しか当たらず、破損して出の悪くなった水をチョロチョロかけるだけで化学消化剤も無かったなんて、信じられません。

 年金記録の問題に続いて、原発行政の面でも、政府・与党の怠慢が明らかになったというわけです。今度の参院選では、このような政府・与党の監督責任もまた、問われなければならないでしょう。


7月18日(水) 自民惨敗を予感させる『読売新聞』情勢調査 [参院選]

 参院選も公示から1週間が経ち、次第に選挙情勢が明らかになってきています。今日の『読売新聞』は、序盤の情勢についての世論調査の結果を報じました。

 「与党過半数割れも、民主第1党の勢い…参院選・読売調査」というこの記事は、7月14~16日に電話で実施したもので、回答率62.4%です。各選挙区の情勢については総支局の取材結果も加えられているそうです。
 これによれば、自民党は選挙区選で苦戦し、比例選でも勢いに欠け、公明党も伸び悩み、「与党は参院で過半数ラインの122議席を維持できない可能性が強い」といいます。3面には、「与党の過半数割れは避けられない。負けをいかに食い止めるかだ」という「自民党幹部」の言葉も紹介されています。
 このような情勢は、予想されたとおりのものです。すでに、公示日のブログで、私は次のように書きました。

 今回の選挙では、与党が過半数を維持できるかどうかが注目されています。しかし、真の注目点は、もはやそこにはありません。
 現在の情勢では、与党が過半数を下回ることは確実です。真の注目点は、与党の敗北ではなく、どれほど負けるかという点にあります。

 今回の『読売新聞』の情勢調査は、この指摘を裏付けたにすぎません。与党の過半数割れは確実だと言って良いでしょう。
 選挙区選で、自民党は29の1人区のうち、「群馬と山口で優位に戦いを進めている。だが、東北や四国、九州の全域など、これまで固い支持基盤を誇っていた地域で、民主党に競り負けるか、激しく追い上げられている」といいます。「14勝13敗だった3年前の参院選よりも苦しい展開」とされていますが、3面の詳報を見ると、最悪の場合、2勝27敗になる可能性があります。
 2人区、3人区では、自民党はそれぞれ1議席を確保する情勢だといいますが、「5人区の東京では2議席目を無所属候補や共産党候補と競り合っている」ようです。多分、当選は難しいでしょう。

 というのは、アナウンサー出身のこの候補は、米国から04年6月に帰国した後も今年4月20日まで転入届を提出せず、参院選の投票資格がないという驚くべき失態が明らかになったからです。自分の1票すら有効に生かすことができないような人が、他の人の1票をお願いできるのでしょうか。
 過去3年間、総選挙や都知事選などでも投票していなかったということになります。テレビのアナウンサーですから、「みなさん、選挙では投票に行きましょうね」と呼びかけることもあったでしょう。しかし、ご自分は行っていなかったということになります。
 また、住民登録をしていなかったということは、住民税を払っていなかった疑いがあるということです。もしそうなら、住民税の増税に対する有権者の怒りなど、理解できるはずがありません。

 話を元に戻しますが、自民党は比例区でも伸び悩んでいます。『読売新聞』は、「自民党は過去最低だった98年の14議席を下回ることもあり得る」というのですから、驚きです。
 このように、選挙区と比例区の両方で自民党は大苦戦しています。「このまま自民党が逆風をはね返せなければ、選挙区選と比例選の合計で40台前半となる可能性が高い」というのが、『読売新聞』の予想です。
 「40台前半」というのは、橋本首相が退陣した89年参院選のときの44議席を下回るということです。これは、暗黙のうちに安倍首相の“責任ライン”とされているものですが、『読売新聞』の予測では、それを下回る「可能性が高い」というのです。

 1面の「政党別の予想獲得議席」のグラフを見ると、自民党の赤い線は35議席くらいのところから薄くなっていて、50議席に届いていません。最悪の場合、35議席になるのではないでしょうか。
 選挙区の29ある1人区で3議席、12ある2人区で12議席、5つある3人区で5議席、東京の5人区で1議席の合計21議席、それに比例区で14議席、合わせて35議席というのが、この時点で考えられる最低ラインでしょう。
 同時に発表された安倍内閣の支持率は27.9%と3割を下回り、不支持率は51.7%と過半数を超えています。参院選の最中での内閣支持率、不支持率としては、過去最悪を更新しました。

 また、『日経新聞』が7月13~17日に実施した参院選に関する第3回ネット調査でも、民主と自民の差はさらに広がっています。比例代表の投票先は1週間前の前回調査で「自民に投票」とした人のうち、今回は8%が「民主に投票」と態度を変えましたが、民主から自民に流れたのは1%だけです。
 第1回調査からの変化では、当初は「わからない」と回答した人のうち「民主」に決めたのは22%で、「自民」に決めた8%を大きく上回っています。公示後も、自民党への逆風は収まっていないということになります。

 このような傾向が実際に投票結果として表れるかどうかは、投票率に大きく関わっています。投票率が高くなれば野党に、低くなれば与党に有利に働くものと思われます。
 おそらく、投票率が40%台であれば自民党は40議席台後半、50%台であれば40議席台前半、60%を超えれば30議席台になるのではないでしょうか。今度の参院選の投票率は、上がるのでしょうか、下がるのでしょうか。

 この点で注目されるのは、期日前投票の出足です。13~15日分の総務省の中間発表では、投票者総数(選挙区)は68万3046で、前回04年に比べて10.46%増えているといいます。
 中間発表の投票者数は32都道県で前回を上回り、しかも、投票者数が2倍以上になったのは、青森、山形、群馬、富山で、いずれも1人区だという点が注目されます。
 選挙への関心も高く、期日前投票も順調のようです。前回の04年参院選の投票率(選挙区)56.57%を超えるのではないでしょうか。

 なお、昨日、安倍首相は予定していた沖縄での参院選遊説をすべてキャンセルし、首相官邸で新潟県中越沖地震への対応にあたりました。自ら陣頭指揮にあたる首相の姿をアピールしたいということなのでしょう。
 キャンセルされた沖縄は、不人気な安倍首相が来なくてホッとしていたのではないでしょうか。このまま首相官邸にとどまっていて欲しいと、自民党の候補者の多くが思っていたかもしれません。

 ところが、安倍首相は今日になって、福岡・天神と北九州市で街頭演説を行いました。午後は大分県で演説し、明日は宮崎、鹿児島両県へ向かうそうです。
 このときの様子について、『朝日新聞』夕刊は、次のように伝えています。安倍首相の不人気は、相変わらずのようです。

 今回の選挙で首相の福岡入りは初めて。ある自民市議は05年総選挙で小泉前首相が来援した時の聴衆と比べて「5分の1だ」。首相の演説後は同行した公明の比例区候補へのコールが起きた。


7月17日(火) 原発に依存する生活からの脱却は急務 [社会]

 新潟から荷物が届きました。本来なら救援物資を送るべきところですが、逆に、姉から野菜を送ってきたのです。
 昨日の朝、地震が起きる前に荷造りしたそうです。新潟方面への物資輸送は混雑しているかもしれませんが、新潟からの荷物は普通に届くということが確認できました。

 このように、私は兼業農家である実家の姉から、ときどき野菜を送ってもらっています。新潟の新鮮な野菜は、こちらで売られているものとひと味違うからです。
 その野菜が、放射能に汚染されるなどということがあっては困ります。柏崎には原子力発電所があり、今回の地震によって、多くの問題点が明らかになったからです。
 柏崎刈羽原子力発電所ができるとき、地震による破損や大事故の恐れが指摘されました。今回の新潟県中越沖地震によって、その可能性が皆無ではないことが証明されたといって良いでしょう。

 今回の地震を引き起こした活断層は見落とされていました。震源は原発から北へ約19キロ離れた海底活断層とみられていますが、設計時には見つけられなかったものです。
 原子炉などの重要機器について、耐震設計では原発の敷地から10キロ以内に震源を持つマグニチュード(M)6.5の地震を想定していましたが、今回はこれを上回るM6.8でした。
 経済産業省原子力安全・保安院によると、1号機の地下5階に設置された地震計で東西方向に680ガルの揺れを観測しました。これは、原子炉など重要機器の設計で想定する273ガルを大きく上回っています。

 3号機建屋わきの変圧器で火災が起こり、黒煙や炎はテレビの画面にも映りました。発電所には自主防災組織がありますが、初期消火にあたったのは職員や作業員ら4人だけで、自主防災体制が十分には機能しませんでした。
 結局、自力では消火することができず、消防署に連絡したものの、地元消防本部は市内各所からの救助要請への対応に追われていました。途中の渋滞もあって、消防車が原発に到着したのは、1時間以上たってからです。

 また、6号機では、使用済み燃料プールの水があふれ、施設内の排水溝を通じて海に流れ出ていたことが判明しました。水は微量の放射性物質を含んでおり、放射性物質が原発の外部に漏れたのは過去に例がないそうです。しかも、経産省へ報告したのは発見から6時間も経ってからでした。
 固体廃棄物貯蔵庫では、交換した配管や汚染した手袋などの低レベル放射性廃棄物を納めたドラム缶約100本が転倒し、数本はふたが開いていました。床の汚染状況を調べた結果、17か所のうち1か所で微量の放射能が確認されています。ドラム缶は全部で2万2000本あり、これからも転倒数は増えるでしょう。

 さらに、空中へも放射能が漏れた可能性があります。主排気筒の排気サンプリング装置の試料を分析した結果、7号機では放射性のヨウ素、クロム、コバルトが検出されたからです。地上濃度は法令の規制値以下だったとされていますが、どれだけの放射能が漏れだしたかは分かりません。
 このほか、建屋と主排気筒をつなぐ排気ダクトがずれるなど、地震の影響とみられる50件のトラブルが全7基で確認されています。まだ、これからも増えていくでしょう。

 これらの事実は、原子力発電所の危険性をはっきりと物語っています。一つ間違えば、大災害を引き起こす可能性がありました。
 今回の地震は、事前の想定を越えるものであり、実際に起きた事態も、事前には想定されていたものではありません。報告は正しいのか、全て正直に報告されているのか、という疑問も残ります。
 これまでも、東京電力は数々の事故を隠してきました。その隠蔽体質からして、今回もまた同様の事故隠しがあるかもしれません。全貌を明らかにして、対策を急ぐべきです。

 そもそも、このような場所に、どうしてこのような原子力発電所を建設したのでしょうか。地震が起こった場所は「新潟―神戸ひずみ集中帯」とも呼ばれ、阪神大震災をはじめとする地震が、相次いで起こっている場所だというのに……。
 3月の能登半島地震でも志賀原子力発電所が耐震設計上の想定の2倍近くに達する揺れを記録しました。ここも「新潟―神戸ひずみ集中帯」に含まれています。
 福井県の敦賀原発や高浜原発、美浜原発、大飯原発も、この範囲に含まれています。「ひずみ集中帯」が“地震の巣”であるとすれば、その上に原子力発電所が並んでいるというわけです。何ということでしょうか。

 原子力発電に依存する生活からの脱却は急務です。少なくとも、今ある施設については、耐震強度と防災体制の強化を図る必要があるでしょう。
 そして、いずれは原子力発電所の稼働停止へと進んでいかなければなりません。このような危険な施設への依存から脱却することは、地震列島・日本の宿命なのではないでしょうか。


7月16日(月) 自民党を悩ます「安倍効果」 [参院選]

 午前10時過ぎ、新潟県上・中越地方で大きな地震があり、長岡市小国町や柏崎市西山町で震度6強を観測しました。震源の深さは約17キロ。地震の規模はマグニチュード6.8だそうです。
 私のふる里・上越市頸城区は震度5強でしたが、幸い、実家周辺では断水した程度で、ほとんど被害はありませんでした。それでも、外を歩いていた姉は、あまりに大きな揺れに立っていることができず、しゃがみ込んでしまったそうです。
 被災された方に、お見舞い申し上げます。1日も早い復旧を願っています。

 この地震では、7人が死亡し、約700人が病院で手当てを受けています。全壊した家屋は306棟に上るといいます。
 長崎に遊説に出かけていた安倍首相は、急遽、首相官邸に戻り、被災した現地の柏崎に飛びました。柏崎原発や柏崎市内を視察して被災状況を聞いた後、再びヘリコプターで東京に帰っています。
 いつになく、素早い取り組みです。信頼できる指導者を演出し、災害対策費などをエサに選挙を有利にしようなどという目論見でなければ良いのですが……。

 ところで、参院選です。野党の票を増やしている最大の功労者は、ヒョッとしたら、この安倍首相なのかもしれない、という気がしてきました。安倍首相がいかに不人気かということは、すでにこのブログにも紹介しましたが、その後も同じような報道が続いているからです。
 たとえば、次のような記事をご覧下さい。

◆「報道ステーション」(10日・朝日) 生出演した首相に対し、古舘伊知郎キャスターが堂々と渡り合ってくれました。農相の事務所費、社保庁や防衛相自民の問題などについて明快に質問攻め。国民の声をありのままに示してくれて、本当に気分が良かった。首相もたじたじの様子でした。古舘キャスターに拍手を送ります。……

◆「報道ステーション」 キャスターは首相にかなり突っ込んだ質問をしていたが、首相は相変わらずで、結局何も得るものはなかった。キャスターも、一問だけでもいいから答えが出るまでしつこく聞いてほしかった。終わった時点で、ただ腹が立っただけ。首相の顔は二度と見たくないという心境だ。……

 これは、今日の『東京新聞』の「放送&芸能」欄に出ていたものです。視聴者の「反響」を伝える場所に掲載されていました。
 1人は、「首相もたじたじの様子で」「本当に気分が良かった」といい、もう1人は、「ただ腹が立っただけ。首相の顔は二度と見たくない」というのです。どちらにしても、首相に対する視聴者の冷たい目が特徴的です。
 このような意見を載せたということは、似たような「反響」が多かったからでしょう。少なくとも、この欄の担当者は、ここに紹介したような意見が例外的なものだとは考えなかったわけです。

 同じ、今日の『東京新聞』の「週刊誌を読む」という欄で、月刊『創』編集長の篠田博之さんは、週刊誌の記事を紹介しながら、次のように書いています。

 『週刊文春』7月19日号「安倍総理テレビ局ハシゴで墓穴」で自民党関係者がこうコメントしている。「はっきり言って、総理の露出作戦は完全に失敗でした」。赤城農相の事務所費問題が吹き出したのと重なったという事情もあった。
 そのうえ『アエラ』によると、例えば日テレ系「NEWS ZERO」の場合「瞬間視聴率は安倍首相の生出演中、どんどん下がっていきました」(テレビ局関係者)
 「演出や脚本がいかによくても、役者がよくなきゃだめ」ということだ。小泉前首相はテレビに登場するほど人気が高まったが、安倍首相の場合は出演しても視聴率がとれないというのだ。

 この記事を読んでも、安倍首相の不人気ぶりは明瞭です。番組を見ても、「ただ腹が立っただけ。首相の顔は二度と見たくない」という視聴者が多ければ、「瞬間視聴率は安倍首相の生出演中、どんどん下がっていきました」というのも当然でしょう。
 そればかりではありません。今日の『朝日新聞』には、この不人気ぶりを数字で裏付けるような記事も出ています。
 『朝日新聞』は一面で「比例投票先 民主30% 自民23%」「本社連続世論調査 内閣不支持55%」と伝えており、これを見ても安倍首相の不人気ぶりは分かりますが、もっと直裁なものもあります。「首相の印象『悪化』45%」という記事です。

 これは朝日新聞社が14、15の両日実施した参院選の第10回連続世論調査(電話)の結果です。この世論調査では、「最近の発言や行動をみて安倍首相の印象がよくなったか」という設問があり、「よくなった」が6%しかないのに、「悪くなった」が45%と半分近くに上っています。「変わらない」も45%でした。
 つまり、安倍首相の印象は「悪くなった」か「変わらない」という人が、9割にも達しています。安倍首相は意識的にメディアへの積極的な登場を図りましたが、その結果、半分近くの人が印象を悪くしたのです。
 他方、民主党の小沢代表については「よくなった」が10%、「悪くなった」が14%でした。一番多かったのは「変わらない」の71%で、その印象に大きな変化はありません。

 安倍首相が一生懸命になればなるほど、有権者の支持が減っていくということでしょうか。「安倍効果」というより、「安倍逆効果」が生まれているようです。
 「安倍首相には、是非、うちの選挙区に入ってもらいたい」。そう思っているのは、自民党より、野党の候補者かもしれません。
 そのうち、密かに野党の方から、安倍首相に応援要請が行くのではないでしょうか。どうする、自民党。


振り子は自民党の枠を越えて振れるか [参院選]

 「振り子の原理」というものがありました。自民党内の主流派閥と非主流派閥の間で、政権が振り子のように振れ、自民党そのものは政権政党として権力を維持していくという「原理」です。
 強権姿勢の岸内閣から「寛容と忍耐」の池田内閣へ、金権政治の田中内閣からクリーンな三木内閣への政権交代などが、その代表的な例だとされています。

 今日の『日経新聞』のコラム「風見鶏」は、この原理を取り上げていました。その表題が「壊れたままの振り子」とされているように、今の自民党ではこの「振り子」が「壊れ」てしまい、働かなくなっているという趣旨です。
 このコラムの最後のところで、筆者の坂本英二政治部次長は次のように書いています。

 かつて自民党は世論の厳しい批判にさらされると、非主流派が受け皿となる「振り子の原理」で長期政権を保ってきた。今は安倍晋三首相と異なる主張を正面から掲げ、党内論議を主導していく勢力は宏池会系に限らず見あたらない。

 ここで最後に出てくる「宏池会系」というのは、池田派-大平派-宮沢派の流れを汲むもので、現在の古賀派、谷垣派、河野グループを言います。坂本さんは、半月あまり前に亡くなった宮沢元総理を悼みつつ、このような形で分裂したリベラル勢力の弱体化を嘆いているように見えます。
 確かに、自民党内を見渡した限りでは、池田派にはじまるこの「宏池会系」も、旧田中派の流れを汲む津島派も、かつての影響力はありません。この二派は、吉田茂の教えを受けた「吉田学校」の優等生である池田勇人と佐藤栄作を源流とし、かつては「保守本流」と呼ばれました。
 今日での自民党内の「本流」は、もはやこの流れではありません。それは、岸に始まり、福田に受け継がれ、森、小泉、安倍という首相を輩出した森派-町村派の流れです。

 しかし、目を自民党の外に転ずれば、そうとも言えないのではないでしょうか。政権の振り子は、自民党の枠を越えて民主党に振れるかもしれないからです。
 そしてこの民主党の中心には、小沢一郎代表をはじめ、最高顧問の羽田孜と渡部恒三、鳩山由起夫幹事長、岡田克也副代表など、自民党から飛び出した旧田中派の流れを汲むものが多く存在しています。
 今度の参院選で政権が変わるわけではありませんが、もし自民党が大敗すれば、その可能性が高まります。政権の振り子は、旧福田派が主流となった自民党から、幹部に旧田中派出身者が多い民主党に向けて大きく振れるかもしれません。そうなれば、「振り子」は決して「壊れ」てはいなかったということになるでしょう。

参院選での自民党大敗の兆候は、各種のデータから窺うことができます。たとえば、時事通信社が6~9日に実施した7月の世論調査結果によると、安倍内閣の支持率は前月比3.1ポイント減の25.7%と、ついに2割台の中頃にまで続落しました。
 参院選公示目前のTBSをキー局とするJNNの世論調査では、安倍内閣の不支持率がついに6割を超え、前回より2.1ポイント増の61.5%に上っています。各種世論調査で不支持率が6割を超えたのは、これが初めてです。
 読売新聞社が全国のインターネット利用者1000人を対象に実施した「参院選ネットモニター」の第4回調査結果が、14日にまとまりました。それによると、参院選公約で最も評価できる政党は、民主28%、自民20%、公明4%、共産3%、社民2%、国民新1%の順になっています。

 参院選に関する読売新聞社の継続世論調査(電話方式)でも、興味深い結果が明らかになりました。自民党の固い支持基盤である町村部でも選挙区選の投票先に自民党をあげる人が減り、急伸した民主党に逆転されたというのです。
 参院選の勝敗のカギを握るのは29の「1人区」ですが、ここは町村部を多く抱えています。読売新聞社の継続世論調査を都市規模別(5分類)で見ると、中核都市、中都市、小都市では両党に大きな差はありませんが、大都市部は民主党31%、自民党16%、町村部でも民主党30%、自民党21%と、どちらも民主党が大きくリードしています。
 過去4回の調査で、大都市部での民主党優勢は当初から変化がありません。しかし、町村部では自民党が37%→21%と16ポイントも減らしたのに対して、民主党は22%→30%と8ポイント増やし、自民党を離れた有権者を取り込んでいることが分かります。

 それでは、どれほどの人が自民党を離れ、民主党支持に変わったのでしょうか。それを教えてくれるのが、毎日新聞の参院選ネット調査です。
 毎日新聞は12~13日、参院選に関する第2回ネットモニター調査を実施しました。「自民、民主両党のどちらに好感を持っているか」との問いに、第1回調査(6月29~30日)で民主党と回答した人の94%が民主党と答えたのに、自民党と答えた人の20%が今回は民主党と答えたといいます。
 自民党から民主党に、好感を持つ人が2割も変化していたのです。その結果、民主党が第1回比5ポイント増の71%となり、自民党が同5ポイント減の28%となりました。その差が、開き続けているということになります。

 この調査では新たな質問も盛り込まれました。「安倍晋三首相と小沢一郎民主党代表のどちらが首相にふさわしいと考えるか」という質問です。
 これには、小沢さんとの回答が64%と6割を越え、安倍さんの35%を大きく上回っています。以前に紹介した朝日新聞の調査では、小沢さんも安倍さんも不人気で、「両党首とも有権者からの好感度という尺度では苦戦」しており、「両党とも党首の魅力には頼れ」ないとされていました。しかし、毎日新聞の調査では、過半数以上の人が小沢さんの方が「首相にふさわしい」と考えており、それは安倍さんの倍近くもあるということになります。

 参院選での自民党大敗の可能性は、公示後も、依然として強まり続けているといって良いでしょう。そうなれば、選挙後に大乱が生じ、政権の「振り子」が自民党の枠を飛び出すような状況が生まれるかもしれません。
ただし、政権の振り子は振れても、それがどの程度実質的な意味を持つかというのはまた別問題です。民主党が、どれほど自民党とは異なった政策を実施するかによって、この振り子の振れ幅は決まることになります。

 いずれにせよ、民主党は、基本的には第二保守党です。政権の振り子が自民党の枠を飛び出すことはあっても、保守政治の枠を飛び出すことはないでしょう。
 とはいえ、それさえも、今日の日本にとっては、巨大な政治的変化をもたらすにちがいありません。さし当たり、このような変化だけが、危機に陥ったこの日本を救うことができるのです。


7月14日(土) 赤城農相は納得できる説明をするべきだ  [スキャンダル]

 WTO交渉を理由に「海外逃亡」していた赤城農相が帰ってきました。しかし、事務所費問題での説明責任について「(10日の)会見で整理して報告した。説明は、与党も野党も合意したルールでやるのが重要だと思う」と、従来の見解を繰り返したそうです。

 しかし、多くの国民は納得していません。提示された数字が、あまりに不自然だからです。明確な疑惑が存在するのですから、納得できる説明か物証を示すことで疑惑を晴らすのが、説明責任というものでしょう。
 赤城さんが示した事務所経費の不自然さについては、これまでもこのブログで取り上げてきました。7月10日付の「光熱水費「『月800円』の怪」と7月11日付の「納得したのなら「数字の怪」を説明できるのか」では、以下のような疑問を提起しています。

(1)実家のある筑西市の1カ月当たりの水道使用料金は基本料金だけで最低1836円、電気代の基本料金(30アンペア)は月819円で、最低でも月2655円かかる。したがって、05年の光熱水費が月800円ということはありえず、水戸の事務所の分も合算されているのであれば、実家と水戸の両方で800円ということになるが、この年、水戸市にある事務所は月平均約1万2000円の光熱水費を計上していた。それを「合算」して800円というのは、デタラメではないのか。

(2)光熱水費は、総選挙がなかった98年に129万円、99年には131万円もかかっているのに、総選挙のあった05年には9660円(月800円)しかかかっていない。備品・消耗品費は総選挙のない02年が最高の189万円で、総選挙のあった05年は172万円になっている。赤城さんの「拠点」である事務所は、選挙の時には活動せず、選挙以外の時に活発に活動しているとでもいうのか。

(3)世田谷区にある赤城農相の妻の親族宅にあった「『徳政会』の経常経費」の一覧表には数字の端数が全くなく、全て100円単位、1000円単位になっている。消費税がかかるのに、どうしてこのような数字になっているのか。また、光熱水費は、97年の14万4000円を例外として、96年から05年まで、全て12万円になっている。総選挙のあるなしにかかわらず同額になっているのはどうしてなのか。

 領収書を示して説明してもらうのが最善ですが、それ以前であっても、上記のような疑問に答えていただきたいものです。マスコミの記者も「領収書を出せ」というだけではなく、赤城さんが示した数字の不自然な点について、具体的に正していく必要があるのではないでしょうか。
 国民の多くは、赤城さんが嘘を言っているのではないかと疑っています。また、ご両親や関係者に前言を否定させ、嘘を言わせたのではないかとの疑いもあります。
 これ以上の説明をしなければ、このような疑いを裏付けることになるでしょう。赤城さんはそれでも良いのでしょうか。

 なお、『週刊ポスト』7月27日号に、「甘利経産相に『4000万円事務所費疑惑』」という記事が掲載されているそうです。赤城農相に続いて、甘利経産相にも新たな事務所費疑惑が浮上したということのようです。

 「政治とカネ」の問題をめぐって、佐田行革担当相が辞任し、松岡農相が自殺しました。その後任の赤城農相にも疑惑が生じ、今度は甘利経産相ですか。
 安倍内閣は一体どうなっているのでしょうか。このようなダーティーな政治家をかき集めて閣僚に据えた安倍首相の責任は誠に重大だと言わなければなりません。


7月13日(金) 強まり続ける安倍首相と与党への逆風  [参院選]

 昨日のブログで、「自民党が40議席を割ることもあり得る」という、自民党にとっての「悪夢」について書きました。公示日の動向や報道を見ると、その「悪夢」は「正夢」になりそうです。

 『読売新聞』は10日から12日にかけて参院選に関する第4回継続世論調査(電話方式)を実施し、その結果を報じています。
 それによると、有権者がどの政党に投票するかでは、比例区で民主党が前回(3~5日)に比べ3ポイント増の28%で、自民党21%(前回比2ポイント減)を引き離しました。選挙区でも民主党が27%(同5ポイント増)となり、自民党の22%(同2ポイント減)を上回っています。
 これまでの継続調査でも、比例区は第1回(6月5~7日)以降、民主党が自民党を1~3ポイント上回っていましたが、今回はその差が7ポイントに広がっています。選挙区では、前回は自民党が1ポイント上回っていたのに、今回は逆転され、5ポイントの差がつきました。

 つまり、自民党は巻き返しに成功していないということです。それどころか、自民党は比例区と選挙区でいずれも2ポイント減らし、逆に、民主党は比例区で3ポイント、選挙区で5ポイント増やしています。
 安倍内閣の支持率も下がり続けて1.8ポイント減の30.2%になり、不支持率は3.8ポイント増の57.7%にまで増えています。支持率は「危険水域」の2割突入寸前で、不支持率は過半数どころか6割に達しようという勢いです。
 昨日紹介した『朝日新聞』調査では、内閣支持率31%、不支持率51%で、比例区への投票予定は自民22%、民主26%でした。今回の『読売新聞』調査は、内閣支持率30.2%(0.8ポイント減)、不支持率57.7%(6.7ポイント増)で、比例区への投票予定が自民21%(1ポイント減)、民主28%(2ポイント増)ですから、さらに厳しい結果になっています。

 また、選挙後の与野党の勢力関係についても聞いています。これも、昨日のブログで紹介した89年と今回の『朝日新聞』調査と比べてみましょう。
 選挙後について、『朝日新聞』の89年調査では安定多数+伯仲が56%、与党の過半数割れが36%で、今回の調査では与党が多数29%、野党が多数48%となっていました。これに対して、今日報じられた『読売新聞』調査では、与党が過半数を維持する方がよい29.1%、与党が過半数を下回る方がよい53.0%となっています。
 選挙後の勢力関係については、『読売新聞』の調査が最も厳しくなっています。政府に近いと見られている『読売新聞』の調査でも、与党が過半数を下回る方がよいという意見が過半数を上回っている点は、大いに注目されます。

 ただ、『読売新聞』は、自民党を慰めるように、選挙区選で33%、比例選でも34%の人が投票先を「決めていない」と答えたと報じています。3割ほどの人が態度未定だというわけです。
 その多くは無党派層でしょう。問題は、これらの人々を安倍首相が引きつけられるのかという点にあります。『朝日新聞』の調査によれば、これも難しそうです。
 というのは、今日の『朝日新聞』が、朝日新聞社と東大の蒲島郁夫、谷口将紀両研究室が有権者を対象に実施した共同調査の結果を報じているからです。

 この記事「安倍、小沢両氏、好感度ではともに苦戦 朝日・東大調査」によれば、「両党首とも有権者からの好感度という尺度では苦戦」しており、「両党とも党首の魅力には頼れ」ないとしています。
 安倍首相と小沢代表の好感度は「好意も反感も持たない」中立点を0度とすると、そろってそれより低い「マイナス8度」だそうです。安倍首相は自民党の「マイナス5度」、小沢代表は民主党の「プラスマイナス0度」を下回り、ともに自分の党の好感度に及びません。
 特に、安倍首相は無党派層での好感度が低く「マイナス14度」で、小沢代表の「マイナス9度」や自民党の「マイナス12度」を下回っています。ということは、安倍首相は自民党よりも嫌われていることになりますから、首相が自民党候補を応援に行けば無党派層の票が減るというわけです。

 自民党が最低の36議席にとどまった89年参院選では、宇野首相は応援を断られ、街頭演説ができませんでした。これに比べれば、安倍首相は街頭演説ができるだけましかもしれません。
 ただしそれは、宇野首相のときとは異なって、今回の苦戦が安倍首相自身の醜聞などによるものではないというにすぎません。首相の演説によって無党派層離れが生ずるとなれば、やがて応援を断る候補者も出てくるでしょう。
 現に、長崎では、自民党の候補者が安倍首相と一緒に写ったポスターをはがして回っていると報じられています。首相の不人気を、いち早く感じたからにちがいありません。

 なお、付言すれば、拒否感情が強いのは安倍首相に対してだけではありません。自民党に対する拒否も強いということが、上述の『読売新聞』調査から明らかです。
 昨日のブログで、内閣不支持率が51%と、過半数を超えたままで参院選に突入した例はなく、それだけ安倍政権に対する拒否感情や政治のあり方に対する怒りが強いと書きました。『読売新聞』調査では内閣不支持率が57.7%ですから、なおさらそう言えるでしょう。
 しかも、同じ『読売新聞』調査の「議席が一番増えてほしくないと思う政党」では、自民党40.1%、民主党11.2%、公明党12.3%、共産党11.6%、社民党5.5%となっています。自民党と公明党の「議席が一番増えてほしくないと思う」人々が1位(40.1%)、2位(12.3%)ですから、与党に対する拒否感情が高まっているのです。

 このように、首相や与党に対する拒否感情の高まりという点で、安倍首相は史上最大の敗北を被った宇野首相とよく似ていますが、それだけではありません。44議席という2番目の敗北となった橋本首相との類似もあります。税金問題での発言の揺れです。
 安倍首相はテレビ番組で、「消費税を上げないとは一言も言っていない」と胸を張りましたが、その後、野党側に「それなら引き上げるかどうかを選挙で国民に問うべきだ」と突っ込まれると、「歳出削減をギリギリまで行えば、消費税を上げなくても済む可能性は十分ある」と弁解しました。
 消費税を上げると言えば選挙に不利になるから、あわてて訂正したわけです。このような腰の定まらない発言のブレや増税隠しもまた、89年参院選での橋本首相の失敗を彷彿とさせるものです。

 成功にはいろいろなものがあるが、失敗は似通っている、ということになりましょうか。安倍首相をめぐる状況は89年や98年とよく似たものになってきていますが、ある意味では、さらに厳しいという見方もできます。
 状況がよく似ていれば、その結果もまた似たものになるでしょう。さらに厳しいものであれば、より厳しい結果となるかもしれません。
 小泉前首相は「自民党をぶっ壊す」と宣言し、安倍首相は基本的にこれを引き継ぎました。今回の選挙は、小泉前首相がどれほど自民党をぶっ壊したかを、数字によって確認できる得難いチャンスになろうとしています。


7月12日(木) 世論調査が示す自民党「悪夢」のシナリオ  [参院選]

 今日、注目の参院選が公示されました。投票日である7月29日(日)までの間、激しい選挙戦が展開されます。

 今回の選挙の意義は、「今の日本はこのままでよいのか」という問いに、国民が直接答えることができる機会だという点にあります。「このような日本を作ってきたこれまでの政治は良かったのか」という問いに対しても答えることができます。
 また、政権与党が掲げているこれからの日本の青写真や進路に対して、「その方向に進んでいっても良いのか」という問いへの回答も可能でしょう。日本の現在のみならず、過去と未来についても、私たちは回答できる得難いチャンスを手にしているということになります。
 「参院選だから、中間選挙のようなものだ」という意見は間違いです。安倍内閣が発足してから初めての国政選挙になりますし、時の政権が改憲の是非を争点として国政選挙に臨むのも初めてになります。日本の進路を決める歴史的な意義を持つ選挙だと言うべきでしょう。

 選挙の争点は、平和と民主主義を志向してきた「戦後レジーム」を改憲によって覆そうとする安倍首相の野望を打ち砕くかどうかにあります。そして、そのような野望を掲げる首相を送り出すまでに劣化してしまった自民党の統治を継続させるかどうかにあります。
 すなわち、争点は安倍改憲政権の是非であり、自民党統治の是非そのものです。このような首相と政党に政権をまかせ、日本の進路をゆだねて良いのでしょうか。
 今回の選挙で問われている核心は、まさにこのような問いなのです。「宙に浮いたり消えたり」という年金問題、定率減税の廃止や消費税率引き上げによる増税などの税金問題、相次ぐ閣僚の暴言や赤城農水相の事務所費問題に見られる政治とカネの問題、餓死者が出るほどの困窮を生み出している貧困と格差などは、これに付随して生じている具体的な争点にほかなりません。

 今回の選挙では、与党が過半数を維持できるかどうかが注目されています。しかし、真の注目点は、もはやそこにはありません。
 現在の情勢では、与党が過半数を下回ることは確実です。真の注目点は、与党の敗北ではなく、どれほど負けるかという点にあります。
 過去の参院選で、与党が敗北した典型的な例は89年と98年です。89年参院選では自民党が36議席しか獲得できず、宇野宗佑首相が辞任し、98年参院選での自民党の獲得議席は44議席で、やはり橋本龍太郎首相が辞任しました。

 今回の参院選での改選は選挙区73議席・比例区48議席で、計121議席になります。このうち、与党の過半数維持には64議席以上が必要です。
 公明党が目標とする13議席を獲得するとすれば、自民党は51議席が必要になります。51議席という目標は、04年参院選の時と同じです。まず、この04年参院選と比較してみましょう。
 用いる数字は、『朝日新聞』が行った世論調査です。新聞社によって数字に違いはありますが、傾向としてはそれほど大きく異なっておりません。

 04年の参院選の投票日は7月11日(日)でした。その3週間ほど前の6月19、20日に行われた世論調査で、小泉内閣への支持率は支持40%、不支持42%です。今回、投票日の3週間前に行われた7月7、8日の調査では、安倍内閣への支持31%、不支持51%でした。
 内閣支持率は、今回の方がずっと厳しいものになっています。これだけでも、04年参院選の49議席を下回るだろうということが予想できます。
 政党支持率ではどうでしょうか。04年6月22、23日の調査では、自民党支持27%、民主党支持18%、公明党支持4%、共産党支持1%、社民党支持1%となっています。今回は、自民党支持26%、民主党支持20%、公明党支持4%、共産党支持3%、社民党支持1%で、自民党支持が1ポイント低いのに対して、民主党支持と共産党支持が2ポイント高く、公明党支持と社民党支持には変わりありません。これを見ても、自民党は04年選挙より苦戦するという結果が予想されます。

 さらに、今、比例区で投票するとしたらどこに入れるかとの問いに、04年では自民23%、民主23%と並んでいます。しかし、今回は自民22%、民主26%と、民主の方が4ポイント上回っています。
 選挙後の政権についても、04年には自民中心が41%で民主中心が34%でした。しかし、今回は、どちらが多数になって欲しいかという問いに、与党29%、野党48%と大きく逆転し、野党の方が19ポイントも多くなっています。

 内閣支持率、政党支持率、比例区での投票予定、選挙後の勢力関係への期待において、今回は04年よりも自民党や与党に厳しい結果が出ています。つまり、現状のままだと、自民党や与党は04年以上の敗北が避けられないということになります。
 04年参院選での当選は、自民党49議席、公明党11議席でした。世論調査の結果が正しければ、これを下回ることは確実だということになります。
 両党合わせても60議席にしかなりませんから、過半数維持のために必要な64議席以上を獲得することはできません。与党が過半数を上回ることは、不可能だということになります。

 さて、それでは、与党はどれほど負けるのでしょうか。ここで参考になるのが、89年参院選と98年参院選の例です。
 まず、自民党が44議席にとどまり、責任を取って橋本首相が辞任した98年と比較してみましょう。今回の世論動向は、自民党にとってこの年よりも良いのか、悪いのか、ということです。
 98年参院選の投票日は7月12日(日)でした。やはり、その3週間ほど前の6月20、21日に、『朝日新聞』は世論調査を実施しています。その結果はどうだったでしょうか。

 まず、内閣支持率では、橋本内閣への支持は26%で、不支持は51%です。政党支持率では、自民党23%、民主党7%、公明党4%、社民党4%、共産党2%、自由党2%となっています。
 比例区への投票予定では、自民党22%、民主党8%です。選挙後の政権については、自民単独14%、自民中心の連立47%、自民党以外の政党の連立23%となっています。
 内閣支持率を除いては、今回よりも自民党に甘い結果が出ています。つまり、今回の方がより厳しいということになりますから、今回の自民党の獲得議席は98年参院選を下回る可能性があるということになります。
 ただし、98年の選挙では、投票直前に減税問題での橋本首相の発言が迷走するという大きなマイナス要因がありました。この世論調査はそれ以前ですから、投票日の頃には、世論はもっと厳しい反応を示していたかもしれません。

 それでは、自民党にとって最も厳しい結果となった89年参院選で、世論はどのような状況だったのでしょうか。分かり易いように、以下に比較しておきましょう。
 前者が89年で後者が今回です。また、89年の内閣支持率は6月9、10日の調査、それ以外は7月9、10日の調査で、投票日は7月23日です。

*内閣支持率        支持28%、不支持44%    支持31%、不支持51%
*政党支持率        自民28%、社会21%      自民26%、民主20%
*比例区への投票予定 自民20%、社会29%      自民22%、民主26%
*選挙後の政権       安定多数+伯仲56%     与党29%
     与党の過半数割れ36%    野党48%

 いかがでしょうか。内閣への支持と比例区への投票予定では今回の方が甘く、政党支持率と選挙後の政権では、今回の方が辛くなっています。
 とはいえ、どちらにしても、それほど大きな差ではありません。ということは、世論状況は89年と極めて似通っているということになります。
 世論のあり方が89年と今回とで似通っているということであるなら、それによって生まれる選挙の結果もまた、似通ったものになるでしょう。つまり、自民党が40議席を割ることもあり得るということです。

 ここで、自民党にとっての大きな「不安要因」を指摘しなければなりません。それは、安倍内閣に対する不支持率が51%と、過半数を超えていることです。
 戦後の参院選は20回を数えますが、内閣に対する不支持率が過半数を超えたままで参院選に突入した例はありません。今回が、初めてになります。
 それだけ、安倍政権に対する拒否感情や政治のあり方に対する怒りが強いということになるでしょう。それがどういう結果をもたらすのか、過去最低であった36議席を下回り、戦後初めてというほどの自民党の歴史的敗北をもたらすことになるのか、大いに注目されるところです。

 いずれにせよ、このような自民党にとっての「悪夢」が「正夢」になるためには、29ある定数1の小選挙区での勝敗が決定的になります。89年の大敗のとき、定数1の選挙区は26でしたが、与党にとっては3勝23敗という結果に終わりました。逆に、「小泉ブーム」に乗って大勝した01年の参院選では、27の1人区で自民党は25勝2敗です。
 世界を見れば、もっとすごい例があります。カナダの下院では、景気の低迷と高失業率への不満を背景に、93年10月の総選挙(小選挙区制)で与党の進歩保守党が解散前の152議席からわずか2議席に激減するという歴史的大敗を喫しました。
 与党からすれば、2勝150敗という結果です。小選挙区制には、勝敗を増幅するという特性があり、勝つものはより多く勝ち、負けるものはより多く負けるのです。

 今度の参院選で、果たして、このような「悪夢」が自民党を襲うことになるのかは分かりません。しかし、そのような可能性が生まれてきているということもまた事実です。
 世論調査が示す自民党にとっての「悪夢」のシナリオが、現実のものとなるかどうか。その答えが出るのは、約2週間後のことになります。


7月11日(水) 納得したのなら「数字の怪」を説明できるのか [スキャンダル]

 昨日の『東京新聞』夕刊に、私のインタビューを元にした記事が出ました。昨日の朝、電話での取材に答えたものです。
 「赤城農相会見 『国民は納得しない』」「再説明かえって不信感」という見出しの下に、記事は次のように報じています。

 事務所費問題について説明した赤城農相。その内容は、実家が活動拠点であることなどをあらためて強調しただけで、識者の間からも批判や疑問の声が上がった。
 法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授(政治学)は「疑問を持たれたからには、政治資金規正法に該当しなくても政治倫理上、領収書などを示して説明すべきだ」と、赤城農相の対応を批判。「それをしなければ、うそをついていると国民に思われても仕方がない」と指摘する。
 五十嵐教授は、赤城農相の両親や講演会代表の説明について「事務所の実体がないとした最初の言葉が先入観を持たずに話しただけに、事実に近いのではないか。口裏合わせがなかったとしても、迷惑が掛かると判断して前言を撤回したのだろう」と推測。さらに、赤城農相を擁護する安倍晋三首相についても「赤城農相からどんな説明を受けて自分が納得したのか、国民に対して明らかにすべきではないか」と疑問を投げ掛ける。
 ただ、今回の問題が参院選前に出たことは「国民の判断材料になったからよかったのでは」と皮肉った。
 ……

 最後の部分は、ちょっと冗談めかして言ったのですが、それも活字になりました。でも、選挙の前で良かったというのはその通りで、後から分かっても手も足も出ません。
 今なら、この問題を含めて判断し、有権者はきっちりとした審判を下すことができます。本当だと思う人は与党に、嘘だと思う人は野党に入れればよいのですから。
 この赤城農相の説明に対して、10日の自民党役員会では、「違法ではない。しっかりと説明していけば理解される」との認識で一致したそうです。皆さんは、この説明に納得されたということです。

 昨日の『朝日新聞』夕刊には、「赤城徳彦講演会の過去10年の経常経費」の表が出ています。この表をじっくりご覧下さい。いろいろと問題意識をかきたてられること請け合いですから……。
 96年からの数字が出ていますが、このうち、総選挙があったのは、96年、2000年、03年、05年の4回です。実家が主な事務所となっていたのであれば、このような総選挙の時には、他の年より経費が増えていると思われます。

 しかし、そうなってはいません。人件費では、総選挙のない99年に1353万円もかかっているのに、総選挙のあった05年には63万円しかかかっていません。
 光熱水費も、総選挙がなかった98年に129万円、99年には131万円もかかっているのに、総選挙のあった05年には9660万円(月800円)しかかかっていないのです。備品・消耗品費は総選挙のない02年が最高の189万円で、総選挙のあった05年は172万円になっています。
 05年の備品がこんなに多いのは総選挙があったからだとすれば、事務所費が40万円しかかからず、前述のように、人件費がたったの63万円、光熱水費に至っては基本料金以下の月800円になっているのは、何故でしょうか。

 赤城さんの「拠点」である事務所は、選挙の時には活動せず、選挙以外の時に活発に活動されているようです。何故、そうなっているのか。自民党の役員の皆さんが納得されたというのであれば、是非、説明していただきたいものです。
 このように、おかしな点を上げていけばきりがありません。その疑問点の一つ一つについて、安倍首相は赤城農相に問いただしたのでしょうか。
 それに対して、赤城さんはどう説明したのでしょう。その説明に、安倍さんは納得したのでしょうか。

 まだあります。『毎日新聞』夕刊には、「『徳政会』の経常経費」の表が掲載されています。一見して、誰でも異様だと気がつくにちがいありません。数字の端数が全くないのですから……。
 1円や10円の数字がなく、全て100円単位、1000円単位になっています。消費税がかかることを考えれば、このようなことはあり得ません。この数字を見ただけでも、「これは嘘だ」と、誰だって思うでしょう。安倍首相は、「どうやったら、このようなきれいな数字になるのか」と、赤城さんに聞いたのでしょうか。
 光熱水費は、97年の14万4000円を例外として、96年から05年まで、全て12万円になっています。総選挙のあるなしにかかわらず同額になっているのは何故なのか、納得した方から説明していただきたいものです。

 実際には、この事務所は何の活動もしていなかったのではないでしょうか。ここに掲げられた数字が不自然なのは、それが何の実態も反映していないデタラメなものだからではないでしょうか。
 領収書を出せない支出を、事務所費として各費目に適当に当てはめたから、このような矛盾が出てくるのです。もともと実体のない数字ですから、不自然なのは当然で、説明できるはずがありません。

 「いや、そうじゃない」というのであれば、ここに指摘したような疑問に答えてもらいたいものです。たった1枚の領収書でも、ここに出ている数字を裏付けるような物的証拠を示せばよいのです。
 それができるのでしょうか、赤城さん。

 なお、今日の『読売新聞』に、私の娘の写真が出ていてビックリしました。政治面の4面の「参院選 新風景」。「ネットの功罪」「ブログとの距離模索」という記事です。日本版ボートマッチ「投票びったん2007」の開発者の一員である上神さんと一緒に写っています。
 「投票ぴったん」て何?と思われた方は、http://votematch.jpn.org/をクリックしてください。自分の意見とマッチする主張をしている政党が見つかるはずです。